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「自己紹介をしてください」

そう言われたら、みなさんはなんて答えますか?


「わたしは専門学校の教員で就職指導をしています。CDA(キャリア・ディベロップメント・アドバイザー)と国家資格キャリアコンサルタントの資格を持ち、JCDA長野地区の地区長を務めています。学生の就職支援のほか、有資格者の学びの場をつくり互いに研鑽することに力を注いでいます」

例えばわたしなら、こんな自己紹介をすることが多いですね。


伝えているのは『社会的役割』ばかりです。
「専門学校教員」「就職指導」「CDA」「国家資格キャリアコンサルタント」「地区長」「就職支援」「学びの場づくり」・・・どれも、『社会の中で与えられた役割』であって、『個人的要素』は語っていません。

では『個人的要素』を伝える場合の自己紹介をしてみましょう。


「わたしはワクワクすることが大好きです。知的好奇心が強く、新しいことや知らなかったことに出会うとワクワクします。人の役に立つことに夢中になり、特に「助かりました」という言葉に喜びを感じます。趣味は資格取得や読書、パソコン、料理、旅行、大道芸を見ること、などなどこだわりが強く、あれもこれもと好きになってしまいます。一度始めるとやめられなくなり、熱しやすくて冷めにくい性格です」

こんな感じでしょうか。


性格や特技、趣味など、個人的な要素を語っています。

ただしこれも、外的な個人的要素=人に知られても困らない部分を語っているだけです。本当に内面的な部分を自己紹介の段階で話すことは、なかなかありません。


では、より内面的な部分を語れるのはどんな場面でしょうか。

それこそが『飲みにケーション』だったのかもしれません。


特に歳を重ねるほどに、社会的役割が多くなり、肩書を背負って生きる場面が増えます。

D.E.スーパーは人生における役割(ライフロール)を「ライフキャリアレインボー」として表現しています。

引用:文部科学省「高校生のライフプランニング」

ここで担っているのは、いずれも社会的役割です。個人的要素は含まれておらず、例えば「どんな思いで親の役目を果たしているか」や、「労働者の後期にはどんな気持ちになるか」といった気持ちの面は表していません。


心の内を話せるのは、信頼できる相手と安心して話せる場があってこそでしょう。それこそが『飲みにケーション』の正体なんですね。


しかし、必ずしも『飲む』ことが条件ではありません。

わたしもお酒は苦手ですし、アルコールが入った状態では正常な判断ができないためあまり好みません。

ですが、ある種の「リミッターを解除した状態」を作り出せるのは、『飲むこと』のメリットとも言えます。

ですからお酒の力を借りずに、信頼関係を築き、安心して話せる状況をつくり出せるのであれば、『飲みにケーション』と同等の効果が得られるのではないでしょうか?


・防衛を緩められる安心した場であること
・役割を外して対等な関係で話せること
・同じものを食べて同じものを飲むという共体験ができること
・自己開示と他者受容のバランスが保たれていること
・その場限りの話で留め第三者に漏洩しないこと

かしこまって書くと変な感じがしますね(笑)

要するに安心して何でも話せるってことが大事で、無礼講で気を遣う必要がなく、後に引きずらないってことが『飲みにケーション』に求められているのかな・・・とわたしは思います。


これってカウンセリングに求められることと重なる部分は多いのですが、どうしてもかしこまって話をするという印象が強いのか、カウンセリングだと最初は身構えてしまうようです。

だからインテーク面談では、アイスブレイクやラポール形成を目的とした関わりを重視しています。

その雰囲気が、実は『飲みにケーション』にも通じる部分が多いな・・・とわたしは最近感じています。


おそらくこういう状況になって、気軽に「飲みに行こうよ」「食事に行こうよ」って言えなくなったことで、ストレスが溜まっているんでしょうね。

安心して何でも話せる場を欲しているのだと思います。そのイメージが、『飲みにケーション』に重なっているのでしょう。


会いたい人に会って、話したいことを話して、おいしいものを食べたり飲んだりして、楽しい時間を過ごす――――

なんでもない日常こそが、実は贅沢だったんだなと、改めて感じます。

早くこの状況が収まって、安心して『飲みにケーション』ができることを心待ちにしています。




明日も佳き日でありますように

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