見出し画像

情報処理の国家試験である「ITパスポート試験」「基本情報技術者試験」には、マーケティングや経営戦略についての問題も出てきます。その中でも、マーケティングの4Pや4Cは、当然の知識として求められるんです。

『4P』
1. Product:製品
2. Price:価格
3. Place:流通
4. Promotion:プロモーション・販促

『4C』
1. Customer value:顧客にとっての価値
2. Cost:価格・費用
3. Convenience:利便性・入手しやすさ
4. Communication:対話・顧客にとっての商品情報の得やすさ

4Pは商品やサービスを提供する側、4Cは顧客側から見た要素を表しています。そして1~4の項目はそれぞれ対応していて、たとえば「良い製品とは顧客にとって価値ある商品」と考えることができるというものです。

これは学びにも共通していて、「良い学びとは受講者にとって価値のあるもの」だと考えれば、それに見合う価格や学びやすい環境、その情報自体が望む人に届くことに関係している―――と捉えることができます。そのうえで効果的な戦略を練ることができるというわけです。


この問題の中に、『4S』という選択肢がありました。

・・・えっ、4S? なんだろう?

ということで、今日はその4Sの正体を探ってみます。



1.安全衛生の4S


まずは、製造業やサービス業でよく耳にする安全衛生面の4Sです。

それは、「整理・整頓・清潔・清掃」です。
(今回の問題の正解はこれでした)

生産現場などでは、「整理」「整頓」が行き届いていることは、生産性の向上にもつながるため、非常に大切な要素とされています。それを支えるのが「清潔」であり、維持するための「清掃」が欠かせないわけです。
これはサービス業でも同じで、清掃が行き届いていて、整理整頓がされていて、清潔感のあるお店にはつい入りたくなります。
日ごろから『4S』を心がけるよう、徹底している現場が多いのもうなずけますね。

もともとは3S(整理・整頓・清潔)から始まり、そこに「清掃」を加えて4Sとなったようです。いまは「しつけ」を加えた『5S』もあります。



2.シュロスバーグの転機の4S


キャリアコンサルタントとしてすぐに思いつくのは、ナンシー・K・シュロスバーグの「転機」に関する4Sですね。

それは、
Situation:状況
Self:自己
Supports:支援
Strategies:戦略
です。

あるできごとが起きる(イベント)ことや、予期していたできごとが起きない(ノンイベント)ことにより、役割や関係や生活、そして自分自身に対する見方が変わることを「転機」と呼びます。
この転機を乗り切るために、自身のリソースである『4S』が役立つということです。

Situation:状況
今回の転機は「予期できるイベントだったのか」「どれくらい続くのか」といった状況を整理することで、自分でコントロールできることを捉え直します。

Self:自己
「この変化にどう向き合うか」「自信は持てているか・失っていないか」といった自分自身の考え方や捉え方を整理します。
(キャリアカウンセリングがもっとも有効に働くのはこの部分ですね)

Supports:支援
「周囲の人間関係はどうか」「心理的・経済的な面も含め、助けてくれる人はいるか」など、周囲の支援を捉え直します。特に転機になると見えなくなってしまうことが多いので、一度落ち着いてピックアップすることが大切です。

Strategies:戦略
「これからどう対応するか」という具体的な方法を模索します。転機を迎えたショックから少し立ち直った段階では非常に有意義に働きます。状況を変える・認知を変えるなど、どうしたらよいのかを整理しておくと、今後の対応がスムーズに行えます。


キャリアの課題として、やはり転機は大きなものです。それをどう乗り越えるかと考えたとき、この4Sは非常に役立つと思います。



3.マーケティング・戦略の4S


経営やマーケティングにおける戦略としての4Sです。

それは、
Selective:選択的か
Sufficient:十分か
Sustainable:持続可能か
Synchronized:自社と事業の整合性はあるか

の4つです。

Selective:選択的か
やるべきこと/やらないことがはっきりとしているかどうかという視点です。
やるべきことが明確であれば経営資源を集約できますし、やらないと決めたなら勇気をもって撤退して無駄を省くことができます。

Sufficient:十分か
経営資源が十分かどうかという視点です。
やるべきことが決まっても資源が不足していては効果が得られませんので、やらないことから資源を移動させることも考えます。

Sustainable:持続可能か
中長期的に持続可能な経営を行うという視点です。
持続可能とは継続可能ともいいます。100年企業と呼ばれるよう長く事業を続けるためのは、戦略的な視点が大切だということです。

Synchronized:自社と事業の整合性はあるか
自社の強みを活かした戦略かどうかという視点です。
Synchronizedは直訳すると「同期」です。自社の特徴を生かした戦略であれば、同期して売り上げや利益も向上ます。他社の弱みが自社の強みと同期するほど、成功確率は上がります。


これらは、自社の経営戦略やマーケティング戦略が、どの程度マッチしているかを可視化するための項目となります。数値だけを見て判断するのではなく、戦略的な視点で評価をするために欠かせない指標となります。

この『戦略の4S』は、USJがV字回復した際に用いられたとして有名になりました。



4.組織設計の4S


組織づくりに欠かせない4Sです。

それは、
Strategy:戦略
Structure:組織・機能分担
System:ルール・制度
Staffing:適材適所

の4つです。

Strategy:戦略
ビジョンや理念に合致した目標があり、達成のための行動計画が盛り込まれていて、自社の強みと整合性が取れている戦略を立てることから始めます。また、価値の共有がなされていることも大切な要素です。従業員にとっては、何のためにこの組織で働くのかという理由が明確であるほど、組織への忠誠心も高まります。

Structure:組織・機能分担
先ほどの戦略を実行するための組織や機能を組み立てます。組織図として表せる大きな分類から個々人の役割分担まで、明確にしておくことで組織の土台を作ります。どこに所属し、どんな機能を果たし、何をすべきかがわかっていると、働く側としても安心感が得られます。

System:ルール・制度
組織の制度をつくります。何をしてよいのか、何をしてはいけないのかというルールを策定することで、組織が機能しやすくなります。ヒト・モノ・カネ・情報のいずれに対しても、管理運用のためのルールを作っておくことが大切です。

Staffing:適材適所
組織として十分機能するよう、誰をどこに配置し、どんな人材を育てるかを明確にします。戦略や機能、制度に基づき人的資本を活用するための人事を行うのですが、今の時代はここに「人への投資をどれだけ行うか」も加わっています。場合によっては外部調達も検討しますし、10年20年先を見越して人材育成を行うことも考えます。
となると、ここはキャリアコンサルタントが活躍する場でもありますね。


組織といっても、会社のような大きなものから、1つの部署の数名のチームまで、その規模は様々です。もしあなたが、自分のチームを束ねる立場を任されたのならと考えると、この4項目はどれも欠かせないことが想像できるのではないでしょうか。

わたしの場合だと、「クラスで行事を行う場合」を想像しますね。誰をどこに配置して何をしてもらうか、それぞれの強みを活かした配置と、納得感のある役割分担がキモになる・・・身に染みてわかります(笑)


さらに、マッキンゼーのフレームワークでは『7S』と定義し、
【ハードの3S】
 Strategy:戦略
 Structure:組織
 System:社内システム
【ソフトの4S】
 Skill:スキル
 Staff:人材
 Style:社風やスタイル
 Shared Value:価値観
という考え方をしています。



5.昭和のおじさんを相手にする場合の4S


昭和生まれのおじさんたちを上手に扱うための4S。

「すごいですね」
「素敵です」
「知らなかったです」
「そうなんですね」

若い子たちにお酒の席で言われたら、確実に調子に乗りますよ(笑)


これを発展させた『さしすせそ』もあります。

「さすがです」
「知らなかったです」
「すばらしいですね」
「世間知らずで・・・」
「そうなんですね」

これまた殺し文句ばかりで(笑)




いかがでしたか?

今回は気になったら調べたくなるわたしの性分を発揮して、4Sをキーワードにわかったことをまとめてみました。

よく使うのは最後の4Sですが・・・あいづちとしても便利なんです(笑)


あなたにとっての『4S』はどんなものですか?




明日も佳き日でありますように


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?