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映画感想文_WORTH 命の値段

世界を震撼させた911。
今もなおテレビで特集されることもあり、あの衝撃的な映像を目にすることも。
多くの人がその事件で亡くなり、かつそれが引き金となって様々な負の影響を世界中にもたらしたことと思う。
当時私はまだ小学生で、小学生ながらに朝のニュースでその報道を見ていた記憶がある。
大勢の被害者が出た中で適切な表現ではないかもしれないが、小学生の私からしたらあの衝撃的な映像は「映画」の世界のようで、あんなことが現実に起きているなんて全く実感できなかった。

それから深く勉強したり調べたりすることもなく、
なんとなく中東が怖い、テロ対策という言葉をよく聞くようになった、くらいな感想しかなく、今となっては世界のことを知らないままに大人になってしまったな、と少し後悔している。
学生の時に初めて一人でニューヨークに旅行に行った際にも観光気分でWTC跡地に行ったが、もっと事前にリサーチし、もっと神妙な気持ちで行くべきであった。


本作の邦題にもなっている「命の値段」。
こんなにも解決しなそうな問題はないと思う。
私自身、私と全く関係ない人からしたら、私の命の価値なんて1円にも満たないし、一方で家族からしたら金額に表すことなんてできないだろう。
そんな人たちが、いろんな事情を抱えた人たちが、一度に大勢亡くなったことによって「価値」と直面せざるを得ない状況となる。
その「価値」も決して金銭だけのものではない。敬意や今後の環境への影響や、いろんなものを内包している。

家族や恋人を亡くした人たちそれぞれの事情を聞いていく中で、気の毒だと心から思う一方で、「自分だったらどのように仕事を進めただろう」と考えてしまった。
私も主人公のケンと近しく合理的に判断する部分が正確として大きいため、定められたルールの中で次々と淡々と簡単に処理してしまうかもしれない。
そう考えた時に、改めて、誰かにとっての「大事」を軽視してしまう可能性がある自分の行動や判断が怖くなってしまった。

今の自分の仕事は残念ながら世のため人のため国のため、といった大義名分があるとは言えない。謙遜ではなく。
そうなのだとしたら、せめて仕事でもプライベートでも、きちんと人に向き合おう。自分のひとつの仕事や行動で大勢がハッピーになるわけではないのなら、せめて目の前の人のことを考えよう。せめて。

最近ちょっとそういう人対人の部分がおざなりになってしまっていた。反省。
久々にきちんと、「自分だったら」を考えながら見ることのできた映画でした。

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