月例経済報告に見る現在の日本の弱点
内閣府が5月26日に発表した月例経済報告を見ると、現状の経済が過度に悲観するほどのことではないように思える一方で日本経済の弱点が浮き彫りになっているように感じた。過度な悲観の必要がない理由として株価や企業の売り上げの動向が挙げられる。
日経平均株価はアメリカのダウ平均株価程ではないが、一時期は30000円台まで続伸し、その後は2万7000円から2万9000円辺りにある。日経平均株価が30000円を超えてすぐ落ち着いた理由は簡単で政府によるコロナ自粛政策が2021年も延々と続く可能性があると予測されたからだ。
アメリカよりも感染者数が少なく、ワクチンの接種こそ遅れているが、欧米諸国よりも優秀な感染状況で落ち着けている日本がアメリカやイギリスが経済復活の兆しを見せる中、そこに同調しないという方針を緊急事態宣言という手法を持って内外に示したことは日経平均株価の成長が止まった最たる要因だと思える。
しかし一方でまだ続伸する可能性を秘めていることも事実で、ワクチン接種の進みと共に国民へのコロナへの恐怖心や経済自粛政策が方向転換するときに日経平均も再び上がっていくだろう。
バブルになるとの見方もあるが、30000円を超えることはバブルであることとイコールではない。かつてのバブルの指標が現在のバブルの指標と同じと断定することはできないのだから、バブルとは言い切れないだろう。ただ実体経済が過熱化しているように思えない状況下でバブルという認識は正確かという部分で判断すれば、ろくに経済成長をしない国でバブルは起きにくいのではないかと私は考えている。
倒産数も失業者数も欧米諸国と比べて軽微ですんでいる日本は決算の季節を経て、減益はしたものの回復の見込みがある企業やこのタイミングで増益した企業が一定数存在することから今後、経済が回復基調になることによって現在の悲観的な状況は改善に向かうことと推測できる。
ただ一方で倒産こそしてないけれども債務が増加した企業は多々あり、これは後々の爆弾になる可能性も否定できない。しかし、日本社会全体が経済成長の軌道に乗れば、この爆弾のリスクも大きく減る。何よりも財政支出と民間経済を活性化させるための経済政策の両方が必要であり、財政支出を渋るような政策は適格ではない。
また、消費活性化のための減税などの政策も必要であるだろう。給付金という話はでるが、私は長期的に減税を行うことの方が大きな効果を持つと考える。
今回の月例経済報告を読んで日本の弱点だと感じたのはやはり内需の問題である。現在、大きく影響を受けているのは政府の政策によって自粛を余儀なくされている業種であり、彼らへの補助も十分なものとは思えない。
完全に精神論で「欲しがりません。勝つまでは」の姿勢で自粛している様は戦前の反省のという名目で行われてきた社会方針が何の意味もなくクソほどの価値も生まなかった証明であり、これだけでも日本の左翼陣営の罪の重さを痛感するが現実はこの様だ。
やはり今の日本の課題は外需依存経済からの脱却であり、内需の拡大である。故に昨年度のような大幅な財政支出は今年度も必要である。同時に予算執行状況や用途の説明や報告も徹底すべきだ。
コロナ復興予算(税金)はいたるどころで無駄遣いされている節が多々あり、この現状は許し難いものである。内需拡大のための経済政策と現在自粛を余儀なくされている業種が経済回復と同時に利潤を生み出せるような政策は当然必要だ。
昨年波紋を呼んだ「Go to」政策はまさしく効果があったものでこれは継続されるべきだと考える。現状の輸出増加も永続的に続くわけではないがゆえに内需を拡大し外需縮小の際のリスクにも対応できる経済環境を整備していく必要が政府にはあるだろう。
財政審議委員会では2025年のPBの黒字化が提言されたようだが、あんな御用集団の話など真に受けている場合ではない。現在の議会では官僚を利用できない政治家が多いようだが、民衆の負託を受けてない官僚が何を言おうと正直なところ関係ない。マニフェストを守れない政治家は落選してしかるべしだ。
消費者の経済観が社会全体の経済観に反映されるがゆえに消費者の視点に立った経済政策の実現・実行のみが望まれる。現在の政府の経済政策にはその観点が抜け落ちているように思え、それを指し示すかのように第一四半期のGDPを見ると悲惨なものだった。
世間では「脱成長」などを唱え亡国を目指す学者もいるようだが、誰も幸福にしない「脱成長」よりも幸福を生みだす「経済成長」のみが望まれることであり、そのような妄言が勢力として力を持つほど「表現の自由」が担保されている国に生まれたことを幸福に思う一方でそのような勢力が力を持つほどに「経済成長」を忘れそのような妄言が競争社会において残ってしまっていることを悲観することもできる。
やはり消費者が消費をしようと考えられるようなマインドを醸成するための消費者のための経済政策が望まれ、その結果は日本の経済成長に繋がる。財務省の雲行きが怪しい今、下らぬ経済自粛で苦しむ業種への救いと長年経済成長できず停滞した悲惨な経済環境の改善こそが政治に求められているのだ。
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