シャクナゲ

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体験(3)父の逝去と永遠の生命

「ああ,謝りたい。謝りたいねえ」と,末期の癌で病室のベッドに3か月間仰臥したままの父が突然言った。「お父さん,誰にそんな謝らなくちゃならないことがあるの」 昔,母にさんざん苦労をかけたからか,それとも若い頃に親不孝でもしたのか。 だが,父の言葉は思いがけないものだった。父は遠くを見つめるようにして言った。 「大御本尊さま」 そんな言葉が出るとは,全く予想しなかった。創価学会が大嫌いで,母の入信に猛反対。仏壇を鉈で壊し,御本尊を破って捨てたこともあった。その後,死にそうな目

    • 人類みな一つ(1)指導者像,新しい価値観「現代人物論 池田大作」小林正巳著(昭和44年9月25日)第42回

      生命の世紀  しばしば述べてきたように、池田は人間性尊重による平和社会の実現を構想し、過去二十年余、それを確信して彼の戦いが進められてきた。いま池田は約三十年後の二十一世紀に 賭けて、遠大な構想に一歩一歩近づこうとしている。たまたま、時代は人命が交通事故で簡単に奪われている現実、公害また大学紛争などから経済発展のカゲの人間疎外の問題がクローズアップされ、折にふれてジャーナリズムでも人間回復の必要が論じられるようになった。  一方四十三年ごろから登場した未来論は二十一世紀の科学

      • 組織と理想の指導者像(2)指導者像,そこにあるもの「現代人物論 池田大作」小林正巳著(昭和44年9月25日)第41回

        共通する指導者像  私が数年来池田を観察して気づくのは、本から知った毛沢東、そして故ケネディ米大統領といろいろな点で共通する特質をもっていることだ。もとより、それは指導者としての普遍的なもので、とくにケネディや毛沢東と限定するまでもないかも知れない。池田自身も、「ある意味で一つの新しい社会をつくりあげていく道程は、どうしても共通点がでてくるのなのでしょう」という。なるほどそうかもしれない。  元来、この二人と池田を比較すること自体、あるいは不適当かも知れない。  第一ここにあ

        • 組織と理想の指導者像(2)万人のための真の指導者「現代人物論 池田大作」小林正巳著(昭和44年9月25日)第40回

          指導者の条件  「権力者は青年を利用するが、指導者は青年を育てる」とは池田の言葉である。 一般的に指導者という言葉と権力者という言葉は混同されがちだ。早い話が,一刻の首相は,最高の権力をもつことによって,その国の指導者にもなる。しかし,指導者として適格かどうかは別である。  池田が指導者と権力者の概念を区別して使うのはそのためといえよう。  それなら,池田が考える指導者とは、どういう姿なのか。 「先見の明があり、理念をもっていること。理念のない指導者は失格だ。それは単なるボス

        体験(3)父の逝去と永遠の生命

        • 人類みな一つ(1)指導者像,新しい価値観「現代人物論 池田大作」小林正巳著(昭和44年9月25日)第42回

        • 組織と理想の指導者像(2)指導者像,そこにあるもの「現代人物論 池田大作」小林正巳著(昭和44年9月25日)第41回

        • 組織と理想の指導者像(2)万人のための真の指導者「現代人物論 池田大作」小林正巳著(昭和44年9月25日)第40回

          組織と理想の指導者像(1)ゆるぎなき組織づくり(2)「現代人物論 池田大作」小林正巳著(昭和44年9月25日)第39回

          幹部教育の方法  あくまでも、団結を守ることが、最大の眼目である。その点で、池田の指都は、いっそうキメが細かい。  「第一によく気がきき、みんなが納得できる幹部になってもらいたい。第二に後輩に自信を与える指導者になってもらいたい。私の前でペコペコして、よそへ行って、威張ったりするのではいけない。第三にさっぱりした感じのよい幹部になってもらいたい。腹黒い陰険なのは困る。そういう幹部は、みんなで追放しましょう。また何でも相談にのってくれる幹部になってもらいたい。確信のある聡明な幹

          組織と理想の指導者像(1)ゆるぎなき組織づくり(2)「現代人物論 池田大作」小林正巳著(昭和44年9月25日)第39回

          組織と理想の指導者像(1)ゆるぎなき組織づくり(1)「現代人物論 池田大作」小林正巳著(昭和44年9月25日)第38回

          秩序ある組織体  「人体こそ最高に完璧な組織体である。また、およそ社会機構で組織の存在秩序ある組織体 しないものはない。(略) 組織はその団体の目的、使命達成のためにより価値的に、より効果的に指導、伝達の徹底がなされ、共に全員が、その恩恵に浴し、幸福になるためのものでなくてはならない 」(人間革命)  組織に対する池田の考え方である。たしかに、政党もそうだし、官僚機構、会社、労組など、今日の社会はすべて組織の時代だ。ほとんどの人が何らかの組織の中で生活しているといってもよさそ

          組織と理想の指導者像(1)ゆるぎなき組織づくり(1)「現代人物論 池田大作」小林正巳著(昭和44年9月25日)第38回

          対談 池田大作は語る:後へ続くひとのために(昭和44年)(4)小林正巳(毎日新聞記者)

          <女性の生き方> 小林 女性を本来、平和主義者として、平和運動の役割を期待されていますが、歴史上実際問題として、戦争の抑止力になっていないように思えるのです。人間の半数が女性だというのに、社会的エネルギーになりえない理由をどう考えられますか。たとえば、エゴイズムなど。 池田 いろいろ考えられますが、わが国の場合、長い間の封建体制のため、女性は表面に出 ず、うちにこもって家庭を守り、子供を育てることに専念していればよいという観念がしみこんできたこと。また、あらゆる技術の未発

          対談 池田大作は語る:後へ続くひとのために(昭和44年)(4)小林正巳(毎日新聞記者)

          対談 池田大作は語る:後へ続くひとのために(昭和44年)(3)小林正巳(毎日新聞記者)

          <体制に挑戦する現代青年> 小林 ところで、大人はなにかにつけて、今の若いものは気力がないとか、礼儀を知らないとか言いがちです。もっとも、この言葉は古い世代から次の世代へ順送り的なところもありますが。現代の青年について、会長はどのように思われますか。 池田 一部の姿をみて、全体を批判することはできない。無気力だとか、礼儀知らずだとかいうのは、一部分しか見ない偏見ではないかと思う。もちろん、刹那的な楽しみに酔ったり、長いものには巻かれろ式の,無気力な青年も一部にいるかも知れない

          対談 池田大作は語る:後へ続くひとのために(昭和44年)(3)小林正巳(毎日新聞記者)

          対談 池田大作は語る:後へ続くひとのために(昭和44年)(2)小林正巳(毎日新聞記者)

          <崇高な目的と信念> 小林 環境に勝つ以上に、自分に勝っていくことは、大変なことだと思うんです。私なんかもなかなか勝てませんね。楽をしたいという気持に引きずられてしまいます。そういう自分に勝つことが「人間革命」になるのですか 。 池田 そうですね。人生のほんとうの戦いは,せんじつめていけば、自分との戦いですね。ある人の言葉に「見えざる敵を恐れよ」という名言がありますが、この「見えざる敵」とは  結局、自分の内にある、弱い自己をさしていると思います。 人間の心の中には、この弱い

          対談 池田大作は語る:後へ続くひとのために(昭和44年)(2)小林正巳(毎日新聞記者)

          対談 池田大作は語る:後へ続くひとのために(昭和44年)(1)小林正巳(毎日新聞記者)

          <大きな悩み・小さな悩み> 小林  誰でも、青年期には 、いろいろな悩みがあるものですが、「 若き日の日記」を拝見しても“広宣流布” という至上目的に対する悩みはあっても、私生活にまつわるような、小さな悩みはうかがえませんね。経済的に苦労されても、貧しさが少しも惨めさにつながっていないというのでしょうか。たとえば、「今日は生活費、逼迫す。金欠病となる。いやはや」といった具合に、全然、じめじめしたところがないのですね。 池田  じめじめしないのは、きっと江戸っ子のせいでしょう

          対談 池田大作は語る:後へ続くひとのために(昭和44年)(1)小林正巳(毎日新聞記者)

          忘れまじ嵐の4.24:2008.12.2 各部代表協議会から引用

          先日、昭和54年(1979年)に私が第三代会長を辞任した際、全国の同志から、数多くの怒りと悲しみの声が寄せられたことを紹介した。  “大功労者の池田先生が、なぜ辞めなければならないのか。学会の首脳は何をやっていたのか”──こうした悲憤の声が、手紙や電話で寄せられた。その数は、直後だけでも、およそ8,200から8,300になる。  この時に、同志の皆様が寄せてくださったお手紙は、すべて大切に保管してある。  今、読み返してみても、涙なしでは読めないほどの憤激の手紙である。ありが

          忘れまじ嵐の4.24:2008.12.2 各部代表協議会から引用

          実生活での指導(9)学会員がうけとめるもの「現代人物論 池田大作」小林正巳著(昭和44年9月25日)第37回

          教義と指導  創価学会員のなかには、あらゆる階層が含まれているが、池田の指導を学会員はどう受け止めているのだろうか。  前にも書いたように、池田の指導の多くは広宣流布、王仏冥合の理念をはじめ、身近な社会生活に至るまで日蓮の教義に直接もとづくか、そうでなくても、その思想を根本として現代に適応させて説く。  そして、学会員は池田によって日蓮の教義を現実の生活の上で、どうとらえるかを知るのである。  十七歳の女子高校生は「社会のため、力ある人材になるために日夜、大学受験に勉強を重ね

          実生活での指導(9)学会員がうけとめるもの「現代人物論 池田大作」小林正巳著(昭和44年9月25日)第37回

          3.11東日本大震災に思う(2)

           2012年1月,研究留学中の米国のカーネギーメロン大学での最終講演のテーマを「3.11東日本大震災」にした。東部の名門大学である。どんな質問が出るだろうか,福島の原発事故に対する質問は絶対出るだろう,何をどう話せばいいのか,祈りながら考えに考えた。死亡者数や経済損失を数字で示しても心に響かない。かと言って,被害の悲惨さを伝えるだけでもダメだ。  祈りながら考えに考えた結論は,誰にでも絶対にある菩薩の生命を揺さぶり動かす,よし,これだ,決まった。  ポスターやチラシも自

          3.11東日本大震災に思う(2)

          3.11東日本大震災に思う(1)

           東日本大震災から13年。自分に何ができるか問い続けた13年だった。震災直後に何度か東北を訪問し,2年間は年収の1割を寄付にあてた。聖教新聞に載った被災者の方々の名前を毎日ノートに書きだして題目を送った。それぐらいしか,私にできることはなかった。ほどなくして東北文化会館の建設が発表になり,本当にうれしかった。祈った。  2016年11月仙台出張の前日,会館落成を新聞で知った。出張の合間に一目会館を見たいと思い,住所を頼りに探したところ,なんと見事な世界一の会館が建っているで

          3.11東日本大震災に思う(1)

          実生活での指導(8)現実に立つ指導(3)指導が実る時(2)「現代人物論 池田大作」小林正巳著(昭和44年9月25日)第36回

          〈 ある会合で 、ピクトルユゴーの小説に触れて 〉  「ワーテルローの戦いで敗れたナポレオンの一戦士はイギリス軍のウェリントン将軍の降伏呼びかけに屈しなかった。ウェリントンも心の底では、この無名の戦士のあっばれさに勝つことができなかった」  「自分の置かれた立ち場に使命を感じ、生き甲斐を知ることが最も大事なことだ。平凡な姿のなかに偉大なエンジンが動いている人だからである。人生の最後の勝利というものは、その中から出るであろう。栄誉栄達を今から思うのではいけない。自分の仕事に誇り

          実生活での指導(8)現実に立つ指導(3)指導が実る時(2)「現代人物論 池田大作」小林正巳著(昭和44年9月25日)第36回

          実生活での指導(8)現実に立つ指導(3)指導が実る時(1)「現代人物論 池田大作」小林正巳著(昭和44年9月25日)第35回

          指導が実るとき(1)  以下は最近の指導会、懇談会などにおける池田の指導の実例である。(指導はやはり信心上の話が中心になるが、一般になじまない純仏法上の話は避けた。) <M大学会で、革命児として生きてゆく道を教えてくださいとの問いに>  「われわれは、ともすると過去の先入観、過去の事象に観念的にとらわれてしまう。過去は一つの参考として見ていくことは大事だが、未来も同様な方程式でいくと決めるのは、間違いだ。社会にでて、自分の生きる道で自分の力を存分に発揮していくことだ。いかな

          実生活での指導(8)現実に立つ指導(3)指導が実る時(1)「現代人物論 池田大作」小林正巳著(昭和44年9月25日)第35回