第1話感想。何気ない会話をたくさんしている奇跡

(一応、昔そう呼んでいたので…又吉君と、原君、と表記します。)

第一話を観終わってすごく思ったのは、思っていた以上に漫才コンビ「スパークス」について描いているということ。また、全編を通して原作よりも仲睦まじいシーンが多かったのはとにかく嬉しかったです。なんでもない会話の端々に線香花火を見つけ出して涙し、まだ学生気分の抜けていないじゃれあいのシーンに「たっちゃん」と「まったん」を馳せた。

一話で描かれているデュー1年目の頃。私はまだ線香花火と出会っていなかったので、物語を借りて、自分の大好きだった彼らのまだ知らなかった姿を見せてもらえたような気になって。そうか。あの頃はそうだったのかと、想像してまた新しく好きになっていました。

この頃スパークスが代表ネタとして繰り返している「ペット飼いたい」のネタにも、思い出すものがあります。線香花火が次長課長、ライセンスと共に3組で渋谷屋根裏で開催していたトークライブ「333(三割三分三厘)」。

解散の半年ほど前の(この頃にはもう解散を決めていた模様)回で、原君が犬を飼い始めたと嬉々として話しており、対する又吉くんは動物が怖いと語っていました。それでも少しペットに興味がわいた又吉君が「ペット、ええなぁ。俺も買おうかな」とぼそっというと、「どうせあれやろ。お前は猿やろ。」と原君が投げやりに言い「う、うん。そやなぁ」とぎこちない相槌で又吉君が返す。

ほんのちょっとした会話の時に原君が又吉君の全てをわかっているような話し方をするのと、それを少しだけ嫌そうにしていた又吉君の感じが、「火花」の中のキラキラしたスパークスと乖離していて切なさを覚える。私が応援していた線香花火の時間のうち1/3くらいは「解散前」の時間だったわけだけれど、みんなこうやって、ただ漫才が好きで、ただ売れたいと思っている瞬間が必ずどの芸人にもあって、でも同時に、まだ本当のプロとは言えない意識の低さが見え隠れすることもあるから苦しい。多くのことを経験して、たくさん嫌な思いもしてしまって、でも反比例するみたいにネタは上手くなっていくし。

その未来が現実でも予期できるだけに、全体を通して朝焼けの美しすぎる景色や、あほんだらの漫才を見つめる徳永のメガネに反射する花火の映像がきれいで切なかったです。

後半に向かうにつれて抒情的でより核心的に物語は進んでいくけれど、私には実はこの一話が一番泣けた回だったのは不思議でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?