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Photo by
inagakijunya
街の中華料理店、という遺産
夕方、家族揃って近所の中華料理店を目指して歩く。夫は息子と、私は娘と手をつなぎ、いつもの道を軽快に進む。あなたの家の近くにもあるだろうか。小さくて古い、中華料理店。
・赤い暖簾がかかっている
・瓶ビールがある
・おじちゃんとおばちゃん(夫婦)が切り盛りしている
・炒飯が600円台
・地元客で賑わっている
この5大条件を満たしたら、私は文化遺産に認定したい。
小上がりの席に着くなり、はーい!と元気よく挙手して、私たちは餃子・にんにく炒飯・唐揚げ・ワンタン麺・瓶ビールを注文する。
店のテレビでは森高千里が、おばさんになっても愛してくれと歌っていた。美しいあなたは永遠におばさんにはならないから大丈夫だと、それを見上げて頷く。
一方、おばさん道を突き進む私は、熱々の餃子を頬張る。そして冷えたビール。至福。夫にもどんどんビールを。ビールの大瓶は、ふたりで飲んでも丁度良い。
娘は両手でにんにく炒飯を囲い込み、これ全部食べたいと訴える。息子は立ち上がってテレビを覗きこみ、ゆず出ないかなぁと目を輝かせる。唐揚げをかじり、ワンタン麺をずるずると啜る。皆、うまいうまいと勢いよく平らげていく。平和な土曜日の夕食。
恥ずかしげもなく、瓶ビールをもう1本。こういう時、おばさんになったなぁと思う。自分のことをおばさんと呼ぶなんて自虐!と言う風潮もあるが、私はおばさんになれて嬉しい。おばさんでも愛してくれる家族がいて、最高。欲望の赴くままに、好きなものを好きなだけ。堂々と胸を張って歳を取りたい。
結局、にんにく炒飯と餃子までおかわりし、お腹いっぱい食べた。それでも会計は4000円弱。ああ、街の中華料理店よ、永遠に。
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