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トイレアレコレ・7 個室籠城-2


ウン十年前、ベトナム一人旅も終盤の帰国日。
突然襲われた体調悪化。
下痢と嘔吐を気合で抑え、なんとか空港まで到着した、わたし。

さて、機上の人となれるのか?

前回↓

小さな空港だったことが幸いし、チェックイン、出国手続きとも、なんとかクリアしたワタシは、空港のトイレへ直行した。

そして、トイレその個室が、搭乗時間までの私の待合室となった。

個室では、ここまで貯めていたものを、上から下から、出す。
もう、ぐったりで、辛さに目を閉じると、気が遠くなった。

周期的に訪れる嘔吐、下痢をこなしながら、どうか、無事搭乗できますようにと祈った。

空港自体が大きくなく、飛行機の本数も少ないのだろう。(時間的にもか?)
トイレに籠っていても人の気配がほとんどなく、そういう意味では遠慮なく滞在できたし、苦悶の声も出せた。

そして、やってきた搭乗時間。

事態に備えて、トイレットペーパーを一つ頂いて、リュックサックに押し込んでから、個室を出た。

トイレ自体は結構大きくて、通路の両側にたくさんの個室が並んでいた。
通路突き当りの窓からみえる空はもうすっかり夜で、トイレは蛍光灯の白い光で満ちていた。
何故か残っている光景。

その後、待合ロビーへ、よたよたと移動した。

当時、ベトナム ホーチミンとの飛行機(東京の直通はなく、関西空港間での)は、週二だったかと思う。
なので、自然、往復の飛行機が一緒になるメンバーも多かった。

と、いうことで、わたしは、行きの飛行機で同じだった団体旅行のおじさんに再会し、親し気に声を掛けられた。

行きの飛行機では、「一人で旅行なんてえらいねえ」と、「べつにそんな…(汗)」、とこっぱずかしくなるような会話を交わした。
二十代だった私が、娘みたいに見えたのかも知れない。
人のよさそうなおじさんだった。

どこへ行ったのかとか聞かれたかと思うが、厳しい状況のわたしは、短く返事をし、「ちょっと体調が…」と、話を終わらせ、離れたところに座った。

そして、搭乗。

乗ってしまえば、日本に着く。
スチュワーデス(今でいうキャビンアテンダント)さんもいるし、なんとかなるはずだ。
最後の踏ん張りどころだと思った。

飛行機は小さい。
行きより小さいやつで、これが国際線?!という感じ。
狭い通路挟んで三席-三席か、三席-二席だったと思う。

わたしは三席の通路側で、隣はわたしと同じ年齢くらいの日本人カップルだった。
シートベルトを付けて、目を閉じ、大丈夫と言い聞かせながら、離陸を待った。

やがて離陸。そして、上昇とともに一気に気分が悪くなる私。

これはヤバい。

シートベルトのサインが消えると同時に立ち上がる。

ト、トイレはどこ?!


以下に続く↓


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