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詩集

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2021年1月の記事一覧

午前七時

午前七時

午前七時 私の影は前方にある

私と同じ背の高さ

右足をひきずる事しかできない私にも

二本 人並みな足が出来る時間

つばさある鳥の影が

黄色いかたばみ咲く道を

一緒に歩く時間

生きゆく力が湧く時間

忘れられたベース

忘れられたベース

人待ち顔のベースが窓際で夕日をあびている

高校生だった息子が毎日弾いていたベース

今 彼は油まみれになって働いている

疲れるのか もうベースを弾かない

そっと弾いてみると低くピーンと鳴った

初めて声変わりした時の息子の声のような音で

いつの間にか紫色に黄昏かけている

心のにじ

心のにじ

心の中に にじを作る

しゃぼん玉のように

まろやかで やさしい にじを作る

悲しくて 涙が出たって

思いやりの心があれば

ピンクやブルーのきれいなにじが 

心の中にできる

愛のにじ

勇気のにじ

希望のにじ

赤かぶによせて

宇宙は土の中にもある

だってこんなに真っ赤な太陽のような赤かぶを

小さな種を育んで土が作ってくれたもの

だから青空と優しい冬日に背を向けて

土と向い合っていても

宇宙の神秘と包容力はわかる

ほら 鳥の羽根のような赤かぶの緑の葉っぱが

あたしたちは幸せの青い鳥よと

ほこらしそうに風にゆれている