嘘はいかん、嘘は。ー またも日本の十八番 ”先送り戦略” 。
皆さんのお手元にも届いただろうか?
2023年8月からの「電気料金見直し(=値上げ)のお知らせ」である。覚悟はしていたがこれは酷い。百歩譲ってこれも「インフレ」の一環と諦めるとしても、「お知らせ」冒頭の ”言い訳” に腹が立つ。
嘘はいかん、嘘は。
本当の所は:
こんな所だろう。
処理水等々、嵩む原発事故の処理コストも回収したいのだろうが、本来エネルギー戦略の失敗を認め消費者に頭を下げてお願いするのが筋。ところが謝るどころかこの「値上げ」をテコに「原発再稼働」に持っていきたいという霞ヶ関の思惑も見え隠れする。いやはや「利権」は恐ろしい。突っ込み所満載のこの事案に手を突っ込まないところを見ると、所詮野党も与党と ”同じ穴の狢” 。日本人も舐められたものである。
昨年戦争の影響でイタリアやイギリスで電気料金が月8~10万円に急騰して大変、という記事を見て「日本はまだマシ」と勘違いした方もいたかもしれない。だが実態は*「補助金」などで見た目の「値上げ」を抑え付け、ヨーロッパの現状に1年遅れでアップデートしただけ。
さて「インフレ」「利上げ」で "先行" している欧米だが、こちらは違った兆し。FRBの一部に「利上げ」停止の議論が持ち上がっているようだ。
さて、そこで発表された5月の米雇用統計 ↓
またもや何とも微妙な数字。平均時給が落ち着いてきているのはFRBにとって朗報には違いないが、NFPは依然目処とされる+20万人を大きく上回る。まだまだ とてもじゃないが「利下げ」を言い出せる状況には無い。|損切丸 (note.com)
実際1年以内のTB(Tresury Bills、米国短期債)の動きを見ると、政策金利は@5.5%までの上昇を見込んでおり、2023年の「利下げ」は殆ど無い。
但し、一時@4.6%台まで急落(金利は急上昇)した2年債や@4%に接近した5~30年ゾーンには猛烈な買い戻しが起きた。おそらく "リアルマネー" の買いが出たのだろう。確かに2年の@4.5%、5年超の@4%近辺は一旦買ってみたい水準ではある。
ウォール街がそれに"提灯" を付けて米国債を買い上げ(利回りが低下)、 ”イールドスプレッド” (株価と10年米国債を比較した指標)などをテコに米株も持ち上げている。まあこれも 「利下げ」しないと株価は上がらない?|損切丸 (note.com) お馴染みのパターンではあるが、**本格的な底打ちになるかどうか、今回も様子を見てみよう。
さて "周回遅れ" の日本。人手不足、人件費高騰に関しては欧米に遅れて拍車がかかりつつある。ホテルや飲食に関してはパート時給を@1,500円まで引上げても人材の確保が困難になっており、いよいよサバイバルの様相を呈してきた。今後は正社員の比率を増やし人員を安定させないと「人手不足倒産」が続出しそうな雲行きであり、CPIは日銀が示しているような「+2%以下」に収まるような状況にはとても見えない。
「利上げ」でも "周回遅れ" の日本。果たして日銀はFRBの後を追うのか、それとも「預金大国」の利を生かして「インフレ税」の徴収、e.g., 「円安」+「低金利」、に勤しむのか。日本の消費者にとって重要な意味を持つ。
いずれにしても電気代がこれだけ上がると、太陽光や蓄電池等、自家発電設備に傾倒する家計が増えるかもしれない。実際、そういう機器は価格もこなれてきて大分売れている。今は10年もあれば元が取れるし、今後の「値上げ」にも「預金」で持っておくより余程有効だ。
実際「損切丸」が怒ったように、こういう事が社会変革の口火になるのかもしれない。特に「現状維持」指向の強い日本人にはこのくらいのショックが必要。背中を押されて社会が動くなら、それも良しだろう。
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