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「人民元」がおかしい。 ー 「ルーブル救済」のはずが...。

 「円安」ばかりに気を取られていたら、今度は「人民元」がおかしい

 「侵略戦争」前には@6.3100台だったのが、この2週間、対ドルで▼3%急落し一気に@6.5000台へ。一体何が起きているのだろう。

 1つは、続・「ルーブル」の ”リアル” 。ー 人民元安、インドルピー安による「隠れルーブル買介入」。|損切丸|note で解説した安いエネルギー資源購入の代償として「人民元売り」で「ルーブル」救済したこと

 ①原油・ガス・石炭を売った代金を人民元、ルピーで受取  ②FXに人民元、ルピーを売ってドルに変換  ③ドルを中銀に売ってルーブル買い

 だがそのエネルギーの価格差を為替市場がレートで「調整」この1ヶ月の対ルーブルの「人民元安」はなんと▼40%! あからさまな「ドル支援」だったが、これではせっかくの戦略も台無し。バチが当たった(苦笑)。

 かつての日本同様、輸出大国・中国にとって「人民元安」は有利。だがそれはあくまで「グローバリゼーション」が前提だ。「米中対立」「サプライチェーン再構築」が進む中、「通貨安」は通商上の有効な武器ではなくなりつつある。世界は「新・冷戦」とも呼ぶべき "分断" に向かいつつあり、 実は世界中で起きていた「安物買いの銭失い」。ー エネルギー価格の教訓。|損切丸|note = “安かろう、悪かろう” に世界は目覚めてしまった

 こうなると「自国通貨安」は単純に「国富」の喪失につながる。最も怖いのが「キャピタル・フライト」(資本流出)。特に借金が不相応に膨張した中国にとって、不良債権に喘ぐ不動産会社、そこに貸し込んでいる国内銀行、そして国そのものの「資金繰り」問題が立ちはだかる。

 ”中国証券監督管理委員会(証監会)は機関投資家に株式投資拡大を要請”

 中国株式下落に業を煮やした証券当局は、国内投資家にいわゆるPKO(Price Keeping Operation、株買い支え策)要請に動いた。4/22は何とか値を保ったが、PKOが中長期的に効果に乏しいのは日本で実証済み最悪「倒産」なのだから、誰だって「お金」をドブに捨てたくはない

 「中国は外貨準備が3兆ドルもあるのだからドル売り介入すればいい」

 これも 見えているものが全てではない。ー 偽りの「ルーブル高」「逆イールド」。|損切丸|note の一例中国は過去の「ドル買い介入」で得た3兆ドルを丸々使える訳ではない外貨準備の内、今使えるのは米国債の1兆ドル程度金額では日本のそれを下回っている

 「スリランカは中国からの ”高利” のドル借入に苦しんでいる」

 突如IMF(国際通貨基金)に駆け込んだスリランカだが、大元は「ドル借金苦」中国「一帯一路」AIIB(アジアインフラ投資銀行)を通じて多額のドルを世界中で貸し込んでおりおそらく2兆ドルは手元にない。このドル貸出が「不良債権化」すれば単なる「損失」と化す。いくら港湾設備等を分捕っても割に合うのか、疑問だ。

 アメリカに匹敵する59兆ドル ≓ 7,600兆円ものべらぼうな借金で築いた「資産」は国内外で不良債権化しつつあり、このままではかなりの「国富」が失われる。そして「不良債権」の恐ろしいところは、「収入がゼロ」なのに「資金繰り」だけが続くこと"Zero Income Funding" (収入ゼロのための資金調達)と呼んだりするが、これがきついバブル崩壊後、日本が20年もの歳月を無駄に費やしてしまったが、きちんと「損失処理」しないと「資金繰り」による金利負担だけが蓄積する。

 こういう状況下で起きる「通貨安」はかなり危険だ。景気鈍化を見れば「利下げ」が適切だが、それは「人民元安」と差替えになる。実際中国国債の金利は高止まりが続いており、金融当局の苦悩を示している。米国債を中心に 「金利@3%時代」の幕開け。ー 拡大する「お金」の "闘い" 。|損切丸|note も状況を悪くしている

 「利下げ」か「人民元安」阻止か。

 中国当局は究極の2沢を迫られる。国家による「管理相場」と思われがちな「人民元」だけに、今回の「通貨安」への対応苦慮は意外かもしれない。だが*無制限に為替介入出来る「自国通貨高」と違い、「自国通貨安」は外貨準備が尽きれば後は「利上げ」ぐらい。1兆ドル程度ではとても「管理」は無理。見た目より状況は切迫している可能性がある。

 これは日本も同様で、今の「円安」が問題なのはまさにその点。ただ中国に比べると現時点で不良債権を抱えていない分、まだマシかもしれない。

 「欧米金利の上昇」と「人民元安」。これが「新・冷戦」「分断の時代」の幕開けとすれば、状況が悪化した "レッド・チーム" が軍事行動に出ている事実と辻褄は合う。歴史が証明するように、やはり「お金の戦争」になるのか...。暗澹たる思いを禁じえない。

 一般庶民はある意味財務当局の狙い通り「インフレ税」を払わされているが、「投資」など創意工夫で乗り越えたい。ピンチはチャンスでもある。

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