「金利@3%時代」の幕開け。ー 拡大する「お金」の "闘い" 。
"高金利通貨" オーストラリア・ドルが戻って来た!!
40代以上で過去に外貨預金などに投資した経験がある方は憶えているだろうが、かつてオーストラリア・ドルといえば "高金利通貨" の代名詞。名目金利@4~5%は当たり前だった ↓ 。それが10年国債でようやく@3.0% ↑ にまで戻って来た。「金利@3%時代」の幕開けである。
この "新しい時代" を先導しているのは間違いなく米国債。こちらも政策金利@4.0~4.5%までの上昇を見据え、5~10年債が@3.0%に接近。まさに時代の ”転換点” である。
この時点で*ギリシャの10年国債が@3.0%を超えていないのも意外だが(苦笑)、まあ「統一通貨・ユーロ」という特殊性を考慮する必要もある。
長期的な米国債金利の推移 ↓ を見ると、1980年代以降、ほぼ40年間一貫して金利が下がってきたことがわかる。
これはまさに「グローバリゼーション」「ディス・インフレーション」の潮流を示すものであり、ソ連崩壊後の「デタント」で訪れた ”平和” のリターンの象徴。低金利の「お金」を含め、安いものが大量に手に入った時代だ。その中心が中国だったのだが、それも終わりを告げようとしている。
その ”転換点” で起きたのがパンデミックであり今回の侵略戦争だ。どちらも「安い商品+エネルギー」を供給してきた2国が起こした”戦争”であり(筆者個人は今でもパンデミックは自然発生ではなく、研究所から "事故" で漏れ出した生物兵器を利用した "仕掛け" と考えている)、もう戻れない ”ルビコン川” を渡ってしまった。「金利」「インフレ」に関しては、1970年代以前の「東西冷戦時代」を "参考" にしていく必要があろう。
既にこの ”転換点” にかかるコストを巡って「お金」の "闘い" が拡大している。エネルギー価格の上昇を筆頭とする「インフレコスト」がその主たるものだが、日米欧の株価で▼5~15%程度の調整が起きている。
だが実は "闘い" の主戦場は先進諸国ではない:
・エジプトがIMF(国際通貨基金)に金融支援要請。
・スリランカで暴動。26人の閣僚が一斉辞任。
・パキスタンで不信任案可決。首相が辞任。
これらの事例はこの ”転換点” と無関係ではない。きっかけは「借金過多」と「インフレ」だが、状況は1994年の「メキシコ通貨危機」、1998年の「アジア通貨危機」に似通う(ご興味のある方は一度ご参照を)。メキシコやタイなど前回 ”狙い撃ち” にあった国々は「危機」の教訓から「金融基礎体力」を強化してきており、今回まだ問題は起きていない。
そして今までとの違いが「貸主」がアメリカではなく中国であること。
今回 ”狙い撃ち” にあっているのが侵略戦争の起きている「東ヨーロッパ」やインド周辺諸国にアフリカ。特に中国の「一帯一路」で高利のドルを借りた国々で問題が噴出している。相変わらず借金は "ドル建" だが、アメリカはこれらの国々が経済危機に陥っても、今までのように「救済」する義務がない。「利上げ」という武器だけ握っているのがミソである。
いい意味でも悪い意味でも鍵は中国。借金のカタとして軍事用の港湾利権を分捕ったりすれば「利益」となるが、借りた側がケツをまくって「返さない」と言い出せば「不良債権化」する。国内の不動産だけでもアップアップなのに、国外でも ”荷物” が増えては堪らない。国内の銀行救済で小刻みな「金融緩和」を進めても人民元の金利、特に長期金利が下がらないのが「資金繰り」の窮状を示している。
これから世界はアメリカを中心とする「西側」と中国を中心とする「レッド・チーム」に分断していくだろう ↓ 。前者は既に「インフレ」に突入しているが、後者が同様に「インフレ」化するのかは議論が分かれる所だ。
中国が急速に「人口減少社会」に向かう点を考慮すれば「日本化」=「デフレ」の目もある。だが**肝心の「ドル不足」から人民元など各国の「法定通貨」を刷りまくれば、「お金の希薄化」で最悪「スタグフレーション」もあり得る。人民元金利の高止まりを考慮すれば「デフレ」より「スタグフレーション」の確率が高いと筆者は考えている。
そんな中異彩を放っているのが「日本」。安全保障政策ではあれだけ「西側」寄りなのに、金融・経済では「レッド・チーム」寄りに映る。特に「利上げ」を拒否する日銀は象徴的で、このまま過剰な「お金」をマーケットに放ったらかしにして「円安」を放置すれば「スタグフレーション」まっしぐら。一説には「理想の社会主義国」と言われる日本は ”本領発揮” となるのか。価値感は「西側」と共有するのに…大いなる矛盾でもある。
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