久々に見る本格的 "Flight to Quality" =「質への逃避」。
「ロシア、来週にもウクライナに対し行動に出る恐れ。米国民は退避を」
「金曜日のNY引け間際にやめてくれ!」というのが市場関係者の正直なところかもしれないが、ウクライナ情勢を巡って、久々に見る本格的 "Flight to Quality" =「質への逃避」で相場が急変:
”戦争リスク” についてはトレーダーも投資家もかなり意識していたので、コアな「お金」の移動はほとんど済んでいたはず。これらの動きは:
明日(2/12)には米仏ロによる電話会談が設定されたようだから、状況次第では ”なんちゃって相場” で元に戻る可能性もあるが、週末で特に②④米国債売り、円売りはポジションの偏りもあって動きが加速。
「アングロサクソンは戦争を必要としている」
ロシア側が反論しているが、まさに「おまいう」状態(苦笑)。ただ、あながち当てずっぽうなわけでもなく、「アメリカの戦争」については数々の "逸話" も存在する:
投資銀行業界にいると、メディアには出ない ”生臭い話” が伝わってくることがある。銀行の経営陣レベルだと政府との繋がりも深いため、 "単なる噂" と片付けられないことも多い。実際、不自然な売買指示も事が起きてから「ああ、これか」。メディアには出ないと書いたが、記者も知っていて口外できないこともあり、こちらも "後で納得" なんてこともあった。
銀行から "足抜け" した筆者にもう ”生臭い話” "噂" が伝わることはないが(笑)、「戦争」のようなシャレにならないリスクについては、この土日も政府、メディア、投資銀行業界で情報が錯綜しているはずだ。場合によっては国家運営や経営に関わるだけに、 ”最悪のケース” に備えて必要な手=ヘッジ、損切り、処分売りは進めておくのが鉄則。欧米流の "Risk & Reward" の概念から言えば、非常時に株価が数%下がるぐらいのコストは安いもの。これが「質への逃避」の正体である。
今一番胸をなで下ろしているのは黒田日銀総裁かもしれない。14日に行うと通告した「無制限国債買オペ」がきっかけでドル円が116円台に一気に上昇し「円安」が加速(クロス円も)。米10年国債が@2.05%まで売られどうなることか、と思ったところで降って湧いたような「円高」「米国債高」。
「物価上昇の可能性は低い」←「物価、どんどん上がってますけど」
こんな "謎コメント" には突っ込み所満載だが、 ”悪運" が強いというか何というか…。ただ「円安」問題の根は深く、任期の2023年4月までこのまま逃げ切るのは無理がある。「黒田バズーカ」等等、好き勝手した分、残り1年ちょっと苦しむのは「因果応報」ということだろう。
しかし「パンデミック」に強烈な「インフレ」、「戦争」とくればメガトン級の ”不確実性” のオンパレード。激しいジグザグ相場が始まっており、まさに「一寸先は闇」。いかに短期売買が得意なトレーダーでも、こうなるとリスクを負っていること自体がリスクになってしまう。この局面、中途半端な "こだわり" や "決め付け" が一番危ない。
ただ原油価格の急騰が示すように、「戦争」があろうとなかろうと今の「高インフレ」の流れは止まらない。金利の低下は一時的であり、株も債券も保有している資産は「売り時」を探すのが2022年の基本だ。
「戦争」にしろ「金融引締め」にしろ「勝負」に行くのはマーケットに「お金」がなくなった時。「金利」上昇がその指標になるだろう。正念場はまだ先だが、その時に余計な荷物を抱えていないのが理想ではある。
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