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久々に見る本格的 "Flight to Quality" =「質への逃避」。

 「ロシア、来週にもウクライナに対し行動に出る恐れ。米国民は退避を」

 「金曜日のNY引け間際にやめてくれ!」というのが市場関係者の正直なところかもしれないが、ウクライナ情勢を巡って、久々に見る本格的 "Flight to Quality" =「質への逃避」で相場が急変

 ①一時プラス圏で推移していたNYダウが下落(▼1.4%)、ナスダックも急落(▼2.8%)

 ②売られていた米国債が急騰。10年@2.05%→@1.91%(引け@1.94%)、30年@2.35%→@2.24%

 ③原油価格が急騰。WTI@$93.93(+4.5%)、北海ブレント@$95.05(+4.0%)

 ④為替市場で円が急騰。ドル円@116.05→@115.40

  ”戦争リスク” についてはトレーダーも投資家もかなり意識していたので、コアな「お金」の移動はほとんど済んでいたはず。これらの動きは:

 ①株先物へのヘッジ売り、または仕掛け
 ②④米国債売り、円売りポジションの買い戻し
 ③投機的な仕掛け

 明日(2/12)には米仏ロによる電話会談が設定されたようだから、状況次第では ”なんちゃって相場” で元に戻る可能性もあるが、週末で特に②④米国債売り、円売りポジションの偏りもあって動きが加速。

 「アングロサクソンは戦争を必要としている」

  ロシア側が反論しているが、まさに「おまいう」状態(苦笑)。ただ、あながち当てずっぽうなわけでもなく、「アメリカの戦争」については数々の "逸話" も存在する:

 A.南北戦争(1861~1865) ー 北部軍がわざと劣勢を演出し株価が暴落。その後北部軍が劣勢を挽回すると株価は急反発するが、下値で拾った株が現在のユダヤ財閥の礎となった。

 B.真珠湾攻撃(1941) ー ”奇襲” ではなく米軍が事前に傍受。時のルーズベルト大統領がアメリカ参戦を国民に納得させるために情報を放置。

 C.イラク戦争(2003~2011) ー イラクが「大量破壊兵器」を保有しているという情報を元に始められた戦争だが、実際には発見されず。古くなった兵器の ”在庫一掃処分” のための戦争だったという話も囁かれている。

 投資銀行業界にいると、メディアには出ない ”生臭い話” が伝わってくることがある。銀行の経営陣レベルだと政府との繋がりも深いため、 "単なる噂" と片付けられないことも多い。実際、不自然な売買指示も事が起きてから「ああ、これか」メディアには出ないと書いたが、記者も知っていて口外できないこともあり、こちらも "後で納得" なんてこともあった。

 銀行から "足抜け" した筆者にもう ”生臭い話” "噂" が伝わることはないが(笑)、「戦争」のようなシャレにならないリスクについては、この土日も政府、メディア、投資銀行業界で情報が錯綜しているはずだ。場合によっては国家運営や経営に関わるだけに、 ”最悪のケース” に備えて必要な手=ヘッジ、損切り、処分売りは進めておくのが鉄則。欧米流の "Risk & Reward" の概念から言えば、非常時に株価が数%下がるぐらいのコストは安いもの。これが「質への逃避」の正体である。

 今一番胸をなで下ろしているのは黒田日銀総裁かもしれない。14日に行うと通告した「無制限国債買オペ」がきっかけでドル円が116円台に一気に上昇し「円安」が加速(クロス円も)米10年国債が@2.05%まで売られどうなることか、と思ったところで降って湧いたような「円高」「米国債高」

 「物価上昇の可能性は低い」←「物価、どんどん上がってますけど」

 こんな "謎コメント" には突っ込み所満載だが、 ”悪運" が強いというか何というか…。ただ「円安」問題の根は深く、任期の2023年4月までこのまま逃げ切るのは無理がある「黒田バズーカ」等等、好き勝手した分、残り1年ちょっと苦しむのは「因果応報」ということだろう。

 しかし「パンデミック」強烈な「インフレ」「戦争」とくればメガトン級の ”不確実性” のオンパレード激しいジグザグ相場が始まっており、まさに「一寸先は闇」。いかに短期売買が得意なトレーダーでも、こうなるとリスクを負っていること自体がリスクになってしまう。この局面、中途半端な "こだわり" や "決め付け" が一番危ない

 ただ原油価格の急騰が示すように、「戦争」があろうとなかろうと今の「高インフレ」の流れは止まらない。金利の低下は一時的であり、株も債券も保有している資産は「売り時」を探すのが2022年の基本だ。

 「戦争」にしろ「金融引締め」にしろ「勝負」に行くのはマーケットに「お金」がなくなった時「金利」上昇がその指標になるだろう正念場はまだ先だが、その時に余計な荷物を抱えていないのが理想ではある。


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