続・「利下げ」はまだ気が早過ぎる ー 「時間」を買うか「リスク」を買うか
「利下げ」はまだ気が早過ぎる|損切丸 (note.com) の続編
マーケットは+2%台のCPI → 年明け一気に「利下げ」相場を期待していたようだが、やはり「利下げ」はまだ気が早過ぎる。*ガソリン価格が急落する反面、家賃が上昇。しつこいアメリカの「インフレ」が確認された。
本日(12/13)FOMCの声明文や記者会見でも早期「利下げ」を示唆するような発言は期待薄。ただ大統領選を来年に控え一定の配慮は見られるだろう。ただ2026年に政策金利が@4%を割り込むような現在の金利水準は保つのが難しくなる。
一方の日本はどうか。本日出た12月の日銀短観が印象的だった:
JGBマーケットもメディアもあまり騒いでいないが、本来なら相場が急変してもおかしくない数字。筆者の個人的感覚で言えば、来週の政策決定会合で急遽+0.25%の「利上げ」が決定されても驚かない。
+30(大企業非製造業)なんて数字は記憶にないし、大事なのは中堅・中小企業の景況感が大きく改善されている点。「雇用」を見ても「人手不足」は全く解消していないし、新卒の採用意欲は旺盛。借入金利も上昇見込みが鮮明になっている。
2023年の一文字漢字は「税」に決まったが、確かにこの国の "重税感" はピークに達している。**ネットの書込みだけを見ると「生活が苦しい」に溢れとんでもなく不況を感じさせるが、短観はそれを真っ向から否定。
確かに倒産件数は増えているが、そのお陰で過当競争が和らぎ「値上げ」がし易くなっている。短観はそういう事を客観的に示唆している。クリスマスのイルミネーションで華やぐ街並みを見ても思ったより景気はいい。おそらくここから遅れて賃金が上がってくる。
筆者が大好きだったインディーズバンドの幻の名曲の一節だが、とかく日本人は先行きに不安を抱きがち。9月時点で悪化を見込んでいた12月DIが軒並みプラスに転じたが3月予想もまた極端に弱気。いかにも日本的だ。日本の会社の中では悲観論を言っておけば後で怒られる心配はないが、逆に楽観的見通しを強調して上手くいかなかった時はコテンパンに叩かれる。
ただマーケットや「投資」の世界ではこれはただの悪癖。これではイノベーションなど生まれるはずがない。金融政策も「先読み」で動かす以上一種の "博打" 。事後的な政策発動はいつも "的外れ" であり「失われた30年」はこの繰り返しだった。大事なのは「タイミング」。
こんな短観の後に買われるJGBは重篤な "不感症" で、マーケット機能が消失している証拠。「日本金融村」のお上頼みはそう簡単には治らない。
「金利」的観点からはトレーディングの戦略として①時間を買う②リスクを買うの2つがある。今なら:
①時間を買う代表例はおなじみ「キャリートレード」だが、これは2008年「リーマンショック」以降「過剰流動性」をベースに長らく優勢だった。いわば「ディスインフレ」「デフレ」的戦略。
だが「インフレ」時代への大転換で時代は②リスクを買うに突入。この2年間米株が苦戦したように「淘汰の時代」に入った。「国債無制限指値オペ」で「円安」に飛んだドル円は「キャリートレード」 "最後のあだ花" であり、考え直す時期に来ている。こうなると何よりも「エントリーポイント」(相場に入る価格・タイミング)が重要になる。
FOMCの「利上げ」見送りはほぼ予想通りとしても来週の日銀はどうか。12月短観だけでも「マイナス金利廃止」には十分すぎる根拠になり得る。「政策変更」は意外どころか思ったより確率は高い。大丈夫か、JGB。
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