生活が苦しいのは莫大な「インフレ税」を徴収されているからⅡ
生活が苦しいのは莫大な「インフレ税」を徴収されているから ー 「借金王」は誰?|損切丸 (note.com) の続編
興味深いデータが載っていたので貼ってみた。日本の一般政府純債務が減っているという( ↑ 標題グラフ)これが何を意味するか
「インフレ」になるとGDPの名目値が上がるので債務の対GDPの比率が下がるのは判る。株価の名目値が上がるのも同じ理屈だ。ただ、現首相になってから「純債務」の「絶対値」も急減している
そう思って我が家の「家計」を見直してみた。一番驚いたのが「社会保険料」。8年前にリタイアした時の「健康保険料」+「年金支払い」が年間約▼50万円。ところが近年は軽く▼100万円を超えている!!あと20年生きるとそれだけで▼2,000万円以上の持ち出し。 "長生き" すればもっと多くなる
これは「損切丸」だけの問題でなく勤労中心世代の30~50代に共通の "重荷" 。「国民皆保険」を守るためというお題目だがこれは堪らない。もはや「年金2,000万円問題」狂奏曲|損切丸 (note.com) どころではない
月10万円の「賃貸」暮らしの一家でも年間▼120万円持ち出しになるし、「持家」でも固定資産税に火災保険料、外壁塗装等々同額程度のコストがかかる。これだけで20年で更に▼2,000万円。加えて教育費が子供一人当り▼1,000~▼2,000万円かかればざっと計算するだけで軽く▼5,000~▼6,000万円。これで生活が楽になるわけがない
更に親の「介護負担」がのし掛かる。友人に聞くと認知症だったり歩けなくなったり様々だが、最後の数年は老健(老人保険施設)や有料老人ホームのお世話になる事がほとんど。「年金」で賄えないコストの持ち出しが年▼100~▼200万円。10年 "長生き" すればざっと▼1,000~▼2,000万円
世代間対立を煽るつもりもないが、現実問題としてこの「お金」をどうしろというのか
これで「お給料」が増えているならまだいい。だが「実質賃金」はマイナス圏のまま。 ↓ のグラフをみると、色々言われている割に実は「労働生産性」は着実に改善されている。にも関わらず「お金」が「インフレ」に喰われている実感が強いのは「交易条件」≓「円安」による所が大きい
だから政府・日銀が主導する「低金利政策」の罪は重い
「利上げ」をすると景気が悪化すると主張する向きがあるが、筆者は全く逆の意見。マクロ経済で見れば「住宅ローン」の変動金利云々の議論は些末な事(元々は借主のリスク選択)であり、「実質賃金」を上げるためにも「金融政策の正常化」は待った無し
もっとも財務省も日銀もこんな事はわかっている。もっといえば「財政健全化至上主義」の御旗のもとに「インフレ税」を意図的に "増税" し、どこまで払えるか国民を試してきたとも言える。その辺り「国家の計」を担う「官僚」は "冷徹非情" な所がある
だがこれ以上「インフレ税」で国民が疲弊すれば取れるものも取れなくなる。さすがに「利上げ」をせざるを得ないと腹をくくったのだろう
ここで大問題になるのが「借金」に「借金」を重ねて積み上がった1,200兆円ものJGB(日本国債)。発行国債の約半分を日銀に買占めさせて利払いを抑えてきたが限界に達しつつある
こう嘯く向きもあるが、↓ のグラフを見てもそう言えるだろうか。ショッキングなのは「預金取扱金融機関」=「邦銀」のシェアが「海外」=「外資・ファンド」を下回っていること。つまり今後のJGBマーケットは「日経平均」同様 ”外人主導相場” になっていく可能性が高い
だから7/9、10に「懇談会」なるものを開いて "ハッパ" をかけたのだろうが、今後の下落相場はまさに 「落ちてくるナイフ」 ー 「金利の壁」も崩壊寸前。|損切丸 (note.com) 「邦銀」が「外資・ファンド」より多く買いに回る保証はない。つまり ”外人主導相場” ≓ 欧米国債相場になる。米国債を見れば判るが生温い ”日本金融村” と違い海外は「インフレ」に厳しい
もっとも「金利」が上がれば銀行を通じて預金利息も増えるので「実質所得」も増える。加えて超低金利是正で「円安」が緩和されれば「輸入インフレ」が収まり「実質賃金」もプラス。それでやっと国民が一息つける
”金利を知らずに育った世代” にとっては初めての事でおっかなびっくりだろうが、金利が@2%程度になれば気付く:「今まで何でゼロ金利だったんだろう」。「インフレ」と言われ恐る恐る始めた株式投資で資産を増やしたようにこれまでの「当たり前」が変わる。逆に言えば 「預貯金」では「インフレ」に追い付けない!|損切丸 (note.com) 老後に▼5,000~▼6,000万円も必要なら「投資」は必須になる
今後10年で選挙の世代交代が進めば過剰な「老人保護」政策にもメスが入る事になる。イギリスの ”鉄の女” (Iron Lady)サッチャー首相のようにバッサリ社会福祉費を切り捨てるのは無理かもしれないが、1~2割負担は早晩3~5割負担に引き上げられ、その中味も見直すことになろう。そこまでは「リスク」を取って凌ぐしなない(もっとも「預金」も「リスク」だが)