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続・慌てる黒田日銀総裁、追い込まれるパウエルFRB議長。

 2/26 慌てる黒田日銀総裁、追い込まれるパウエルFRB議長。↓ の続編。

 パウエルFRB議長:「われわれは忍耐強い姿勢を保つつもりだ。当局目標への道のりはまだ長い」「われわれの目標達成を脅かすような、市場の無秩序な状況や金融環境の持続的なタイト化が見られれば懸念するだろう」

 ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)主催の会合での発言。ごくごく当たり前の事を言っただけ、いやむしろ ”ハト派” 的でさえあるのに、マーケットやメディアは「失望」と手厳しい

 しかし議長がどう言おうが邦銀から兆円単位の「実弾売り」が出ている以上、米国債売りの流れは堰き止められなかっただろう(3/4 米国債売りの "主犯" は日本人? ↓ ご参照)。

 そしてこの米国債金利上昇には1つ見逃せないことがある。元・FRB議長のイエレン財務長官の存在だ。2つ重要なポイントがある。

 ①「暗号資産」vs 「法定通貨」の「通貨主権争い」

 イエレン氏の「暗号資産」嫌いは ”筋金入り” 。2018年にはフェイスブック主導の「リブラ」を潰し、今度は「テスラ」をバックに復活してきた「ビットコイン」(BTC)が相手。金利の付かない「暗号資産」に対して金利を引き上げて「法定通貨」を守ろうとの意図が垣間見える(3/4 「法定通貨」VS「暗号資産」再び。↓ ご参照)。

 ②「ドル安・リフレ政策」の修正

  民主党政権お得意の「ドル安・リフレ政策」だが、さすがに「通貨の番人」FRBの元・議長だけあって「無秩序なドル売り」は看過できないのだろう。①の「金利上昇」と相まってやや「ドル高」方向に転換した。ドイツを中心にECBが「超低金利」を維持していることもあり、ユーロドルは@1.2000を割り込んでいるドル円も@108円に乗せてきた

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 こういう複雑な「裏事情」もあるのでドル金利の上昇基調はまだ続きそう。言葉尻を捉えてパウエル議長だけ責めるのは酷かもしれない。

 さて、一方の日銀。今日(3/5)衆院財務金融委員会での発言。

 黒田日銀総裁:「YCC(イールドカーブ・コントロール)の変動幅を(現状の10年国債 ± @0.20%から) ± 0.3%に拡大するという段階には全然ない。相当に議論しないといけない段階だ」

 またまたまた、である(笑)。一体この展開を何度見たことか。利上げや金融引締をしようすると:アドバルーン(観測気球) → 市場が炎上 → 慌てて火消しの繰り返し。今回も日経平均が一気に▼2,000円以上下げるとは想定していなかったのだろう。*自分で上げたアドバルーンを自分で割ってしまった。あまり辛辣な批判はしたくないが、これでは「放火魔の消防士」だ。

 *FRBECBと違い、日銀法第4条「...常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」があるのは理解しているが、これでは政策判断を誤る。だがこれは「他人頼み」「お上頼み」で失敗を責め立てる日本の "風土" も大きく影響している。K・R省やZ・M省など他の霞ヶ関官庁も同様だ。これらを正したければ、日本人自身が変わる必要がある。

 今回の米国債や株価の暴落が実は ”日本発” であることに鑑みれば、7年間もの「異次元緩和」で「過剰流動性」による大きな歪みをマーケットにもたらした黒田総裁の ”責任” は重い▼2,000円程度の日経平均の下げでビビられては困る黒田総裁の発言を受けて10年JGBは ”素直に” @0.10%まで戻しているようだが(いかにも日本らしい。笑)、ここは**「初志貫徹」で「正常化」を目指すべきだろう。

 **もっとも日銀は既に▼65兆円余りの「資金不足」。国債を買い支えようにも、その資金は市場から調達するしかない。例えばバランスシート ↓ 上の「国債」を600兆円(+40兆円)まで増やそうとすれば、「政府預金」=短期国債発行を125兆円まで増やす必要がある。市場への影響としては「短期金利上昇+長期金利低下」となるが、日銀・財務省に限らず過剰な「短期資金調達」への傾斜は常にマーケットに波乱をもたらすリスクを先延ばしにするだけである。

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 さて。株がここまで落ちると上で買ってしまった人には気の毒だが、"投げ" を拾おうと虎視眈々買い場を探る投資家、トレーダーもいる。上昇した金利に対する株の割高感も大分修正されている。

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 ポイントはどこで金利上昇が止まるか

 2000~2018年と違って今回は予測が難しい日本や邦銀のように「お金」を潤沢に抱えた投資家が不在だからだ。邦銀でさえ米国債を売っている状況なので、スパイラル的に金利が上昇する懸念もある。株の押し目買いもいいが、金利相場の展開にはご注意を。10年米国債の@2.00%は十分 ”射程内" だ。くれぐれも ”雪崩” には巻き込まれないように。

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