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バイデン大統領の "心変わり" (?)。

 パウエル議長の "心変わり" 。|損切丸|note でFRB「インフレ退治」に乗り出して以来、マーケット、特に株式市場の雰囲気が一変”標的” となったナスダックは年初来で既に▼8.3%下落

 これでは「インフレ退治」というより「株退治」になっており、同指数が▼10%の下落を超えて@14,000.-を割り込んだ場合バイデン大統領の "心変わり" が心配になってきた。元々「利上げ」政策への急展開も ”親分” が「インフレを何とかしろ!」と言い出したからであって、対応は後手後手、はっきり言って失策である。 "Forward Looking" (先を見据えて動く) のはずのFRBとしては、半年以上前に「利上げ」に動くべきだった。

 「インフレ」をしばしば「火事」に例えるが、延焼が広がった後に消火活動に入ったため、なかなか火は消えない原油価格などを見ても、金利が上がって下落するどころか、「火事」は広がるばかり。こうなるとちょっとやそっとの放水で火の勢いを止めることは難しく、放水量を増やすしかない。現在の米2年国債@1.06%というのは、当初予定されていた「3月+0.25%」ではなく、「3月+0.50%」、もしくは来週「1/26+0.25%」(こちらの可能性は薄い)を正当化する水準だ。

 こうなると通常の放水活動ではなく、化学消防車が出るとか、ヘリコプターで大量の水を投下するとかの "荒療治" が必要になる。そうなると心配なのは、燃えている建物へのダメージ。最初は「火が熱いので消せ!」と騒いでいた住民も、自分の家が倒壊するようだと今度は「家を壊すな!」と騒ぎ出す。*「話を良く聞く」(どこかの首相と同じ?笑)消防士はそれを聞いて「放水止め!」と言い出すのではないか...

 とかく「人権」とかを強調する左派政権には往々にしてこういう「綺麗事」ばかりを言う傾向が強い。世界を見渡せば筆頭はもちろん中国だが、米民主党政権、16年も続いた独メルケル政権、現韓国政権、そして現在の岸田政権(自民党左派)。ポピュリズムに流された政策は発動当初は良いが、後に禍根を残すケースが多い。ヨーロッパのエネルギー政策が典型だ。

 筆者は今のFRB+米政権を全く信用していない「利上げでドル買い」と言われてもピンとこないし、ドル建資産を積極的に増やそうと現時点では思わない。為替レートが上がって高い金利を受け取っても「インフレ」になれば価値が相殺されてしまうからだ。もっとも日銀+現政権はもっと信用できないので、「投資」は「不美人投票」になってしまう。

 まあこれだけ燃え広がると、どんな優秀な消防士でも建物にダメージを与えず消火するのは難しい。周りの騒ぎに流されるようでは尚更である。結局家を滅茶苦茶に壊された挙げ句「全焼」するのではないか...。まずは「株」という付属設備が焼け落ちてきた状態だ。

 ご存じのようにアメリカでは「株」の保有率が高い。先日も「米富豪10人の資産が80兆円→170兆円に倍増」(桁違い!)というニュースが流れたが、国全体で時価総額が40兆ドル(約4,500兆円)にも膨らんでいる。低所得層もこの「純資産効果」での恩恵を受けており、「隠れボーナス」的な効果をもたらしている。「株本位制」と呼んでもいいかもしれない。

 これが他国にはないアメリカの "強み" でもあり、同時に "アキレス鍵" でもある。つまり株価が下がれば全てが駄目になる。そう言う姿を1970~1980年台に実際に見たが、その時の株価の低迷をもたらしたのが「インフレ」であり、それに対応を迫られたFRBによる「高金利政策」だった。全く同じではないが、”類似パターン” を指摘する市場筋もある。

 ゴールドマンサックス等投資銀行にとって、業績悪化→自行の株価急落は "利上げのせい"。業界は水面下でロビー活動を開始しているだろうし、これ以上株価が下がれば、世間一般を巻き込んで「利上げ」反対キャンペーンに移行する可能性がある。それでなくても支持率が低下して大統領中間選挙で敗北濃厚なバイデン政権がその圧力に耐えきれるか、極めて怪しい

 突然の「心変わり」では株や米国債の急反発も考えられ、相場を張る者、特にショート(売り)筋はこの辺りの「政治的要因」に備えておく必要がある。だが「放水」を止めれば延焼は広がるわけで、最終的には最悪の事態=「高インフレ」→「金利急騰」を招く怖れもある。現在の消防士コンビ=バイデン政権+パウエルFRBだと「悪夢の1980年台」の再現も有り得る

 「(日本株なんかより)黙って米株の押し目を買っておけばいい」

 国内の個人投資家にはこういう意見が多いようだが、本当にそうだろうか。確かにここ3年間、かなり良い思いをしたのは間違いないが、全員が儲かる相場は存在しないマーケットの「ゼロサムの原理」(=誰かが儲かった分誰かが損をする)を肝に銘じておく時期のように感じる。

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