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このままでは「円」の「信用」がボロボロになる。

 4/5 ”日本生命保険が企業から預かる団体年金保険の予定利率について、21年ぶりに来年4月に現在の年1.25%から0.50%に引き下げ”

 また、である。「損切丸」怒りがふつふつと湧き上がるのを堪えて書こうとしているが(苦笑)、保険契約者を馬鹿にするのにも程がある

 2003年4月の予定利率引き下げも滅茶苦茶だったが( ↓ 「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ16 保険編③|損切丸|note ご参照)、要は自分達の運用の稚拙さを顧客に押しつけているだけ。

 特に今は*久々に見る本格的な金利上昇局面彼らの主戦場である30年国債の金利は@1.01%と1%を超えているのに@0.50%へ引き下げでは道理が通らないリターンに厳しい欧米なら100%ありえない事態だ。@0.50%で預かって@1.01%で運用すれば黙って+0.51%儲かる訳で、こんな運用に ”プロ” として高い給料を払うのはおかしい

 *「金利」に関して言えば、おそらく20~30年国債を@0.50%以下で大量に買い込み時価ベースで大損が出ているのだろう。「損切り」すれば業績が悪化するため、売るに売れず顧客に転嫁しているという構図。他にも日本株「ハイイールド債」でも上手くいっていないのかもしれない。

 しかし呆れるのは、2003年も今も「顧客軽視体質」が全く改善されていないこと。前回も結果として顧客の保険離れが進んだが、今回がダメ押し。まあ、客は自分達の高給のタネ、ぐらいにしか考えていないのだろう。「自分達は優良大企業だから潰れない」という慢心が見て取れる。

 これは「銀行」も然り。大手M銀行を皮切りに先日地銀も大規模なシステム障害に見舞われたが、今や「情報産業」と言われる銀行がシステム軽視の経営を続けているなど言語道断必要な時に「お金」を引き出せない銀行など銀行ではない日本では既に「銀行」は「お金」を安心して置いておける場所ではなくなりつつあり、「信用」は地に墜ちている

 生保、銀行とも「お金」=「円」が "主要商品" のはずなのにこの有様「法定通貨」が「信用」の上に成り立っている事実に、今回の「インフレ」で目覚めた方も多かっただろう。彼らの経営は未だ「固定金利」で守られていた「昭和式経営」のままであり、今の「円安」と無関係ではない

 事実、逃げ出す「お金」。向かう先は...。|損切丸|note の選択肢から「円」は外れ、30代以下を中心にドル等外貨のリスク投資に向かい始めた。

 高額な手数料を取られる上に、解約時に「損」だけ押しつけられる「貯蓄型保険」など真っ先に選択肢から外れいつ引き出せなくなるかわからない「銀行預金」をするぐらいなら、家具でも買っておいた方がいい**今後物価が上がるのなら尚更日本人も動き出している。

 **筆者が今住んでいる東京の目黒区と世田谷区の境(どこかばれるかな。苦笑)では、不動産の売買が凄いことになっている。あちこちで土地が更地になったと思ったら、あっという間に家が建つ。駅前の築40年ぐらいの商業ビルも建て壊しが相次ぎ「再開発」が活発化。「お金」より「現物」重視の動きは確実に起きており、「お金」に余裕がある個人、企業、投資家は「円」から逃げ出している

 銀行生保に同情する面があるとするなら、彼らの ”親玉” である日銀・財務省が変化を拒んでいる、という点。「無制限買入オペ」で10年国債金利を無理やり@0.25で押し留めるなど、「金利上昇もっての外!」のお達しが出ているのは想像に難くない。これでは現場が萎縮する訳である。

 ただピンポイントで10年だけ抑えても、5年や30年など他の年限は言うことを聞かない可能性も高い。事実、前回30年債が@1.06%まで急上昇した局面では「買入オペ」を増額して@0.90%台に押し戻したが、今日は再度@1.0%越え。これこそ「無理は通っても無理」

 そもそも日銀平均@0.20%程度の ”低利” のJGB 500兆円余を抱え、生保以上に苦しい状況。しかも「資金繰り」的に、これ以上JGB保有を増やすと円資金市場から「お金」を調達しなければならない。実際「政府預金」は市場で短期国債を発行して調達してきた「お金」だ。循環式風呂のような状態になっており、徐々に「金利」を抑えこむのが難しくなってきている

 「金利が2%上がると国債利払いが▼7.5兆円も増えて財政が大変になる」

 反論:「10万円給付金」で▼10兆円も気前よくばらまくのに、▼7.5兆円が大変とはどういうこと?

 このカラクリは財務官僚の「通信簿」、即ち「財政健全化目標」=「税収ー支出」の最大化のため。おそらく「補正予算」等の臨時支出は評価の対象外「税収増」と「利払い額の最小化」にばかり囚われてしまう。馬鹿な話だが、官僚の出世のために国民生活が犠牲になっている訳で、「人事考課」にメスを入れないと未来永劫変わらない

 黒田日銀総裁@衆議院・財務金融委員会:このところの円安傾向について、『為替変動はやや急だ』

 本来「円安」の ”真犯人” は「貿易赤字の恒常化」 ↓ だが、与党からは「日銀犯人説」が燻り始めており、さすがの総裁も政治的にまずい、と感じ始めた模様。このままでは日銀が "悪者" にされてしまう「利上げ」への道のりはまだ遠そうだが、FRBの政策金利が@4%に向かう過程 ↓ のどこかでダムが決壊するだろう。あとは財務省の説得のみ。

 このままでは本当に「円」の「信用」はボロボロになる銀行、生保など「お金」の商人が襟を正すのは当然として、 ”まずは塊より始めよ” 。日銀・財務省の変化が待たれる。早く消火活動に入った方が鎮火は早い。もう周りは動き出しており、残された時間はそれ程長くない

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