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祝!「+2%物価目標達成」。 ー そろそろ「金融政策」も「異次元」から「普通」に戻る時。

 日本 4月CPI(年率)+2.5% 予想 +1.5% 前月 +1.2%

 随分思い切って ”早目” にカードを切ったものだが(苦笑)、「+2%物価目標達成」おめでとう! これで黒田総裁も心置きなく退任できる。

 控え目に解説されているが、最も影響が大きかったのが携帯電話料金引き下げの影響の剥落。前年末からの「GOTO」要因の剥落と合わせ、ようやく「目標達成」の障害が取り除かれた生鮮食料品を除いたコアCPIでも+2.1%だから堂々たるものだ。

 度々日本のCPIの「低め誘導」について辛辣な note. を書いてきた「損切丸」だが、JGB(日本国債)や円金利を担当している関係者には、いわば ”公然の秘密”「日本金融村」では巨大な忖度が働くので、詳細について書き込むエコノミストやアナリストは出てこない。だがさすがにここまで世界的「インフレ」の流れになると露骨な調整はできなくなる。「円安」問題もあるし、 ”予定” を前倒しした、というところだろう。

 他国、特にアメリカのCPIとはサンプルの取り方やデータの解釈が違うと広く理解されているが、顕著なのは「住居費」だろう。アメリカでもサービス価格の3分の1を占めるため、その影響は甚大だ。一例として: ↓

 2022年1月掲載 全米物件の家賃中央値
 寝室1部屋(1 Bedroom) @1,374ドル ≓ 17.5万円(前年比+12.0%)
 寝室2部屋(2 Bedroom) @1,698ドル ≓ 21.7万円(前年比+14.1%)

 (大手賃貸情報プラットフォーム Zumper のレポートより)

 ここでポイントになってくるのが「経年劣化」による家賃変化

 例えば1年に▼1%家賃が下がると理論値が計算されれば、10年築の物件は▼10%家賃が下がる。だから10年後に新築時と同じ家賃なら、それはCPIの中で+10%にカウントするのがアメリカ式のようだ。欧米らしく科学的合理性に基づいており、より「生活実感」に近い

 実は日本でCPIを担当してる総務省でも同じ様な分析はなされている。

 算出方法の詳細については偉い先生方にお願いしたいが、どうもアメリカのような "切り取り方" ではなさそう”漸進主義” の日本らしくより ”穏当” な数値の出方になるらしい。例えば同じサンプル、データを米政府の担当機関で処理してもらえば、より直接的数値になるだろう。

 やはり「霞ヶ関思想」の根底は一にも二にも「財政健全化至上主義」1,000兆円を超える「国の借金」は彼らにとって「非常事態」であり、金利を抑え込むのが一大命題となってしまう。

 「お金」にシビアで黙っていないアメリカ人にそんな事はできない「生活実感」とかけ離れた指標で「お給料」を削られようものなら、あっという間に大規模デモが起きる。大統領も直接選挙制なので、こういう個人の声を無視できない政治事情も日本とは大分違う

 物価も賃金も上がる「アメリカ型」と、どちらも上がらない「日本型」はどちらが幸せなのか。|損切丸|note は議論もあるが、マーケットと社会の乖離が少ないという点では、アメリカの方が判りやすい。だから「金利」も「人件費」もきちんと "リアル" を反映できる

  一方の "助け合い" で生きる日本人。 ー 「貧しくなった日本」の正体。|損切丸|note 。みんな安い給料で我慢する代わりに物価も程々に抑えようとしている「金利」に関して言えば、本来貰えるはずの ”CPI低め誘導分" ≓1~2%?を黙って我慢しているが、これは預金1,000兆円 × ▼1~2%=年間▼10~20兆円を「預金税」として払っているのと同じ消費税@10%の税収が年20兆円前後だから、実はかなりの「重税」である。

 急激な「円安」もあり、さすがに ”和(倭)の国” 日本もそろそろ限界。ここで ”+2.5%” のカードを切ってきた事にはある程度の ”覚悟” も感じる。冒頭で ”早目” と書いたのはそういうこと。必ず ”意図” がある

 「日経平均」が逆行高。ー "Invest in KISHIDA(岸田に投資を)" 効果? 狙いは「インフレの輸入」。|損切丸|note が本気なら「円安」は邪魔なだけ。次の政策決定会合(6/16,17)は少し "期待" できるかも。曲がりなりにも ”CPI+2%越え” は目標達成であり、十分な政策変更理由になる。

 日銀の保有国債(平均利回り約@0.21%)にキャリー損失を発生させる「利上げ」は無理としても「10年国債・無制限買いオペ」の札を引っ込めるぐらいは可能。それだけで+2~3円の「円安」抑止効果が見込めるだろう。

 世の中では「マスク議論」など日常を取り戻す動きも活発化しており、中小企業などに最大250万円を配る政府の給付金事業も5月末で終わる。そろそろ「金融政策」も「異次元」から「普通」に戻る時。そもそも回す「お金」がなくなって「量的緩和」は実質終了しているのだから、 "事後処理" は早く始めるにこしたことはない。老婆心ながら(苦笑)。


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