「財務省」の役割をもう一度考え直してみよう。
?? 最近結構見かける "プロパガンダ” 。新手のMMT(Modern Monetary Theory、現代貨幣理論)なのかもしれないが、とにかく財務省は「財源」など気にせずにバンバン「お金」を使え、といいたいようだ。「損切丸」は決して財務省の回し者ではないが、これは無理筋。
大体「X税クOメガO」なんて "悪口" で溜飲を下げている人も多そうだが、政治家は "国民の鏡" 。自分達で選んでいるわけだから "悪口" はそっくり自分に返ってくる。 ↑ のような発言の前に、まずは国、特に「財務省」の役割をもう一度考え直してみよう。本来中学生の「公民」当りできちんと「お金」の勉強をするべきなのだが、今からでも遅くはない。
首相が財務官僚からどういうレクチャーを受けるか、想定しつつ、財務省が出している資料を基に解説を試みる:
財務省の仕事は至って単純。国の「歳出」と「歳入」を均衡(バランス)させる事だ。毎年毎年その繰り返し。2023年の一般会計は114.4兆円だが:
足りない「お金」を「借金」=国債で賄うのは企業や家計と同様であり、これは支払いを先に繰り延べているだけ。冒頭の「財源」の定義によるが、*「返済原資」という意味なら「借金」=国債は「財源」にはならない。
予算規模について少し捕捉すると「歳出」の「国債費」▼25.3兆円のうち▼16.4兆円は「元金償還」分。国債を再発行して「資金繰り」を回せばいいので「お金」の持ち出しにはならない。そう考えれば予算規模は98兆円だ。
ここまではいいだろうか。「ドラえもん」の見過ぎなのか(笑)、どうも**日本人は財務省や日銀には「お金」が無尽蔵に出て来る ”打ち出の小槌” があると勘違いしている人が多いようだが、財政法上はきちんと足枷がはまっている。つまり「税収」を超える分は使えないし、国債で借り延べするなら「どうやって返すか」考えないといけない。これは個人・企業と一緒。
さてレクチャーはここからが本番。標題 ↑ グラフには1990年 → 2023年の歳出の変化が示されているが、一体何が大きく変わっているか。これはもう一目瞭然、社会保障費が▼25兆円も増えている。そのほとんどは「医療費」である。この点はもう30年も議論されているが一向に改善されない(収入を減らしたくない医師会の圧力もある)。
これは「高齢化社会」の必然でもあるが、完全に無策だった訳ではない。一般市民の自己負担は3割まで引き上げられ、高齢者にも1~2割の負担は求めている。それでも▼20兆円以上も "穴" が空くのは、もう制度上の欠陥、つまり旧来の「国民皆保険制度」は破綻している。 ”財政の鉄人” ドイツなら20年以上前に自己負担率を5割まで引き上げて "穴" を塞いでいただろう。
消費税で+20兆円以上「税収」を増やしたのは「高齢化社会」の必然に沿った措置だったとも言え間違いではない。本来国民に向かってきちんと「説明」すべきだが、まあレクチャーを受けている大臣や首相もきちんと理解しているのか極めて怪しい。仮にわかっていても「選挙」にために口を紡ぐことになる。もっとも ”税収は財源じゃない!” なんて言っている国民では言っても判らない、と高をくくられるのも当然で、「お金」の教育をちゃんとしてこなかったツケが来ている。
「生活が苦しいから金をよこせ」なんて本気で思っている日本人が多数なら、この国はかなり危うい。これはかつてのアルゼンチンコース。高熱(インフレ)でぐったりしている病人に強壮剤を注射するようなもの。これではますます熱が上がってしんどくなるばかり。治療の順番が間違っている。今はまず高熱を下げること。つまり解熱剤≓「利上げ」が先だ。
”バイデンフレーション” の衝撃。|損切丸 (note.com) のアメリカでさえ「減税」騒ぎにはならなかった。日米の金融リテラシーの差とも言える。
月末の日銀政策決定会合にかすかな期待を持ちたいが、さてどうだろう。日銀も財務省もここで「損切丸」が展開した議論ぐらいは百も承知。だが船頭の ”昭和の政治家” 達は、それこそ「お金」の勉強をしてきていない。そこに掛け違いが起きているが、冷徹な官僚群は「国」より「出世」。間違いと判っていて「減税+金融緩和」のポリシーミックスを黙視するだろう。
「収益力強化による自然税収増」が本筋だろうが、今のまま政治家共々目先のバラマキに突き進むようだと、筆者個人としては日本の「インフレ」加速に考えをシフトせざるを得ない。当然「円安」は止まらない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?