「ヘッジファンド」とは一体何者なのか
「損切丸」の元同僚も何人か「ヘッジファンド」(Hedge Fund、以後HF)に移籍したり、中には数年後銀行に戻って来た者もいた。動機のほとんどは「お金」。「お給料」が高い分収益に対する要求は高い。銀行のように「預金」「貸出」等のリソースが無く資金調達力も無いため、まさに裸一貫「リスク」を取って勝負することになる
ネット上ではHFのことを「機関」などと呼んでいかにも好き勝手しているように書く者もいるが、今のマーケットはパワーディールで動かせるほど単純ではない。「ヘッジ」(Hedge) ↑ は文字通り「リスク」を減らすための取引で「投機」≓ ギャンプルとは遠い。むしろ語源がラテン語の "speculatio" ≓「見つめる事」「観察する事」から来ている Speculation (スペキュレーション)の方がHFのイメージに近い
結果として彼らは「組み合わせ取引」を手掛ける事が多い。最も一般的なのが「割安株買い+割高株売り」。投資銀行業界でも専門家が血眼になって研究する事柄でもあり、それなりの知識と経験が必要。*株価自体の変動を「ヘッジ」しつつ利益を得る、極めて理論派の取引である
「ドル建日経平均」↓ 的発想で日本株を手掛けるなら:
①「円高」リスクを「ヘッジ」する「日経平均買い+ドル円売り」
②通貨安リスク=「円安」を「ヘッジ」する「日経平均買い+ドル円買い」
これだけ「日経平均」「ドル円」が大荒れでも@200~230ドル台で買えていれば現在でも@267ドル近辺で手仕舞える。どんな相場でも収益チャンスがあるという典型だ
ただ近年では「円高」よりも「円安」リスクがクローズアップされ+5%もの金利差を狙った②「円キャリートレード」が大流行。「国債無制限指値オペ」などで 「円、どんどん売ります!」の免罪符。ー 世界的な「真性インフレ」下、「金融緩和」しているのはトルコと日本だけ。|損切丸 (note.com) が発布されれば収益に飢えた狼共が群がるのは当然。そういう取引が積上がった結果、財務省の「ドル売介入」と日銀「利上げ」をきっかけに "崩壊" したのは記憶に新しい。まあ何年かに一度起る現象でもある
「ヘッジ」取引はクロスボーダー(国境越え)も狙っている
去年ぐらいから筆者が気になっているのが「日経平均買い+香港・上海株売り」。「米中対立」から経済の拠点が日本に移ることを見越した取引とも言える。今日(9/30)も日経平均が▼2,000円程急落したが、 混迷した与党総裁戦と「円高」 ー "ネット世論" の怖ろしさ|損切丸 (note.com) 以外にもこの日中間の株取引の巻き戻しがかなり影響しているように見える。そうでないと上海+8%上昇の説明がつかない。日経平均は ”テコの原理” で押し下げられてしまった
それからもう一つ気になっているのがHFT(高頻度取引)を通じたAIによる高速自動取引
欧州、NYと比べて見ているが、アジア時間だけ明らかに「ドル円」と「日経平均先物」が連動して動いている。どちらが先に動くのかは状況次第だが、アジア時間だけ「ドル円売り」→「日経平均売り」、「ドル円買い」→「日経平均先物買い」の高速プログラムが稼働しており、 "手動" で動く "Mrs. Watanabe" (日本個人のデイトレーダー)の先回りをしている。あとは各社AIシステムの "スピード競争"
相場の乱高下がある度に「ネット世論」を形成しようとしているようだが「損切丸」的には全ては "きっかけ" に過ぎず的外れ。主因は別の所にある。日銀も含め政策が政治的で不安定な日本市場が狙われているだけで完全に「オモチャ」化。大事な「お金」を「投資」する立場からはしっかり "FACT"(事実)を見極めて真のバリュー(Value、価値)を追いたい
逆に言えば東京市場はチャンスが多いとも言え、上述のような振り回しに惑わされずしっかり相場を見極めたい。いつも「逆張り」が正しいとは限らないが、溢れる情報や右往左往するマーケットから一定程度 "距離" をおく事も必要。1つアドバイスするならネットやメディアで ”感情” に訴えてくる言説には要注意。これは動揺を誘って自分のペースに巻き込もうとするクレーマーや独裁国家の「プロパガンダ」と同じ手口。常に自分を "平衡" に保つこと。これに尽きる
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