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「インフレ」で今 "大変" なのは誰か。

 ”北見中央病院が外来患者受け付け停止 近く自己破産申請の方針”

 「高給取りの代名詞であるお医者さんが破産するなんて...」

 このニュースを受けて驚いた方も少なからずいたのではないか。しかし、これ、どうも特定の地域の1病院に限った話ではなさそう「お金」をばらまいて「インフレ」になっている日本における "必然" とも言える。

 どういうことか?

 病院の財務がどう回っているかを考えればシンプル。日本「国民皆保険」で診療費のほとんどは国から支払われている。だから「インフレ」になったからといって自発的に診療費を「値上げ」できない。だがその国の財布は長年に渡って給付金、補助金等をばらまきすぎてスッカラカン。もう "振る袖がない" のが実情で、これは病院経営にとって致命的だ。

 国家予算:支出▼114兆円 税収+71兆円 差引 ▼43兆円

 支出のうち▼41兆円が医療関連(令和4年度、含.コロナ関連予算▼5兆円)であり赤字部分のほどんど。つまり現在の1~3割の医療負担を全額負担に変えれば予算は均衡する ≓「増税」の必要はなくなる

 冒頭の北見中央病院はパンデミックで患者が激減し、経営苦から担当医師を2人にするなどコストカットを行ったが力尽きた。地方の中核病院なので記事になったが、同じ事象はあちこちで起きている。ワクチンなどの「コロナ対策費」で▼5兆円ばらまいたのは、いわば救済の為。感染終息と共に息絶える所も出てくる。中には「補助金」欲しさに急に病床を増やしたり救急を始めた病院もあるが、今ではそれがかえって重荷になっている。

 これ、どこかで聞いた話。そう、飲食・宿泊業に対する「GOTO」や給付金と同じ構図だ。ただ町医者の集合体である「日本〇師会」は大票田なだけに政治としては放っておけなかったが、それも「インフレ」と共に限界を迎えつつある。

 病院数は欧米を上回るのにパンデミックで医療逼迫が起きたのは救急医療等に対応できる大型の中核病院が少ないせいだと言われている。町医者の中には発熱患者を拒否した病院も多く、製造業的に言えば「生産性が低い」東京で15万件もある飲食店 ↓ 同様、小規模施設が多すぎる弊害だ。

 今「インフレ」が日本社会に迫っているのが、この小規模施設の統廃合飲食店と違って「値上げ」出来ない病院の財務不安は相当なもの「〇師会」はロビーイングをしているようだが、*国にガッチリ守られて「高給」を謳歌してきた医療界も "曲がり角" を迎えている

 *先に "曲がり角" を迎えたのは銀行だ。「固定金利」の時代は貸出も預金も厳しい「金額ノルマ」を課してひたすら量を増やせば儲かった。それが「金融自由化」で経営環境が一変。更に「ゼロ金利」「マイナス金利」がトドメを刺した恰好。量を増やすだけではやっていけなくなり、地銀などの経営統合が進む。ちなみに病院では既に「薬価差益」も長期療養のベッドに対する医療点数も減らされ、こちらも「自由化」が進む。

 それから「インフレ」で "大変" なのは何と言っても年金生活者だろう。収入がほぼ「固定」なのだから支出増は死活問題。いわゆる「シルバー層」だが、上述の「医療費」と密接にリンクしている。

 最近84歳の母を介護で病院に連れて行く機会が増えたが、どこを見てもおじいちゃん、おばあちゃんばかり。母の医療負担は1割に減額されているが、患者さんの負担はほぼ2割国が80%を負担した結果が▼40兆円を超える財政支出ということになる。

 じゃあこれを100%負担に出来るかといえば、それは無理。「シルバー層」は選挙を左右する大票田であり、そんな暴挙に出れば与党は大敗を喫する。「〇師会」も黙っているはずがない。

 ここで大事な役割を果たすのが「金利」になる。

 日銀が本来の金融政策に立ち帰って政策金利と物価を連動させれば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がJGBできちんと運用し、年金生活者に還元出来るようになる。最近の金利上昇にはこの「正常化」の意図も感じる。高齢者の負担が減れば、結果的に介護する現役世代の負担も減る。

 とはいえ、あれだけおじいちゃん、おばあちゃんが病院に殺到するのは異様。中には単なる日課になっている人もいる。それもこれも自己負担が少な過ぎるからで、将来的には4割程度まで上がると予想する。診療費が高くなれば気軽に病院に行こうとは思わないし、かえって健康にも気を遣うようになるだろう。毎年▼40兆円も垂れ流している現状は変える必要がある。

 それにしても...。

 娘が2年前に大学受験をしたが、その時に驚いたのが医学部の超難度化地方の国立大学でも医学部に入るには今は東大並みの学力が必要との事。なりたい職業1位が「公務員」だから「医者」は更に「高給」で人気なのだろうが…。私大なら何だかんだ6年間で▼2億円ぐらいかかるらしいが、とても元が取れる「投資」には思えないお医者さんは立派な仕事だが「お金」目当てなら止めた方がいい。かつて就職希望先上位だった銀行の惨状を見ると、この先どうなるかはわかりそうなものだ。

 ”学校給食の停止、全国で相次ぐ 供給会社が破産手続き”

 これも公的資金に依存した事業の話。「インフレ」になっても「お金」が出ないなら商売にならない公共バスもゴミ回収車も運転手が不足しているので、その内突然サービスが停止するかもしれない。だが「禍転じて福と成す」。工夫して効率を上げる機会には出来る。 "痛み" は伴うかもしれないが、それでようやく海外並みに「お給料」が上がる国になろうというもの。

 もっとも「インフレ」で "大変" といえば、ドタバタ売買いをしているWTI(NY原油先物)やエセ介入で急騰急落を繰り返すドル円米国債運用に失敗して潰れる銀行株運用に苦しむファンド等投資銀行業界もメタメタ2桁金利になっても上昇が続く高金利通貨不況なのに「利下げ」できないドイツ対ドルレートが遂に@100.00を超えた「ルーブル安」等々、枚挙に暇がない。ここが辛抱のしどころ。日本は逆にチャンスと捉え、長いトンネルから抜け出したい

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