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今「ゼロ」から始めるとしたら... ー 「生活」「運用」「トレーディング」

 米国債を中心に稀に見る激しい売買いが続いている(JGBは蚊帳の外)。直近の "学習効果" もあり今回は「損切り」が早く、金利上昇を見込んだショート勢の「踏み上げ」はかなり進んだようだ。ここから不用意に再度ショートを構築することも躊躇われるはずで、相場は一旦落ち着くだろう。

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 「損切丸」 ”邪念” を捨て(笑)、心新たに "New Comer" (新規参入者)の視点で現状のマーケットを見直してみようと思う。「生活」「運用」「トレーディング」の3つの視点からアプローチしてみる。

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 1.「生活」

 (7/20)7月日本CPI(消費者物価指数)年率@+0.2% ← 6月@▼0.1%

 公式発表のCPI「体感物価」との乖離は甚だしい。「生活」のリアルに合わせ、やはり「お金」の使い道は「インフレ」を軸に考えざるを得ない

 そうなると必要コストの「衣・食・住」のうち、最も高い「住」が中心になる。賃貸暮らしなら賃料が上がるリスクがあるので、できればまず「家」を確保リモートワーク等の条件にもよるが、物件選びのポイントは:

 ①リセールバリュー(再販価値)があること

 ②ローンを組むなら返済に無理のない範囲で。途中で収入環境が変わるリスクを考慮すれば「ボーナス返済」は除外、団体保険は必須。

 価格が安い事だけに固執すると売る時に「後悔」する羽目に。一般には最寄り駅徒歩7分圏内など、郊外物件でもそれなりの "ブランド" のある「購入需要の高い物件」に絞りたい。家具や家電など5年以上使う製品も買換が必要な物はできるだけ前倒しで購入

 それでも「余裕」がある場合は株などの「投資」も可能だが、「借金」がある時点で「余裕」はない。見方を変えれば「借金」は「インフレヘッジ」として有効であり、既にかなりの「リスク」を負っている。敢えて何かするなら、将来海外に行く予定見合いで円をドルやユーロに換えておくぐらい。

 2.「運用」

 仮に第3者から「10億円」運用依頼されたと想定。「損」は気にせず自由に運用していいと言う。考える選択肢は:

 ①外貨、債券 ー 日本の現状から「円安」リスクを考慮50%(5億)は外貨に変換2年米国債@0.20%(3億)、5年英国債@0.28% and/or 5年豪国債@0.59%(英ポンド、豪ドル合計2億) で運用。

 ②株式 ー 30%(3億円)日経平均やNYダウなどの指数連動ではなく、素材、半導体など「インフレ銘柄」を吟味、e.g. 自動車、IT、電気etc。上値を追うのではなく、できれば下落局面を利用したい。

 ③商品等 ー 10%(1億円)銅、木材など産業需要が確実なものを選択。株同様、買われ過ぎやチャートを吟味↓  e.g. 材木先物チャート

材木先物5年

 ④現預金 ー 10%(1億円)マージンコール(証拠金請求)等 ”不測の事態” に備えて。

 こんなところだろうか。*もちろん「銘柄」は詳細な調査を行う

 筆者には米国株には ”プレミアム” が、日経平均には ”日銀プレミアム” が乗っているという認識がある。

 3.トレーディング

 (仮定)あるヘッジファンドにトレーダーとして入社。商品は何でもあり。日々収益を問われるので、のんびり ”Buy & Hold” は不可。

 ①金利 ー 「金利上昇」のポジションを取りたいのは山々だが、現状は危険。とりあえず「損切り」を浅めに設定した上で、米国債を押し目買いで挑む。短期売買を繰り返しながら機を見てショートにドテン

 ②株 ー とりあえず短期売買に徹するが、中途半端には手を出さない。相場が落ち着いてボラティリティーが低下するなら機を見てプット(売る権利)を購入。株価急落に備える。

 ③為替 ー 米国債金利と連動する部分も有り、ドル安、ドル高どちらも有り得る。これも短期売買が中心。レンジ取引狙いでオプション料が安くなるなら、その後の「大荒れ」を見込んでストラドルストラングル「買」を仕込んでもいい。

 こちらは「生活」「運用」と違って「今日は何もやりませんでした」では通用しない世界 ”首” を回避するには細かく売買を繰り返す必要があるが、正直筆者はあまり向いていない(苦笑)。

 元・金利専門家としては「高金利にはリスクが付き物」と判っていても、いざ「運用」を考えると「マイナス金利国債」は買いにくいユーロに関してはスペインやイタリアでも7年ぐらいまでは「マイナス金利」なので、そういう観点から「ユーロ高」抑止の効果は絶大と言える。

 こうやって「心をゼロ」にして眺めると、改めて今がいかに複雑で難しい相場か実感する。やはり「損」を被らないように、守りを固めながら得点機会を伺うイタリア式 ”カテナチオ” (鍵をかける、の意)にならざるを得ない。「サバイバル」は続きそうである。


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