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第3の情報源「マーケット」。 ー メディアもSNSも混乱する中で...。

 「何だこのトレジャリー(US Treasury、米国債)の買いは!」

 「選挙」は魔物である。大したリスクも取っていない「損切丸」だが、11/4の東京時間は結局マーケットと情報をずっと追ってしまった。まあこれだけ市場を振り回した「選挙」は ”BREXIT” 以来ではないだろうか。

 ”Sell the Rumor, Buy the Fact” を地で行った株式市場はともかく、為替と金利市場は:「民主党政権誕生=財政赤字拡大→ドル売り、米国債売り」のシナリオで動いていたようだ。前日(11/3)の米国市場で一時@0.92%まで売られていた10年米国債だが、東京時間の前場突如買われ始め、@0.78%まで金利が急低下した。同時にドル円は@105円台まで急進

 その後出てきたニュースが「フロリダを制したトランプ優勢」。アメリカの投資家、トレーダーも寝ずに取引を手掛けていたのだろう。前日の取引が大きく巻き戻した。トランプ大統領再選なら投資計画も大きく変わる。

 そもそも大手金融機関やヘッジファンドなどに努める*プロのトレーダー達はメディアのニュースを見て取引などしない報道そのものが市場では「終わった事実」に過ぎない事がほとんどだからだ。従ってマーケットがニュースに先行して動くケースが多い

 大手の邦銀と英銀に努めた経験から言うと、頭取CEOはその国の政権中枢とのパイプが有り、銀行などは「独自の情報網」を持っている。巨額資金の運用など経営そのもの関わることなのである意味当然。これらの情報は市場部門とも共有され、トレーダーがオーダーを執行する事になる。

 それにしても今回の大統領選に関しては、「バイデン圧勝」という事前報道と出てきた現実があまりにも乖離していてメディア批判が沸騰している。SNS や YouTube で情報を追って ”比較的正しい情報” を掴んでいた ”気の利いた人達” もいたようだが、大多数は大きくミスリードされた。4年前にも同じような失敗をしているのに、反省はなかったのだろうか。

 誰かがコメントしていて頷いてしまったが「いつからメディアは好き嫌いで報道するようになったのか?」SNSに押されている焦りなのか、それとも「世の中を動かせる」と未だに思っている驕りなのか。**選挙結果がどうなるかわからないが、これではメディアを見る価値がなくなってしまう

 **欧州時間に今度はウィスコンシン州で「不正投票」の投稿@日本語SNS。郵便投票が開票されるに連れバイデン候補が急激に票を伸ばしたのだが、計算上投票率200%超に?(真偽は不明) 全てに役所がちゃんとしている日本では考えにくいが、アメリカの田舎ならひょっとして...。まるでアイドルグループの「総選挙」で1人のファンが数十枚もCDを買って投票しているようなものだ(本当なら笑えない)。そもそも日本では「郵便投票」など認められないだろう。日本なら期日前投票でも「期日前投票宣誓書」が必要になるが、米国で「本人確認」はどうしているのだろうか。

 さりとてSNSが万能かというと、これまたどうだろう。日本語の投稿を見ていると英語ソースの誤訳も多く、それを見て間違った反応が広がる始末。誤訳を指摘してくれる親切な人もいるが、よくよく注意していないとこれまたミスリードされてしまう。本来これらのチェックはその道のプロであるマスメディアの役割のはずなのだが...。

 ここで「第3の情報源」としてお勧めなのが「マーケット」。ご自分の「お金」を賭けてリスクを張ったことがある方にはご理解頂けると思うが、市場での売り買いに「フェイク」や「好き嫌い」の入る余地はない

 匿名で言いっ放しのSNSや外れても批判を受けないメディアのニュースと違い、トレーダーは「お金」を失うリスクを負う。会社勤めなら首が懸かっているわけで大袈裟に言えば「死にもの狂い」だ。「機会取引」で動きが増幅されている株式市場はどうかと思うが、成熟している為替や金利市場の動きは「情報源」としての「速報性」や「現実味」には優れている

 とこれを書いている時点でNY市場が開いてきたが、ドル円@104.50近辺でまたドル売りが優勢、米国債は10年が@0.76%と買いに転じている。ここから受け取れる「情報」「大統領選が法廷闘争になって泥沼化する懸念」といったところだろうか。ごちゃごちゃと情報が出ているメディアやSNSより遙かに「リアル」を感じるがどうだろうか。

 それにしても2000年(ブッシュ対ゴア)に匹敵する「世紀の大統領選」になるのは間違いない。「コロナ危機」と相まって2020年はマーケット「年鑑」に刻まれるだろう。しかしこんな相場が続くと現場のトレーダーは年末年始の休日返上かも。儲け時でもあるが、皆さんも程々に(笑)。

 ps. これらの取引のほとんどはいわゆる ”Zero Sum” の短期筋なので、「損切丸」では「過剰流動性」正常化のシナリオは変えていない。いずれ「適正値」に収束するものと想定している。念のため。

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