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我々は今「インフレ税」の真っ只中にいる。 ー 3京円もの「借金」を抱えた "財務当局" の狙いとは。

 ”筆者が今住んでいる東京の目黒区と世田谷区の境では、不動産の売買が凄いことになっている。あちこちで土地が更地になったと思ったら、あっという間に家が建つ

 こう言う話を このままでは「円」の「信用」がボロボロになる。|損切丸|note の中で紹介した。これが一体何を意味するのか、少し突っ込んだ解説を加えてみよう。

 東京都心の地価は坪300万円~2,000万円なんていうのがザラだから、50坪の売買で1~10億なんて額になる。これを売買するのは企業か、個人なら「お金持ち」ということになる。

 「コロナは100年に一度の危機。今から必ずスタグフレーション(景気悪化とインフレの同時進行)や、社会的・経済的問題が出てくる」

 これは 「ユニクロ柳井氏、京大・本庶氏、山中氏の医療研究に100億円寄付を即決」に思うこと。|損切丸|note で紹介したユニクロ柳井氏の発言だ。氏は日本の「お金持ち」の代表だが、2020年6月の時点で「今から "必ず" スタグフレーションになる」"預言" している(笑)。

 「お金持ち」保有資産が100億円も超えるような「大富豪」は見えている景色が違う。これは ”ビットコインは現金よりいくらかマシ” と言っていたイーロン・マスクも同様だし、ビル・ゲイツジェフ・ベソスもそう。

 「大富豪」が最も怖れるのが「インフレ税」だ。「投資」は「インフレ回避」が基本になっており、「何もしない」事が最大の失敗日本のように1,000兆円もベッタリ「預金」なんていうのは完全に想定外

 2019年4月に始めた「損切丸」。初稿の「お金のマニュアル」シリーズでも「インフレ税」には何度か触れてきた。まだ「デフレ」の後遺症が色濃く残っていた当時は違和感があったかもしれないが、3年経ってようやく「現実化」我々は今「インフレ税」の真っ只中にいる

 「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ18 不動産編②|損切丸|note
 
「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ22 国家政策とインフレ税①|損切丸|note
 
「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ23 国家政策とインフレ税②|損切丸|note

 「円安」を「国富」(=ストック)から考えてみる。|損切丸|note では「国富」から考察したが、切り口を "財務当局" の目に変えてみよう。

 2022年初来の「円安」≓ ▼12% → 「国富」▼368兆円
 
国富$26.9兆 ー対外純資産$3.1兆)× ▼12%≓▼$2.9兆

 ▼12%の「円安」で▼368兆円もの「国富」が失われたと概算したが、 "財務当局" はそう考えない。むしろ:

 ・(国債+地方債 1,216兆円 ー 日銀保有国債 526兆円)×12%=69兆円

 「日本円」が▼12%減価したことで69兆円「借金」が減ったと捉える。消費税10%の税収が20兆円余りだから、ざっと30%課税したのと同じ現・日銀総裁は元・財務官だから「円安のメリット」にはこの分が含まれる「国の為に借金を減らしている」という使命感も伴っているのだろう。

 ではこの影響をモロに喰らっているのは誰か。そう「円預金者」である。

 ・預金1,067兆円×▼12%=▼128兆円

 株や為替のように「価格」が見えないから感じにくいが、実は「預金」にはこんなに「損」が出ている。これは「円安」による減価だが、これに「インフレ」による「損」が重なる

 ”公式” のCPIは+1.2%(3月、年率)だが、実際の ”生活コスト” 上昇はこんなものではあるまい。最近のエネルギー価格や商品の値上げ幅を考慮すれば、+10%は下るまい。仮に1年で@100円のパンが110円に値上がりするような状況が常態化すると:

 1,000兆円の「借金」→900兆円(+100兆円)
 1,000兆円の「預金」→900兆円(▼100兆円)

 預金者が「国民」で借金者が「国」なのだから、これだけで100兆円増税したのと同じ効果がある。これが「インフレ税」である。消費税に換算すると+50%にもなる「大増税」であり、これでは生活が苦しいはず。「国」のトップエリートである財務当局は、これを意図的に起こしている

 「今のインフレは一時的」

 2021年前半にパウエルFRB議長が言い続けていた主張だが、これは「利上げ」を遅らして「インフレ税」発動を企図していたと筆者は理解している。ある意味 ”狙い通り” に「インフレ」を引き起こしたが、あまりに米国民の反発が大きく、中間選挙がヤバくなった大統領の命で慌てて「利上げ」に動いたのが今の状況。はっきりいってやり方が稚拙すぎる。

 一方「損切丸」でも度々書いてきたが、「コロナ対応」のため日米欧中で3京円にも膨らんだ「大借金」を通常の増税で減らすのはもはや不可能であり、「インフレ税」は不可避であったとも言える。

 こう言う状況で逃げ切るのはいつも「お金持ち」であり、冒頭に書いた不動産の動きは典型的。しわ寄せはいつも「弱者」に来る。被害甚大なのがせっせと「預金」を溜めてきた一般庶民で、「預金大国」日本はダメージが大きい。国際的には、最近おかしくなったパキスタンスリランカ「インフレ」が主因だし、「侵略戦争」が起きたのも実は同じ理由だ。

 「お金持ち」「インフレ」を先取りした「株」で資産の目減りを ”ヘッジ” できた(というより増やした)ので、「利上げ」局面への転換で徐々に降り始めている。あとは金利が十分に高くなるのを確認して「預金」「国債」などの「金利資産」に乗り換える腹づもりだろう。

 日本日銀・財務省共まだまだ「低金利」+「円安」=「インフレ税」で「預金者」をイジメ続けるつもり(苦笑)のようだから、対抗策を考えた方が良い「デフレ」時代のように "値段が下がるのを待つ" だけでは「資産」を減らすだけなので、高額な不動産は無理でも耐久消費財等の前倒し購入は一考の価値あり。無理のない範囲で「借金」をするのも対策にはなる。

 ”もうはまだなり。まだはもうなり”諦めるのは "まだ" 早い


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