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「利上げ」予報 @4/19/2022。ー 注目すべきは米国債イールドカーブの「スティープ化」(傾斜化)。

 「円安」が止まらない10年米国債の金利チャートとドル円のチャートが完全に重なっている ↑ 。10年JGB(日本国債)が@0.25%以下でほとんど固定されているので「金利差」とも言い換えられるが、これ程わかりやすい相場もない。FXをやっている人達からすれば「黒田総裁ありがとう!」といったところだろう(苦笑)。

 さて、一気にマーケットの主役に躍り出た米国債市場だが、ここで4/19時点の「利上げ」予報 ↓ 。2023年央にかけて政策金利は3.75%に達し、その後「利下げ」に転じると予想している。金利の「着地点」が@3%であることに鑑みると、TIPS(物価連動債)の予想通り、CPIは今の@+8.5%(年率)からこちらも@3%近辺に落ち着く "見込" だ。

 だが本当にそんなに上手くいくだろうか?

 今「損切丸」が注目しているのがイールドカーブの「スティープニング」(傾斜化)。続・見えているものが全てではない。ー 偽りの「ルーブル高」「逆イールド」。|損切丸|note 等、いくつかの note. で指摘してきたが、偽りの「逆イールド」がやっと解消した形だ。

 技術的には「利上げ」初期のトレードとして、長短金利差の縮小を狙った「ベア・フラット」=短期売り+長期買いがあり、「逆イールド」は米銀勢を中心とした2~5年債の「損切り」が主導した "賜物"「2~3年後の利下げ」なんて眉唾物の "預言" がまかり通ったのは ”結果論” に過ぎない。「損切り」が一巡してようやく正常化に向かっている。

 「ベア・フラット」はドル買い、「ベア・スティープ」はドル売り

 筆者の経験上も過去のデータもそうだが、米国債とドルの関係はよくこう言われる。今のところ米国債は「ベア・スティープ」=金利上昇を伴う長短金利差の拡大、とまでは言えない状況なのでドル買いが優勢だが、例えば30年債が@4%を目指すような展開になると、話は180℃変わってくる

 ご存知のように、アメリカは日本のように国内投資家だけで財政≓「資金繰り」を賄っている訳ではない日本と中国だけで4兆ドルもの米国債を抱えており、米国債の買い手はほとんどが海外勢「ベア・スティープ」が何を示すかというと、米金融当局が「インフレ」を制御できないという事。つまり「信用」の失墜。そうなれば海外投資家は米国債を売り始める

 「米国債売り」は「ドル売り」に波及し、その後「米国株売り」につながる。いわゆる「トリプル安」。相場では 常に「逆の目」はある。ー @126円超えの「円安」が起こす "変化" 。|損切丸|note 。すぐ起きるとは想定しづらいが、今後米国債イールドカーブの形状変化には注意が必要だ。

 特に「バイデンーパウエル」コンビは要注意。筆者は全く信用していない。そもそも中間選挙目当てで意図的に「インフレは一時的」などと喧伝し、2020年前半に必要な「利上げ」を遅らして「インフレ」をここまで悪化させたのはこの両人"侵略戦争" のせいにしようとしているようだが無理がある。その辺り米国民も ”バイデンフレーション” の衝撃。|損切丸|note を認識しており、支持率は一向に上がらない。

 もっともFRBはこの "理屈" を熟知しており、4/18にはセントルイス連銀のブラード総裁「年内に@3.5%まで利上げ」をぶち上げた。+0.5%はおろか+0.75%の「利上げ」も辞さない構え。これは「トリプル安」の恐ろしさを理解しているからで、「ベア・スティープ」=FRBの「信用」失墜、を防ごうという意志が働いている。

 仮にブラード総裁の意見通り「利上げ」が進むと  :

  "理想シナリオ" は①米景気が鈍化②インフレが沈静化③「利上げ」は@3.5%で打ち止めとなる。一時的に5年以下の名目金利は急上昇するが、結果として10~30年債の名目金利は@3~3.5%程度で収まることになり、破滅的な「ベア・スティープ」=FRBの「信用」失墜、は回避できる。米銀勢も金利ポートフォリオの調整は大方済んでおり、実現可能なシナリオではある。

 そうなると "ベア・フラット」はドル買い" が継続。あくまで4/27,28の日銀政策決定会合でYCC(イールドカーブ・コントロール)を廃止するか、ターゲットを10年 → 5年に短縮化するなどの政策変更をしない前提ではあるが、ドル円は一気に130円超えを目指すことになるだろう。

 中長期的に見ると、FRBの利上げ前倒し積極化が功を奏し「インフレ」抑制に成功すると、今度こそ「本当の逆イールド」=将来の利下げ見通し、が現れる。そうなると今度は米長期金利は低下、日米金利差も縮小し始め「円安」は逆回転。問題はいつ "理想シナリオ" が実現するのか

  「首都圏マンション平均価格6,360万円、バブル期超え過去最高に」

 ちなみに東京23区ではマンション平均価格が8,000万円超え(!!)で過去最高というニュースが流れたが、まだ上がると思う。「東京オリンピック後に暴落」説はどこヘやら(苦笑)。これは20年前にロンドンで見た光景と似通っており、それほど このままでは「円」の「信用」がボロボロになる。|損切丸|note の影響は大きい。もう「お金」は信用されていない

 これも "相場の鉄則" だが、巷で「高過ぎる!」「大変だ!」と騒ぐうちは値はまだ上がる「円安」もそうだしガソリンや電気価格の「インフレ」もそう。それだけ「買わなければいけない人」がまだ多く残されている証拠だからだ。ほとんどの人が買い終わって "悲鳴" が止んだ時、バブルは静かに崩壊し始める。この "声"相場のバローメーターの1つ

 ”もうはまだなり、まだはもうなり”


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