ほぼ予想通りとはいえ、4回連続の+0.75%「利上げ」はモンスター級。少なくとも「損切丸」現役中の22年間でも見たことが無い。スリランカのデフォルトなど波乱も見られるが、クラッシュもなく株価も含めこの程度で良く済んでいるな、というのが実感。
だがFRBにも ”変化” が見られる。
FOMC声明文、パウエル議長の発言(抜粋) ↓
FX(為替市場)と株価の最初の反応は①~④ ↑ について歓迎ムード。警戒感から下げていたNYダウは一時プラス圏に浮上し、ドル円も@145円台に突っ込んだ。
その後⑤⑥で ”釘” を刺され、米国債が反落。金利の上昇に押し戻されるように株価は下落、ドルは買い戻された。
議長はよほど自信がないのだろう。バイデン大統領に良かれと思って2021年に「利上げ」を先延ばしにしたのに、「高インフレ」という最悪の結果に陥り相当叱られているはず(苦笑)。本来株価上昇で迎えたかった中間選挙も完全に裏目に出てしまった。それでも+3,000ドル近くNYダウが戻した後だけに、ギリギリ許容範囲かもしれない。
さて、このところミサイルがバカバカ撃たれて喧しい日本。こちらも実は大きな ”変化” が見られる。何と言っても注目は黒田総裁だ。
形式的とはいえ、国会の場でこういう発言をするには政府与党と相当綿密なやり取りがあったのは間違いない。まるで「運転する!」と言って聞かない高齢のおじいちゃんからやっと運転免許を取り上げたよう(苦笑)。兎にも角にも* ”方向転換” した意義は小さくなく、ドル円が@145~146円に突っ込んだことと無関係では無い。明らかに雰囲気が変った。
「無理」を押し通す日銀。- 日本国債(JGB)市場の "歪み" が意味するもの。|損切丸|note でJGBカーブの歪み ↓ を指摘したが、国内でもやっと「YCC(イールドカーブ・コントロール)が無ければ10年は@0.80%」と試算する銀行も出てきた(「損切丸」読んでるのかな?苦笑)。
その "FACT" (事実)を "先取り" したのが大手3行による住宅ローン金利引上げ ↓ @10/31。20年>@1.1%、30年>@1.5%になっている現状で、銀行が@1%以下で「お金」を貸すメリットはない。
これで日本も実質的に「金融引締」に舵を切り直したと考えていい。実際「利上げ」自体はまだ大分遠いが、a. マイナス付利金利@▼0.10%の廃止、b. YCCの基準金利引上げ(廃止はJGBが大暴れしそうで怖い)は、次期総裁といわず黒田総裁でも可能だ。
特に a. 付利金利については3層構造の付利制度 ↓ で「マイナス金利」は形骸化している。
遂に始まる「実質マイナス金利預金」。|損切丸|note
収益悪化に苦しむ銀行への補助金として、日銀は年間2,000億円もの「利息」を既に支払っており、「マイナス金利政策」は総裁の面子維持だけのための "象徴" に過ぎない。▼300億円程度で「円安」を抑制できるならコスパはかなり良いし、b. YCCの基準金利引上げにしても10年+0.5%ぐらいのコスト増なら財務省も許容範囲だろう。
波乱の2022年も年末が迫り、2023年に向けて ”変化” の兆しが見えてきた。 FRBは ”肉”(=株価)を斬らせて "骨"(=インフレ) を断てるのか?|損切丸|note でとりあえずパウエル議長は「骨を断つ」判断を下したが、今のフラフラ具合ではいつ ”ちゃぶ台返し” をしてもおかしくない。それはラガルド総裁も同じ。「戦争」の行方もある。
おそらく2023年の "真の主役" は、日銀総裁交代を控えた日本になる。こちらは ”XXXミクス” と「超低金利時代」の終焉という歴史的転換点。もちろんJGBも大荒れになるが、500兆円近い「円」が「外貨投資」という形で国外に出ており、むしろ海外の関心が高い。だがこの ”痛み” 無くして「新時代」には向かえない。もっとも「円預金」を持つ身としては年間「利息」が数十円なんてのはもう飽き飽き。早く "普通" に戻りたいものだ。