"ニュースより相場" 。 ー 日本人の理解を超える「スラヴ民族」の歴史。
さてウクライナ情勢を睨んで明けた今日(2/14)のマーケット。日経平均の急落(▼2.2%)もそうだが、筆者を心配に陥らせたのはドイツDAX指数の急落(オープニングと同時に▼3%強下落、@15,000.- bps 割れ)。ヨーロッパの天然ガスも+14%急騰しており、バレンタインもオリンピックも吹っ飛んでしまった。お祭りで浮かれている場合ではない。
だがいくらニュースを探しても「侵攻」「戦争」など新たな情報はない。いくらか投機売買が含まれているとは言え、何しろ大事な「お金」がかかっている。相場を張った人ならわかるが、洒落や冗談で切った張った出来るものではない。株が▼3%強も下落という "FACT" は重く、「お金」の裏側で何かが進行していると読める。こういう時は "ニュースより相場" である。
今回のロシア、ウクライナ共にいわゆる「スラヴ民族」。その分類は:
この面子を見てすぐに思い浮かぶのは*「紛争」「戦争」「侵略」などの「血塗られた歴史」。元々ロシア民族の中心都市は今のウクライナの首都・キエフだったというから浅からぬ因縁だ。ちなみに「スラヴ」の語源は "Slave" (奴隷、弱いの意味)というから、何とも意味深。
日本のメディア報道やネットの反応を見ていると「結局ロシアは侵攻しない」という楽観論が強いように感じるが、どうも "FACT" は違うような気がする。今回の軍事行動によりプーチン大統領の支持率が上がったいうから、**「戦う」ことの価値が「平和」を上回っていると見るのが妥当だ。
今日(2/14)の欧州市場を見ていると、やはり日本のニュースソースとは全く違う出来事が進行していると感じる。まさに「相場は語る」。筆者自身も「戦争」は起きて欲しくないと祈ってはいるが、その祈りを「相場」や「投資」に当てはめるのは危険。特に日本以外の国に関わる外国株やFXについては、歴史的背景を含め今後の展開を客観的に判断する事が求められる。
「ドイツ人は例え目の前で人を轢いても自分がやったとは認めない」
これはロンドンで開かれたオフサイトミーティングで隣に座ったドイツ人が筆者に向けて話した事。ドイツマルクを担当したことがあって、彼らが極度の「負けず嫌い」なのは知っていたが、そこまで極端だとは(笑)。もっともこれはジョークなどではなく、真面目にそうらしい。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」
逆に日本人の特徴をこう説明。「日本人の場合、みんなが売っているか(買っているか)どうか、が最優先で "適正値" や合理的価格は無視。だからどんなに不合理でおかしな価格でも、株やドル円、JGB(日本国債)は時々暴騰、暴落する」と。今の感染対策を見ても違いは明白だが、欧米人には日本人固有の「同調圧力」は理解し難く、これはこれで驚かれた。
「損切丸」が担当していた「金利」はまさにその典型だが、「通貨」はその国の歴史そのもの。「国民性」や「文化的背景」を理解しないと相場では大火傷を負う。日本人のトレーダーが "罠" だらけのドル金利先物で負け続けたのもそうだし、「金利が低すぎる」という理由で欧米人が10年以上もJGBショート(金利上昇方向)で挑んで負け続けたのもそう。全てはその国への "無理解" が生んだ必然の結果だったわけだ。
「祈ったら相場は止め時」
かつてドイツマルクで巨大なリスクを負ったが上手くいかず、数十億の含み損を抱えた時に得た教訓だ。「損切り」できないほどポジションが大き過ぎて、最後に「ブンデスバンク(ドイツ中銀)利下げしてくれぇ~」と祈ってしまった。だが結果は悲惨なもの。今思えば少しづつでも切れば良かったのだが、人間追い詰められると祈るようになる(苦笑)。そもそも切れないようなポジションを持つべきではなかったのである。
今も進行中の欧州の相場を見ていて、国家の背景を理解する事の重要性を改めて認識。「戦争反対!」の個人的 ”祈り” とは別に、今のウクライナ情勢なら、それこそ「スラヴ」的発想でマーケットを客観的に俯瞰するべき。最後の最後はわからないが、「日本人的思い込み」は禁物である。
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