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「インフレ」が導く「付加価値」の時代。

 ロンドンニューヨークを訪れて改めて驚くのが「東京」の凄さ。広さもそうだが、銀座があって新宿があって渋谷があって上野があって池袋があって吉祥寺があって、そしてちょっと動けば横浜浦安もある。こんなに行くところがある都市はちょっと世界に例を見ない

 特に「飲食店」の多様性は目を見張る。日本料理はもちろん、イタリアンフレンチ中華もバラエティに富んでいて、しかもおいしいおそらく世界一の「食都」だ。 “世界主要都市のレストラン数ランキング” (  標題)を見て驚いたが、ぶっちぎりの1位。納得である。

 ある番組で言っていた「飲食店」が果たす2つの機能 ↓ 。

 ①「おいしい料理を提供する」 ②「集いの場」

 日本②「集いの場」に依存するお店が多いという。いわゆる “居酒屋文化” がその代表だが「コロナ危機」でその役割が大きく低下。緊急事態宣言解除後は客も忘年会等の需要も思うように戻らない。「集いの場」は “リモート” で一部代替され、「飲み会は不要」と考える人も増えている

 今後「飲食店」は本来の①「おいしい料理を提供する」に回帰する動きになる。典型が「お一人様」焼肉や鍋物のお店だが、確かに*この危機を乗り切った店は「おいしい店」が多い。今後は多少「お金」を払ってでも食べたい「おいしい料理」=「付加価値」をいかに提供できるか

 何件か有名な老舗が「コロナ危機」と同時にスパッと店を畳んだおいしくて通っていたので残念だったが、きちんと儲かっていたのだろうパンデミックの対処方としては、感染が収まるまで2~3年休業して、その後再開するかどうか判断するのがベスト閉めた店は「お金」に余裕があったということ。ここでも「付加価値」の有る無しが命運を分けた

 あるビジネス記事の解説  。

 「デフレ」→「安売り」 「インフレ」→「付加価値」

 確かに平成デフレで勃興した企業は「薄利多売」で業績を伸ばした。その過程で苛烈な「人件費削減」があった訳だが、ここにきて変化も見られる。象徴的なのは「100円ショップ」で200円や500円の商品が増え、ファストファッションの衣料も「少し高いがいいもの」にシフトしている。

 サプライチェーン分断の影響もあり、中国やアジアから入ってくる商品は既に安くない生鮮魚など食糧品は争奪戦が起きており、「円安」の悪影響もあって日本が「買い負け」するケースも増えている。**人手不足も深刻化「付加価値」を上げていかないと厳しい時代を迎える。

 **反面、大手企業では1,000人単位の「早期退職」勧奨が進む。主に50代がターゲットで、高い給料に見合う「付加価値」を生まない社員は不要ということ。誰にでもできる労働なら “安い” 若手に移行するのは当然だろう。 “新陳代謝” は始まっている。

 思い起こせば、もともと「高・付加価値」は日本の ”十八番” (おはこ)。かつての「ウォークマン」がそうだし、作り込んだアニメなどは最たる例だ。だがそれも “慢心” と “独りよがり” のために「ガラパゴス化」した分野も多く、世界においていかれた。だが日本に能力がないわけではない

 今回の「コロナ危機」対応にしても、「飲食店」を給付金で救うのはいいが、それも程度の問題駄目な店はいずれ潰れる。銀行には「貸さぬも融資」という言葉があるが、***多過ぎる「飲食店」から「残す店」と「潰す店」の選択が肝要これだけ “過当競争” だと「値段」は上がらない

 ***やはり多すぎると言われる「スーパー」も、地方を中心に合併、連携が進んでいる不毛な価格競争を繰り広げるよりは賢い選択だ。これも「危機」「インフレ」がもたらした “新陳代謝” 。ただ、数が多い=商店街・町内会等「大票田」でもあり、それ故の「バラマキ」で ”ゾンビ” を温存したのが「給料が上がらない日本」の元凶。不要に事業を続ければかえって不幸になる事もある。今後は「愛のある切り捨て」が日本再興の鍵だ。

 「インフレ」→「付加価値」という意味では、本来日本は「インフレ」が得意なはず。少なくとも潜在力はある。あとは霞ヶ関永田町がその力を引き出せるか、少なくとも邪魔をしないこと。投資家は良く見ているので、****「変化」を見いだせば ”置いてけぼりの日経平均” も復活するはず。大いなる期待も込めて。

 ****同様に日銀の不毛な金融緩和で ”置いてけぼりの円” も「金利」を適正化すれば解消する。ただ過去の例に習えば、「利上げ」は総裁が日銀生え抜きに代わるまで待つ事になる。2023年4月まで「円安」が待ってくれるだろうか…。気が遠くなりそうだ(苦笑)。



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