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「インフレ」と「パンデミック」。

 東京都の「新規陽性者数」が凄まじい勢いで増えている。この1年半、家族以外の誰ともほとんど合わず、生まれてこの方、こんなに小まめに "手洗い" "消毒" をしたことはない(笑)。*毎日4,000人近くもどこで感染しているのか不思議でならないが、同じ思いの方も多いのではないだろうか。

 大多数の日本人は感染対策を生真面目に励行しているはず。だが "路上飲み” や、外出しなくても友人宅に集まってオリンピックを見ながら...、なんて人もいるのかもしれない。クラスターも職場の割合が一番多く社員寮でも発生しているらい。これでは "人流” が減っても感染拡大は止まらない

 しかし考えれば考えるほど「インフレ」と「パンデミック」には共通点が多い。標題添付の "チャート” は東京都の「新規陽性者数」のグラフだが、日経平均の長期チャート ↓ とまさに相似形。傾向拡大が目に見えない点など "上下動パターン" が似ているということだろう。

日経長期チャート

 (共通点1)油断をすると一気に加速する

 「緊急事態宣言慣れ」「自粛疲れ」というような言葉が蔓延しているが、これはあくまで「人の気持ち」の問題であって、 "繁殖マシーン" のウイルスには何の関係もない。防御策を取らなければ人から人へただ機械的に拡がっていくだけそこに「気持ち」は存在しない

 同様に「インフレ」も「物」と「お金」の「需給」の問題であって頑張ればなんとかなるものではない。然るべく対策を打たなければ事態は加速度的に悪化する。「オイルショック」による ”トイレットペーパー不足” バブルを経験してきた世代には覚えがあるが、価格上昇などを経て「需給」調整されるまで止めるのは難しい

 (共通点2)人の「ご都合」を忖度してくれない

 「人流が減っている」「ワクチン接種が進んで重症化しにくくなっている」。こういう "希望的観測" を嘲笑うかのように、 "ウイルス" は選挙とかオリンピック権益とか、そういう「ご都合」を全く忖度してくれない科学的根拠を持って正しい対策をしない限り "マシーン" を止めるのは難しい

 「物」と「お金」の「需給」も同様。「値段が高すぎるから買いたくない」というような "嘆き" だけでは「インフレ」は解消しない。こちらも①「物」の供給を増やす②「お金」の供給を減らす=増税、利上げをしない限り状況は改善できない。「巨額の国家債務」のような「ご都合」は、忖度どころかかえって "付け入る隙" を与えるだけだ。

 (共通点3)Slack(緩み)が次の拡大(感染)を招く

 「かかっても死なないから大丈夫」「1千3百万人のうちの数千人なんてただの "さざ波" 」。若い世代の主張はある意味正しい。だがこれは「過去」の話であり、こういう "緩み" ウイルスは見逃さない。厄介なのは、彼らは "マシーン" であると同時に常に形を変え進化する "生き物" でもある事。死ななかったはずの10代、20代が重症化、死亡する例も増えているという。「他人事」でなく「自分事」になった時に慌てても後の祭り

 「インフレ」におけるSlack(緩み)とはまさに「お金」が余っていること余り度合いを示すバローメーターが「金利」である。今マーケットで「謎」となっている "上がらない米国債金利" ↓ だが、これこそ*「お金」が余っている証拠

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 実は日本でも Slack が現れ始めている。TONAR(無担保コールO/Nレート)がこのところ@▼0.03~0.05%に ”緩んでいる”  ↓ 「緊急事態」続きで「お金」を溜め込んでいると推察されるが、随分余裕があるものだ。メディアでは飲食業を中心にミクロな「悲惨な話」ばかり垂れ流しているが、マクロがそんな状態でないのは「お金」余りが証明している。

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 推論だが、あまりの価格急騰で尻込みした消費者が一時的に「お金」を手元に持っているため起きている現象。だがいずれ買う物は買わなければならず、見方によっては次の価格上昇へ向けての "マグマ" とも読める。理屈で言うと「金利」が上がって「お金」余りが解消するまで物価の上昇は続く

 双方とも "鍵" 「未来を読むこと」「インフレ」「パンデミック」「過去」だけの分析ではなく、それが今後どう変化、展開していくかを "読む" こと、そして一番肝心なのはその未来の「不確実姓」=リスクに向けて一歩踏み出す事だ。この点が今の日本に決定的に欠けている。1964年の「古き良き思い出」を持ち出すなんていうのは全く "ずれている"

 「インフレ」「パンデミック」双方の対策に、それぞれの知見が生かされればいいのに。山火事同様、どちらも一度爆発すると押さえ込むのがかなり難しい科学的根拠を持った ”前倒し” 対策が有効なのだが、今の東京の「感染爆発」を見て「インフレ」が心配になってきた(もう爆発?苦笑)。

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