「利上げ」予報 @5/13/2022。ー 「ブラックスワン」も「灰色のサイ」もとどのつまりは「資金繰り」。
「利上げ」予報 @4/19/2022。ー 注目すべきは米国債イールドカーブの「スティープ化」(傾斜化)。|損切丸|note 以来の「利上げ」予報。
1~2年米国債の名目金利を見ると、例えば4/19 2年債@2.45% → 5/13 @2.58%と+0.13%上昇しているように ”見える” が、事実はその逆。実は米国債金利、かなり "下がっている" 。
以前説明したが、「利上げ」局面では Time Decay (時間経過による価値変化)が激しく、同じ「利上げ」予想なら日が経つほど名目金利が上がる。
今の「利上げ」予報は:
これは単純な加重平均の計算だが、例えば6/15に+0.25%「利上げ」するとすると、計算上日が経つほど政策金利@1.00%の日数が増え、現行のFF金利@0.80%の日数が減る。10日経てば1年債で+0.14%、2年で+0.07%程「名目金利」が上昇。それでようやく「金利が動いていない」ことになる。
4/19時点では6/15に+0.5%「利上げ」されると予報 ↓ が出ていたのに、現時点では+0.25%に ”下方修正” 。政策金利の「到達点」も@3.75%から@3.50%に ”金利が下がっている” 。
だから最近ドル円が▼2円程「円高」方向に修正されても驚かない。株式市場を巡ってはウォール街を中心に「リセッション」の大合唱が始まり、いつの間にかFRBは@3.5%までしか「利上げ」しないことに。 "13日の金曜日" にも関わらず、昨日ようやく株が持ち直した。
これは2021年末から2022年初に見られた「FRBの利上げは@2.0%まで」運動と同じ。 「俺たちは "低金利" "過剰流動性" が好きなんだ!」|損切丸|note のように、彼らは自分のボーナスのためなら何でもやる人種。一時的でもいいから金利の上昇を止め、株のラリーを "演出" したいのだ。
だが ”リアル” は残酷。その究極が「資金繰り」であり "演出" は不可能。「相場は3ヶ月、6ヶ月先を織り込んで動く」と再三再四述べてきたが、「資金繰り」=「流動性」だけは別。*目の前で「お金」が消えていくショックはまさに ”崖っぷち" であり、これは経験者にしかわからない。
” Where is MONEY !! "
これはリーマンショック真っ只中、筆者が参加した**NY、ロンドンとの「流動性会議」でロンドンのドル担当者が切羽詰まって叫んでいた言葉。筆者は誰もいない夜10時過ぎの東京オフィスで一人参加していたが、とても東京の同僚には話せなかった(3年後には笑い話になったが)。
最近では「クラッシュ」を「ブラックスワン」「灰色のサイ」と呼んだりするが、とどのつまりは「資金繰り」。対応策としては「事前に備える」しかない。一度 "こと" が起きてしまうと取り返しがつかず、 ↑ のように膨大なコストがかかる。それでも「破綻」よりはマシという訳だ。
この辺りの理屈を当然パウエル議長は十分理解しており、それが故に「QT」を最初の3ヶ月間、半分=(米国債▼600億ドル+MBS等▼350億ドル)÷2にした。「クラッシュ」を時間をかけてソフトランディングさせようとしている。
だがFRBの ”親心” 、子(=ウォール街)知らず。年初に「FRBの利上げは@2.0%まで」作戦で失敗にしているのに、懲りずに今度は「リセッションの大合唱」→「利上げは@3.50%まで」。***何が何でも株を上げてボーナスが欲しい。
「お金」が減る中で今後は QT(量的引締)が引き起こす「お金」の大移動。ー 「危ない所」から「安全な所」へ。|損切丸|note
「不要なモノ」から「必要なモノ」と言い換えても良い。
「投資」なら:食品・エネルギー等 > 現金 > 国債 >社債、株等
「通貨」なら:ドル > ユーロ > ポンド、円 >マイナー通貨、暗号資産
実生活から遠いモノから「お金」は抜けていく。
このソフトランディング戦略、上手くいくのか。筆者は7:3で上手くいかないと踏んでいる。そもそも「インフレ」対応を恣意的に半年も遅らせたのに、今回のQT半額対応など ”Behind the Curve" を取り返す ”覚悟” が見えない。株価のリバウンドは良いが同時に原油価格も上がっており「インフレ」収束が見通せない。これでは「白鳥」や「サイ」を大きくするだけだ。
これまでのアメリカ主導の「マーケット資本主義」は「バブル&クラッシュ」の繰り返し。今回もその "歴史の轍" を踏むのではないか、そういう気がしている。ただ創られた「バブル」の大きさによって被害状況は違ってくる。その意味で 常に「逆の目」はある。ー @126円超えの「円安」が起こす "変化" 。|損切丸|note は有り得る。
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