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日本の「インフレ」の行方Ⅱ ー 注目される ”サービス価格” ≓ 人件費の行方

 日本の「インフレ」の行方 ー 問われる日本人の ”覚悟” |損切丸 (note.com) の続編

 「何か最近電気代、ガス代が安いなぁ」

 「損切丸」も含めそう感じている人も多いのではないか。原因は「燃料調整費」年初月+3,000円程度だったのが▼3,000円にドテン。そう、これが「エネルギー補助金」の正体。CPIを▼0.5%引下げると概算されている。

 11月CPI(年率)+2.8% 予想 +3.0% 前月 +3.3%
 コアコア(除.食品・エネルギー)+3.8% 予想 +4.0% 前月 +4.0%*サービス価格 +2.3% 前月+2.1% - 消費税率引上げの影響を除いて1993年10月(+2.4%上昇)以来、30年ぶり高水準の伸び
*生鮮食品を除. 食料 +6.7% 前月+7.6%
*エネルギー ▼10.1%  前月 ▼8.7% - 電気代 ▼18.1%、都市ガス▼16.8%

 コアコアCPI+3.8% > 総合CPI+2.8%にその影響ははっきり現れている。家計はほっと一息だがやっと日本人も「補助金」「給付金」のカラクリに気付きつつある。これらはつまり「税金」の前払い。例えば本来6~8万円もする「無料」のコロナワクチン。後に「健康保険料」の引き上げという形でキッチリ回収されている。「ただより高いものはない」

 世界的に見てもCPIは+3~4%に収束しつつある(除.BRICS)。一時@100ドルを超えていた原油価格も@70ドル台、戦争の影響を受けた小麦なども落ち着いてきている。FRBやECBによる「利上げ」も効いてきた

 欧米もそうだが「インフレ」のコアは「人件費」。筆者は30年振りの伸びになった「サービス価格」に注目している。短観で見られた旺盛な新卒採用意欲もそうだが、企業の「人手不足」感は強い。若くて優秀な人材はどこでも引く手あまた。凍り付いた「お給料」がやっと日本でも溶け出した

 日本の「物価」に関しては、身の回り品の価格や電気代、ガス代が落ち着いて家計の不満は一時的に解消された。だが生活は楽にならない。そう、「物価」の下落は「補助金」で一時的に抑制されたに過ぎず、その分税+社会保険料でこれだけ取られては可処分所得が増えない。つまり「利上げ」による根本的な「インフレ」抑制が遅れている。その不満が今「政治」に向かっている訳で、2年前の「バイデンフレーション」そっくりだ。

 日銀も前総裁の時なら "見た目" のCPI低下を盾に「マイナス金利政策」維持に固執しただろう。だが今や日本人は目覚めてしまったお仲間に「お金」を配りまくって庶民から吸上げる仕組みはもうバレてしまっている。

 実は「金利」も同じ仕組み物価を大幅に下回る金利しか「預金」につけず、余った分を「予算」でばらまく。結果が今の「六公四民」。このままでは「七公三民」も有り得る。以前スウェーデンで自己負担が7割に上った時に国民が働かなくなったと言うが、日本も一歩手前。

 「円安」と世論が背中を押す中、かつてなく日銀は「利上げ」に向かいやすくなっている。昭和の高度成長期以来の画期的「変化」と言っていい。 前稿.覚悟を決めた?財務省・日銀|損切丸 (note.com) でも書いたが、既に「利上げ」へのレールは敷かれている。歳出削減を成し遂げたい財務省も今回はサポートに回っているようだ。

 一時買い戻されたドル円やJGBも売り戻され 「JGB」と「ドル円」をぶん投げているのは誰? ー オモチャにされる「日本」もう懲り懲り|損切丸 (note.com) の見立て(海外主導)も正しかったようだ。

 12/22 朝日新聞デジタル:三菱UFJフィナンシャル・グループ亀沢宏規社長「(日本銀行マイナス金利政策の解除について)来年1月にも十分ある」

 邦銀のトップがこんな事を口走るのは異例。そういえばK団連の会長も同じ様な事を言っていた。何かと批判の多い現政権だが政財界のトップでは "話" が付いているのだろう。だからファンドがドル円JGBを荒らし回っても動じることはない。「円」がマザーマーケットの市場参加者が付いていかなければ本流にはなり得ない

 「FRBが利下げに向かうのに日銀が利上げするのはおかしい」

 こういう意見も良く目にするがそれは金融政策が正常に運営されていればの話。CPIが下がったといっても現状なら+1%でもかなりの「金融緩和」JGBも年間70兆円規模で買い続けているし「マイナス金利」など論外だ。そう言う意味ではいつでも発動できるわけだが、どうも海外勢は大騒ぎにしたいらしい。あとは「強制捜査」など政治動向を見極めた上での判断になる。

 難しくなるのは 続・日本人にとっての「最適投資」2023。- 跳ねるか ”卯(うさぎ)年” 。|損切丸 (note.com) 特に*ドルなど外貨投資は「エントリーポイント(どこで入るか)が鍵になる。

 *JREIT(不動産投資信託)を見ても安定していた平均利回りが@4.2%台から@4.3%台後半へ上昇。財務省の「国債想定金利」@1.5%→@1.9%と平仄を合わせるように売られている(金利は上昇)。「お金」の半分を「借金」で賄うだけに警戒感が高まっている。これも "話" が付いている証左

 いずれにしろ2024年は日本にとってターニングポイントになる。折しも干支は「辰年」= Year of the Dragon (筆者も年男)。十二支の中では株価上昇率トップ ↓ 阪神タイガース優勝の翌年は株価急騰というジンクスもあり「今度こそ」空高く舞い上がることが出来るか。30年もウダウダしてきて筆者ももう飽き飽き。条件は整いつつある。


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