覚悟を決めた?財務省・日銀
昨日(12/19)の日銀政策決定会合で何~にもなかったことからはしゃいでいるドル円、JGB、そして日経平均。まあ短期トレードとしては「買い」が正解だったのだろうが「投資」となるとどうだろう。17年振りに「国債想定金利」を@1.1%→@1.9%に引き上げた ↑ という記事が気になる。年間で換算すれば▼10兆円近い出費増だ。
「財政健全化至上主義」を標榜する財務省としては、これ以上税・社会保険料の徴収増を見込めない以上、「国債費」増加を盾に歳出削減を図りたい思惑もあろう。実際医療費を巡っては本体部分の増額は認めたものの薬価を含めた全体は引下げている。今回の「強制捜査」も合わせて考えると、政治サイドに「お金」の警鐘を鳴らしているとも読める。もう振る袖は無い。
今日も朝からJGBが「買い」で飛ばしているが「日本金融村」と財務省・日銀の ”阿吽” の呼吸を考えると国内勢が主導しているとは到底思えない。 「JGB」と「ドル円」をぶん投げているのは誰? ー オモチャにされる「日本」もう懲り懲り|損切丸 (note.com) から察するにドル円もJGBも「キャリートレード」に飛びついているのは ”黒船” ≓海外ファンドだ。1月会合まで何もないならその間の「キャリー」も取りに来るのが彼らの習性。
1994年10月に英銀に転職して最初に仕えた金利のマネージャーが毎朝こう叫んでいた。当時は10年JGBはまだ@2%台だったが、それでも米国債が4~5%時代だったからかなりの「低金利」。彼は元々2桁金利のGILT(英国債)のトレーダーだったのでJGBを売りたくてたまらなかったのだろう。
欧米の金利トレーダーの反応は9割方同じ。JGBを「買い」(金利低下)から入るのを見た事がない。だが*繰り返し邦銀の「お金」の壁に阻まれ連戦連敗。「不思議の国・日本」の完成である。彼らの "物差し" ではそんな金利の低い商品に「投資」するなど考えられなかったのだろう。だから「損切丸」がいくら説得しても無駄(苦笑)。
その後数年経って彼らが到達した結論は「JGBは売ってはいけない」。ほぼ「禁止令」に近いがそれだけ「不思議の国・日本」は理解しがたい部分が多い。それが今やJGBの「キャリートレード」に走るとは...。世代交代もあるのだろうが、時代も変われば変わるもの。隔世の感がある。
ただ、直近のテール(最高利回り-平均利回りの差)が長い超長期債の入札からも国内勢が及び腰なのは明らか。米国債もそうだが中央銀行と密接に繋がっているドメ(Domestic、国内)の銀行と闘っても勝てる見込は薄い。長年色々な金利を手掛けてきて筆者が得た "教訓" でもある。
前総裁の呪縛で動きが取れなかった日銀だが、この「国債想定金利」引き上げから察するに財務省から "フリーハンド" を得たと考えていい。**10年ぐらい前から「海外勢の損は国内勢の利益」(逆も然り)という発想が財務省・金融庁・日銀の間で共有され始めている。
ドル円や日経平均もそうだが、筆者は海外勢がブンブン振り回すのはほとんど無視している。どうせ買った分売ってくるのだから市場への需給インパクトはトントン。それより大事なのは国内勢がどう動くか。裏では財務省・日銀がタクト(指揮棒)を振っている。そこを見誤らないこと。
おそらく海外の「新世代」でも「不思議の国・日本」を理解している向きはほとんどいない。特にこの強烈な「同調圧力」は自主性を重んじる欧米人には到底理解できない。だから今回日本人は彼らの「損切り」に巻き込まれない事が肝要。今度は「JGB買い禁止令」に追い込みたい。それで初めて日本に「お金」が残ることになる。おそらく当局もその事は意識している。少し "斜め" から相場を見てみる工夫がいるだろう。
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