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「利上げ」は止まるかもしれないが...。ー Money Changes Everything. 「お金」の魔力。

 4月米CPI(年率)+4.9% 予想 +4.4% 前月 +5.0%
 コアCPI +5.5% 予想 +5.5% 前月 +5.6%

 マーケットの注目度は大分落ちているが4月米CPIの発表があった。低下基調が続いているとはいえ、そのペースは極めて緩慢であり、特にコアCPIの高止まりが目を引く。まあ、政策金利が@5%とCPIを超えてきており、「利上げ」は止まるかもしれないが、とてもじゃないが「利下げ」を言い出せる状況には無い。|損切丸 (note.com) というのが依然筆者の意見だ。

 ところがこんな穏やかな指標でも米国債市場は大暴れ。一時@4.05%まで売り込まれていた2年債は@3.91%まで買われ「利下げ」を催促。5年超のゾーンも振り回される恰好になった。本当にしつこい(笑)。

 筆者は2024年央にかけての半年間で▼150BP(▼1.5%)もの急速な「利下げ」予報が気に入らないが、この動きにはいくつかの理由が考えられる:

 ・トレーダーの "都合" 

 リストラの嵐が吹き荒れる投資銀行業界で、とにかくトレーダーは必死。いい方は悪いが「動けば何でもいい」。短期売買で期間収益を稼がなければいけない彼らは、とにかく相場を動かして利益を上げようとする。だから本来材料にならないようなCPIにもこんなに食いついてくる。

 この辺はビットコイン(BTC)やドル円も一緒で、正直節操が無い。ただ、こう言うやり方が常に儲かる訳では無いので、「首」がかかっていない個人や最終投資家はこんな相場にお付き合いする必要は無い。まあ肉食獣が喰い合うのを静観しつつ、 "時" を待てばいい。

 ・固定収入が欲しい

 これだけ相場が困難を極めると、相場の変動によらない固定収入を指向する投資家も増えてくる。「お金持ち」の中には ”2年で@4%あれば十分” と考える向きもある。5~10年は長すぎるので1~2年は丁度居心地が良い。

 ただ筆者なら、短期国債投資の優先順位は:

 ①3ヶ月@5.22% ②6ヶ月5.11% ③1年@4.77% ④2年@3.92%

 6月の+0.25%「利上げ」直後に7月に▼0.25%「利下げ」を織り込んでいる6ヶ月@5.11%より3ヶ月@5.22%
2年@3.92%よりも3ヶ月@5.22%×8回を選ぶ政策金利はコアCPIの水準@5.5%程度まで上がる可能性もあるので、ここで固定する意義は薄い。そういう主張を繰り返すFRB理事も多い。

 「おにいちゃんがいつも来てくれるから...」

 田舎の「昭和世代」の人達がよくこう言う話をする。曰く、信用金庫の若い担当者が毎日来てくれて、集金や振込など色々面倒を見てくれるので定期預金を作ってあげたりするという。これが「預金大国」日本の源泉ではないだろうか。情に脆く「清貧思想」も相まって金利や投資の話を忌避する。

 だが「お金」の話は「別」

 横溝正史の推理小説でも遺産相続絡みで殺人が起きるが、あれは誇張では無い。Money Changes Everything. 「お金」の魔力とでも言おうか。ドラマや映画では「莫大な資産」を巡って血みどろの抗争が繰り広げられるが、現実の世界では「少ない資産」を巡って醜い争いが起きる分け合うに十分な「お金」があれば揉め事も起きにくいが、中途半端に残っているが故に「お金」が欲しい兄弟、親族で奪い合いになる。身内であるが故に骨肉の争いになり、人間関係が壊れてしまう。

 *だから夫婦でも恋人でも親兄弟でも「お金」の話は「別」

 *結婚詐欺の話で「あと3百万円あれば事業が続けられる」などと持ちかけられた恋人(詐欺のターゲット)が払ってしまうが、本当に ”愛” を試すなら一度断ってみればいい。「恋は盲目」ともいうし、それではドラマにならないのだろうが、「お金」の部分に着目すれば ”本音” が見えるのも事実。ほとんどの詐欺はこれで防ぐことが出来る。

 投資銀行業界でも「お金」で人生を狂わした人も何人も見てきた。特に新入社員は大卒でいきなり800万円も貰えば勘違いもする。中には採用試験で "不正" までして入社したのに、事がバレて半年で「首」になった奴もいる。

 一体何のために外資系に就職したんだか...。

 外資が高給なのは「期待料」の前払いに過ぎず、それに見合う成績を収めないと給料は上がらない。それどころか、激務もあって1年も経てば半分以下に減る。 "不正" までして入ろうと言うこと自体、完全に "ずれている" 。そして1年後に転職を余儀なくされた彼らのその後は悲惨だ。他社を「首」になった人材を他の外資が採用するはずもなく、日本の企業に勤めればお給料は半分、無駄な残業・会議は増える。そこでも留まれず、業界からスッと気配もなく消えていく者も多い。

 筆者も30年ぐらい「投資」「相場」に関わってきたが、変な話「お金」とは距離を置くのがベスト。若気の至りで闘ったこともあったが、今の心境は「勝つと思うな~思えば負け~よ~♪」(古い)。どこか「お金」を突き放した感覚がないと、長期間はやっていけない。

 「お金」とは不思議なもので、儲かるともっと欲しくなるものらしい。「億り人」のはずのFXトレーダーが「首」になったが、何億円も「借金」して港区の高層マンションを5つも買っていた。その後どうなったかは知らないが、 ”大変なこと” になったのは間違いない。何でそこまでするのか...。「お金」はあるに越したことはないが、お付き合いが難しい代物でもある

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