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本当に「インフレ」は収まったのか?

 8月米CPI +2.5% 予想 +2.9% 前月 +2.9%
 コア +3.2% 予想 +3.1% 前月 +3.2%

 米国経済本当に弱い?|損切丸 (note.com) で "9/18FOMCでの▼0.25%「利下げ」の本線は動くまい" と書いた「損切丸」だが、8月米CPI ↑ でコンファーム(Confirm、確認)された恰好。 "騒ぎ" 大好きのウォール街やヘッジファンド(HF)は「ひょっとして▼0.50%利下げも」と米国債市場で買い仕掛けしていたがこれで一旦収まりそう。当面FRBは▼0.25%ずつ「利下げ」していくGradualism(緩慢な行動)で進みそうだ

 ではこれでアメリカの「インフレ」は本当に収まったのか?

 例えば年金など "リアルマネー" の中長期運用に携わるグローバルな金利投資家の見方はどうか。現状アメリカのディープリセッション(深刻な景気後退)を見込む向きは少数派で金利低下を煽るHFなどの誘いには乗ってこないだろう。10~30年TIPS(物価連動債)のBEI ↓ も@2%を割り込んでおらず、名目金利の低下ほど「インフレ」警戒は緩んでいない

 この辺は 日本の「インフレ」はまだまだ続く ー 「お金」<「人」の時代へ|損切丸 (note.com) 同様、欧米でも「人手不足」解消にはかなりの時間を要するため、「お金」の値段 ≓「金利」が安過ぎる! ー 日銀の「ターミナルレート」は?|損切丸 (note.com) 感覚は強い。株価下落等で一時的に買われる事があっても、特に長期債は30年米国債の@4%割れ、あるいは@3%割れのフランスやスペインの10年国債等にあまり食指は動くまい

 FX(外国為替)や株式市場の反応は様々。特にHFがブンブン振り回してボラティリティーの高い*「ドル円」と「日経平均先物」は "鉄火場" の様相。余程自信のある方以外は今は触らない方が無難だ(かくいう筆者も苦手)。「ドル円」をテコにを±1,000円単位で振り回すなど、まさに まともじゃないⅡ ー 動けば何でも良いのか!?|損切丸 (note.com) まあその内 "大型恐竜" 同士の喰い合いで淘汰が進むだろう

 最近の「円高」はどうも「ドル円」よりも「ユーロ円」「ポンド円」等「クロス円」が主導しているように見受けられる。可能性としては「ドル円」急落で大損したHFやトレーダーが「ユーロドル」「ポンドドル」を買って一時避難していたが、それも耐えきれなくなって投げているイメージ。まだまだ「円キャリートレード」の「損切り」は終わっていないようだ

 一部大幅「利下げ」を期待していた米株式市場は軟調地合が続くが、「イールドスプレッド」(10年米国債と株式配当利回りの差)で見ると、金利低下との合わせ技でやっとS&Pが▼1%近くに "健全な調整" が進んでいる
 ↓ 標準偏差、e.g., S&P▼3%程度

 筆者が1つ「ブラックスワン」(黒い白鳥、突然表面化するマーケットの波乱要因)として注視しているのが原油価格あれだけ必死にOPEC+1で生産調整していたのに価格下落が止まらない、e.g., WTI(NY原油先物)の@70ドル割れ ↓ 。結局は不良債権問題で苦しむ中国の需要減退に行き着く

 仮に@60ドル割れまで行くようだと様々な問題が表面化するだろう。「インフレ」に苦しむ日米欧には朗報だが、産油国、特に2年半に及ぶ「戦争」を仕掛けている "彼の国" には甚大な影響が及ぶ。だから日本のテレビ局を通して「好景気」をアピールするなどプロパガンダに余念がないが、株式市場、e.g., MOEX指数 ↓ の急落等「お金」は嘘をつかない「好景気」ならこんな動きにはならないし、国債市場も6/15以降、市場でのクオーテーション(価格表示)が止まっており、海外からの資金調達はかなり困難

 筆者がこの点を「ブラックスワン」と評するのは「戦争」が終結か激化するか、両極端な結果を招く怖れがあるから。独裁体制の国家がどういう行動に出るか予測するのは極めて難しい。かつての日本の例で見れば追い込まれた国が暴挙に出る可能性は捨てきれない。我々個人で出来る事は限られているが、今後原油価格の動きは注視した方が良い

 世界的に見れば「お金」、特に主要通貨「ドル」が不足している国が圧倒的に多く「デフォルト」(債務不履行)予備軍がずらり並ぶ。そう言う観点からも「金利」は下がりにくい構図になっており、今後も注意が必要

 「戦争」を含め、全ての混乱は突き詰めれば「お金」の問題その価値を推し量る尺度になるのが「金利」でありとても重要。だが長期に渡って「ゼロ金利」に慣されてきた日本人は「金利」感応度が下がっている。だから原油価格などと合わせしっかり見ていく必要がある。「本物の危機」の時、金利は上昇する。|損切丸 (note.com) 肝に銘じておきたい


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