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続・さあ、"本番" はこれからだ。 ー  "QE"(量的緩和)→ テーパリング → "QT"(量的引締)で「お金」はどう動くのか。

 さあ、"本番" はこれからだ。 ー 本丸 "QT"(Quantitative Tightening、量的引締)が来る!|損切丸|note の続編として。

 マーケット、特にアメリカを中心とする株式市場の雲行きがにわかに怪しくなってきた。前稿 続・「人民元」がおかしい。 ー  ”クラッシュ” の足音。「元安・株安・国債安」は起きるか。|損切丸|note で ”クラッシュの臭い” に言及した ”責任” もあるので(苦笑)、この2年間の「キャッシュフロー」の推移=「お金」がどう動いたか、を検証してみよう。

 まず「コロナ対応」という位置づけで2020年3月以降FRBを中心に行われたのが「量的緩和」= "QE" +「信用緩和」。具体的には米国債を800億ドル、モーゲージ証券(MBS)を400億ドル、毎月合計1,200億ドル≓14兆円もの「お金」がマーケットに注ぎ込まれ、「過剰流動性」により「金利低下」と「株高」が共存する ”投資のエルドラド(桃源郷)” が築かれた ↓ 。

 この時期は債券、株、商品、どれを買っても上がったので、はっきり言って素人でも儲かる ”バカチョン相場” 。とにかく積極的にリスクを取った人が勝ち。この状況はパウエルFRB議長により ”意図的” に放置され(おそらく政府からの要請)、その後「インフレ」の発火点になった。

 この ”エルドラド(桃源郷)” が暗転したのがやはり「インフレ」。急激な物価上昇で米国民の不満が爆発し、さすがにFRBも動かざるを得なくなった(これもおそらく政府からの要請)。遅まきながら2021.11月、毎月米国債▼100億ドル+MBS▼50億ドル=計▼2兆円の ”テーパリング” を始めた。

 2022.4月時点ではほぼ「お金」の供給が止まり、金利が上昇株式市場は変調をきたし、上昇率の高かったハイテク株を中心に「利益確定」が先行。「インフレ」に強いグロース株や商品市場へのシフト ↓ も見られた。

 そして3月FOMC議事録”米国債▼600億ドル、MBS▼350億ドル” ものQT開始が伝わると金利上昇が加速2021.11前と比べれば、差引▼26兆円/月もの「お金」がマーケットから吸上げられることになり、投資家は一斉にリスク資産を削減、現状に至っている  。

 「侵略戦争」も最悪のタイミングで起きたが、なくても相場の大筋は変わらなかったはず。むしろ "怪我の功名" で、投資家の背中を押して傷が浅くて済んだ事になりそう。そもそも「戦争」が起きたのも「インフレ」(含.エネルギー価格の上昇)がきっかけであり、歴史の必然とも言える。

 あとは「インフレ」がどの時点で収まるか

 「金利」と株価、景気の状況との綱引きになる。筆者の個人的見解はアメリカの「中立金利」と目される@4.0~4.5%が目処 ↓ 

 昨日(4/25)の米株価下落でFRBの政策金利到達点は@3.5%まで押し戻された ↓ 原油やガス価格の再騰を見ると「インフレ」を抑え込むには不十分株価調整にもかかわらず、金利は再度上昇する可能性が高い

 今後の「インフレ」の鍵は「商品市場」の動向になるが、先行指標として買われてきた「金」(Gold)は、金利上昇の影響もあって@2,000ドルで頭打ちが見られる ↓ 。

 ここ数年大暴れしたビットコイン(BTC)も@60,000ドルを頭に上値が重い。こちらは投資額が増えたことによって「インフレ資産」というよりも、米株価、特にナスダック指数との連関が強まっている配当も金利も付かないことを勘案すると、金利上昇時にはあまり魅力的とは言えない

 問題は原油ガスなどの「エネルギー価格」原油なら@80ドル割れ、天然ガスで@4ドル程度に落ち着かなければQTも「利上げ」も十分とはいえない。今回のように株価下落で一時的な金利低下はあっても、ここを抑え込むまで「金融引締」は終わらないだろう。

 「お金持ち」視点で考えれば、アメリカの短期金利が@3.5~4.5%になるまでは様子見で、その時点でNYダウが@30,000ドルを割っていても何の不思議もない。株でも何でも「固定4%」を上回る成績を上げるのは難しい。基本「利上げ」に合わせて預金なり短期債に運用を振向けることになる。

 その後「インフレ」が沈静化「利下げ」見通しがはっきりして ”本物の逆イールド” が現れれば、そこで改めて投資配分を考え直す金利投資家はより長期債を選好するし、「イールドスプレッド」に着目すれば株式市場に再参戦するだろう。大分長い道のりになりそうだが、そこは "AI時代"筆者が現役の頃2~3年かかった展開が3~6ヶ月で実現するのが今のマーケット。 ”タイムスケール” を短くして注視していきたい。

 「損切丸」が再三再四 「どうせ戻るでしょ」 相場の終焉Ⅲ。 ー 日本人が考えるべき「時間価値」。|損切丸|note と主張してきた根拠がこの「キャッシュフロー」の反転月▼26兆円、年間で▼300兆円を超える「お金」の "逆噴射" は並大抵ではない

 「お金」はまず「弱いところ」から逃げ始め、次は「ヤバイところ」。最近ならスリランカパキスタン、そして中国に火の手が上がっている。日本も「弱い方」と見做されれば他人事ではないCPIなどの経済統計や金融政策の「正常化」を急がなければ嫌われるだろう。何しろ「お金」はこれから一方的に足りなくなるわけで、奪い合い激化は必至なのだから。

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