見出し画像

「インフレ」が引き起こした「淘汰」≓「新陳代謝」

 ”2024年1-5月「人手不足」関連倒産 118件 「従業員退職」「求人難」の急増で初の100件超(東京商工リサーチ)”

 相変わらずセンセーショナルな見出しの記事。まるで「金利が上がると大変!」と言わんばかり。ただ、金利が@3~4%ならいざ知らず@1%にも満たない金利で大騒ぎするのは頂けない。CPIが+2%を優に超えている現状では実質「マイナス金利」で、(それでも)まだもの凄い「金融緩和」- やっと日銀が "動いた" 。大事なのは「数値」「データ」|損切丸 (note.com) 「金利」の常識で言えば、これでは「インフレ」も「円安」も止まらない

 「あれは中南米の人かなぁ...」

 筆者の自宅近くでは相変わらず不動産の売買が活発で、更地になったと思ったらあっという間に家が建つ。古家の解体現場を見たら働いているのは何と3人とも外国人。話している言葉から察するにどうやら中南米から "出稼ぎ" に来ているようだ。賃金が安い日本には中国はおろかアジアからも働きには来なくなっている。わざわざ海外に出向くならまずは賃金の高いアメリカやイギリスに行くのがファーストチョイスだろう

 業種で「人手不足」が目立つのは「建設」「運輸」「サービス業」(  標題添付)。2024年度から始まった「働き方改革」の影響もあろうが、もともと小規模・零細が多いとされてきた業種だ。これだけ「インフレ」になると「値上げ」できない個人事業主や家族経営の会社はやっていけない

 一方で新設法人数は15万社を超え消滅事業者の2倍以上というデータもある。ニュースとしては「可哀想...」を強調した方がヒット率が稼げるのだろうが、それでは "FACT" (事実)を見誤る。” Crash & Build” (破壊と創造)のアメリカ流が万能ではないが、日本全体に蔓延する「低金利モラルハザード」よりはマシ。「お金」がタダで調達できると信じている方がどうかしている。これは「人」を雇う事にも共通する

 「インフレ」でやっと「淘汰」≓「新陳代謝」が始まった

  ”複利” の概念で考えると2%以下の「金利」はタダみたいなもの5%を超えて初めて「金融引締」の負荷が増す。今のアメリカがそう

 円金利が@2~3%になれば日本人も目が覚めるだろう。事業主なら「金利」を下回る利益では採算が取れなくなるし、「投資」ならそこが "出発点" になる。当然 ”中味” に対する吟味が厳しくなり行動基準が是正される、即ち「付加価値」を真剣に考えるようになる。結果「生産性」あるいは「投資利回り」が改善されていく

 人間は自分に甘い生き物なので条件を緩めるとトコトン緩んでしまう「失われた30年」はまさにそう言う状態が続いた訳で、これは国を束ねる側にとっては理想的でもある。文句ばかり言っている国民は結局国頼みなのだからまさにやりたい放題。その結果が1,300兆円ものJGB(日本国債)。MMT一派はそれでも大丈夫と言い張るが、政府や財務省はこんな「借金」1円も返してくれない「徴税権」があるのだから請求書は国民に回してくる

 結局長年に渡って "箱物" や公共事業で ”お友達” にばらまかれただけで、それ以外の国民が全部「借金」を負わされる事態に陥っている。こうなったのはろくに選挙で投票しなかった日本国民の自業自得。ただ生活が苦しいからと「消費税」等々減税するのは「インフレ」対策としては御法度「借金」の返済を遅らせればコストが嵩むだけ

 これは「金利」も同様「景気が悪いのに利上げなど持ってのほか!」という言説をよく目にするが、これこそ "FACT" を見誤っている今の生活苦の元凶は「円安」「インフレ」物価や賃金が継続して下落した「デフレ」からは既に大きく転換している。だからいまだに「デフレ脱却」とか言っている政府の主張には違和感しかない(ただの政治宣伝だろう)

 内臓疾患が悪化して高熱が出始めたのに「鎮痛剤」≓「利下げ」「減税」だけ打っていても病気は良くならない。ここは「手術」=「淘汰」≓「新陳代謝」しかない。副作用があっても腫瘍を小さくするための「投薬」=「利上げ」は必要で、それが「完治」=経済正常化への正しい道筋になる

 今週は12日の米CPI13,14日に日銀政策決定会合を控え相場の大荒れは必至。加えて勇み足気味に「利下げ」に踏み切ったヨーロッパ≓「ユーロ」も政治情勢等何だか様子がおかしいドル円WTIBTC(ビットコイン)等も既にブンブン上下に振れている。こう言う相場が好きなデイトレーダーは良いが、腰を据えた投資家にとっては判断が難しい

 日銀も薬抜き=テーパリング(元は医学用語)=「国債買入」減額が本流のように報じられているが、果たして前倒しで「投薬」=「利上げ」が出来るか。600兆円もの保有国債の平均利回りが@0.20%そこそこで ”逆鞘” になる懸念もあるが、ここで診断を誤ると「完治」=経済正常化は益々遠のく。低過ぎる「金利」はそれ自体が「円安」「インフレ」という "腫瘍" を悪化させている。もう「副作用」を心配している時間的余裕はない


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?