日本の「インフレ」と「金利」。ー 2つのシナリオ。
先週末のやや強めの米雇用統計を受けて金利急落から反騰した米国債。2023年に入ってからドル金利は「利下げ」期待(都合?)からの急低下と「インフレ」確認による急反騰を繰り返しており、相場のボラティリティー(変動率)が高まっている。まあ動けば何でも良いウォール街にとっては好都合とも言えるが、何とも心許ない相場付きではある。
これに振り回されているのは日本も例外ではなく、特に昨年末の「YCC上限金利引上げ」以降荒れ模様。植田新総裁がそれほどタカ派では無いことが確認され生保も銀行も一息ついているが、これからも波乱続きだろう。
今「損切丸」が考えている日本の「インフレ」と「金利」に関するシナリオは2つ ↓
1年半の猶予。ー 対称的に「利上げ」を続ける「借金大国」アメリカ。|損切丸 (note.com)
日経平均、ドル円などは現在 ↑ このシナリオで動いている。「財政健全化至上主義」を標榜し、ひたすら国債利払い費を抑えるための「超低金利政策」に固執する財務省寄りの政策が続けばこうなる。
問題は日本人がどこまでこれに耐えられるか。
前稿 嘘はいかん、嘘は。ー またも日本の十八番 ”先送り戦略” 。|損切丸 (note.com) でも書いたが、8月からの「電気料金引き上げ」は強烈。今後「エネルギー補助金」は続々打ち切られるため、家計の電気代負担が月5~6万円なんてことが常態化するだろう。これこそまさに「インフレ税」。
株や不動産を持つ「お金持ち」はまだいい。「お給料」は「インフレ」の後追いで上がっていくが、余裕のない一般家計がどこまで持ち堪えるか。「インフレ税」負担が重すぎれば、結局共倒れになる。「インフレ」が続く以上、状況を改善する方策はなく日本は「アルゼンチン」型のスタグフレーションに陥ることになる。
政府に対する不満が高まって支持率が落ちたりすると浮上するのが ↓
筆者が20年以上見てきた日銀は自主的に金融政策を変更するのは稀。ほとんどの「利上げ」「利下げ」ケースで露骨な政治の介入を受ける。
その大元が ↓
「XXバズーカ」など 「円、どんどん売ります!」の免罪符。ー 世界的な「真性インフレ」下、「金融緩和」しているのはトルコと日本だけ。|損切丸 (note.com) で急激な「円安」が進行したのが典型例で、政治が主導すれば金融政策は "後追い" にならざるを得ない。これは欧米も然りであり、*現在のFRB、ECBの「利上げ」も "後追い" 故に失敗している。
日本の「インフレ」転換は間違いないので、あとはタイミングの問題。だが、JGB(日本国債)や株、FX、不動産などを売買する投資家にとってはそれこそが大問題。海外のファンドなども含め今後も右往左往する事になる。
最終的に決めるのは「政治 ≓ 国民の意志」というのがこの国の形。ひとつベンチマークになるのが1,100兆円余もある「預金残高」の推移だ。海外も含め、他の資産に「お金」が移る過程で減少していくはずだが、筆者同様、おそらく日銀もその推移をじっと見守っている。最終的には銀行の投資行動を通じてJGBなどの「金利」がサインを発することになる。
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