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ちょっとしたマーケットの変化@2021.2.20 ー 加速する「金利上昇列車」の中で。

 これは金利市場の1つの特性なのだが一旦走り出すと速い2020年まで「ほとんど死んでいた市場」だったが、ここに来て急加速株式市場にも遂に影響し始めた。今回はそんな中でもその ”中味” について気が付いた事。

 1.TIPS(米物価連動債)が売り基調に転換。BEIも拡大基調が停止

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 30年TIPS利回りが遂にプラス金利に転換(価格は下落)。それだけ普通国債の「名目金利」の上昇が速い証拠でもある。「リフレ・トレード」TIPS単体を買っていた向きは随分利益が出たはずなのでこの辺りは一旦利食いどころ。BEIトレード=普通国債売+TIPS買も同様に外しどころなので、予想インフレ率(=BEI)も上げ止まっている

 2.徐々に消えていく「マイナス金利国債」

 日銀が「お金不足」のJGBは遂に10年が1つの目処である@0.10%=日銀の付利金利(→基礎残高210兆円)に到達。9年以内の「マイナス金利国債」も続々プラス金利に転換している。e.g. 8年@+0.02%7年@▼0.01%

 欧州国債も金利上昇に拍車がかかってきた。代表銘柄の1つ、フランス10年国債も@▼0.06%まで金利が上昇「マイナス金利」は風前の灯火「実質金利」もアメリカ、イギリス等ゼロに接近する銘柄が増え、*「マイナス金利国債」の方が少数派になってきている。

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 「マイナス金利債券」は2019年末には約17兆ドル(約1,800兆円)まで残高が増え、債券全体の約4分の1を占める規模に達したが急激にシェアが低下している。「死んでいた」時間が長かっただけに "エネルギー" は大分蓄積されているはずだ。

 3.意図せざる?「イギリス褒め殺し」

 「金利上昇列車」の中でも加速が激しいのがイギリスだ。 10年国債が@0.70%に達しアメリカを急追。e.g. Common Wealth =旧英国連邦のオーストラリア10年国債金利も@1.43%に急騰。

 10年国債の「実質金利」で見れば、イギリスは@▼0.16%と既にアメリカ@▼0.17%を追い抜いた。「ワクチン接種が進んでいるから」という解説になっているが、その割にFT指数など株価の頭は重い

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 為替レートもポンド/ドルが2018年以来の@1.4000に到達

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 皮肉にもこの「ポンド高」と「金利高」がFT指数の上値を押さえつける格好となっており、まさに「褒め殺し」 " Crazy Sterling " の異名を取る英ポンドだけに、為替も金利もここから一暴れありそうな予感もある。

 それにしてもドル金利は随分上がった。改めて米国債のイールドカーブを見るとスティープニング(傾斜化)が激しい

 ①5y-5y(5年先5年金利)が@2.10%と、一昨年2019年11月に政策金利がまだ@1.50%もあった時と同じ水準まで上昇

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 ②8~10年の先々金利(7y / 3y 概算値)が@2.90%と@3%に接近

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 キャリー取引狙いの債券トレーダーは虎視眈々と買い場を探っており、ここで上手く買いから入れればかなりおいしい。このあたりで一旦反発(金利は低下)してもおかしくない。

 金利低下は株式市場の反発材料となるのが確実で、株トレーダーもこの数年ではかつてないほど金利市場をガン見しているはず。そうすると:

 金利が下がると株が上がる → 株が上がるとまた金利が上がる → 金利が上がるとまた株価は下落 → また金利が低下...

 2021年はこの ”化学反応” の繰り返しになるだろう。精神的にはちょっとしんどいかもしれないが、久々に ”歯ごたえのある相場” になりそうだ。

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