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「タワマン」と「日経平均」の共通点 - ”ヒット率” 重視のメデイアの特性

 「東京オリンピックにが終わったらタワマン価格は暴落する」

 「損切丸」を継続的に読んで頂いている読者はご存知と思うが、一時期持て囃されたこの言説に筆者は一貫して反論してきた。もしその指摘が正しければ、その時点で「将来価値」は値崩れを起こしていたはず。値が上がる中でこういう事を言うのは相場を馬鹿にしている。「損」するのを判っていて買う人はいない。相場を手掛けた人なら 日本が「リセッション」入り? - 「相場」が売買するのは「将来」|損切丸 (note.com) は半ば常識

 ”押し目待ちに押し目無し”

 これは有名な ”相場格言”「買いたい人が多い時相場は下がらない」の意味。ではなぜ「暴落説」がいつも蔓延るのか。そこには ”ヒット率” 重視のメデイアの特性が大きく絡んでくる

 多数の意見・気持ちの反映 → ”ヒット率” 上昇

 SNSもテレビも週刊誌も広告収入で成り立っている。だからとうしても閲覧数 ≓ ”ヒット率” ”視聴率” ”インプレ数” 重視にならざるを得ない。素人主体のSNSはともかく、 "FACT" (事実)を伝えるべきジャーナリズムはそれでは困る。単に ”ヒット率” ≓広告料を稼ぐだけの目的なら悪質な「迷惑系」となんら変わらない

 一時は「タワマン暴落芸人」なるライターが重用されていた。上手いな、と思うのは多数の意見・気持ち≓「押し目待ち」を惹き付けていた事「願望」と言い換えた方がいいかもしれないが、とにかく閲覧数が増えた=人気が出た。だが "FACT" はその後も「タワマン」価格上昇当然「暴落説」は雲散霧消「芸人」も消えた

 このパターンは「東京オリンピック」を「史上最高値」と置き換えると「日経平均」にも当てはまる

 「実感がなく株高の恩恵を感じられない」「実態経済と乖離している」「いずれ暴落する」

 こういう報道が目立つが「タワマン」と酷似している。実際は「高い!」と騒がれていた中、意を決して "買った" 人達が "勝った" 。「リスク」の代償として当然の「リターン」を受け取っただけで、決して "恩恵" がなかった訳ではない。ただ成功者はSNSに書き込んだりはしない

 "まだはもう、もうはまだなり" 

 これも有名な相場格言だが ”もう上がらない” は ”まだ上がる” と言うこと。なぜなら圧倒的に多い「買いたい人」が文句を言っているだけだから。元・プロの立場で言うと、100%終わった事しか報じない新聞やテレビの経済ニュースは相場の役に立たない。唯一利用法があるとすれば ”反射”世に溢れる記事から「願望」「世相」を読んで「逆張り」する

 *エコノミストや識者、コメンテーターの類いはこの「世相」に敏感な人が多く、それを察して「本音」とは別に意見表明する著名アナリストがよく ”逆神” (言った方向と相場が逆に動く)と評されるのはそのため

 そういえば最近外資系のB社やR社の「中国上げ」記事が嫌に目に付く。曰く「中国株は底を打った」「資金が中国に流れてきている」??? 金融当局への忖度かビジネス上の都合かはわからないが、これも大勢の「願望」を現していると言えよう。つまりは ”逆神” 。大体「売り禁止」の代物を買う人がいるだろうか。はなはだ怪しい

 この辺りを 「行って欲しくない方に動く」相場の原理@2024 ー 一体誰が困るのか?|損切丸 (note.com) と書いている訳で、どうしても "天邪鬼" になってしまう。5~10%の割合で「嘘から真」みたいな大相場に飲み込まれることもあるが、大抵 ”逆神” は ”逆神” のまま。へそ曲がりが勝つケースがほとんどだ。「世相」に敏感な著名アナリスト達が「願望」を逆撫でするような「投資」記事や本を書くはずがない

 そうなると最後にモノを言うのは「データ」。筆者が「2016年以降日本はインフレに転換」としているのはパート・アルバイトの平均受給が大きく変化したから ↓ これは「団塊」▼8百万人の引退で労働需給が逆転、「人手不足」への転換を示唆している

 物価の「波」は「デフレ」が20年続いたように長期に渡る。まあAI時代で相場の回転が速くなっているから20年が15年に短縮しているかもしれないが、それでもあと数年「インフレ」の「波」は続くと予想している。「人手不足」が容易に解消しない事は やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” Ⅱ。|損切丸 (note.com) が証明

 ただ「世相の逆読み」については注意も必要。例えばあれだけ騒いでいた「円安」だが最近は大人しい。筆者の解釈ではそれだけ「円売り」ポジション ≓ 外貨投資が増えて「円安」を喜ぶ人が増えたから「円高」「円安」の「願望」が拮抗すればメディアの記事の量も拮抗する

 「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく

 「オルカン」やS&Pの「新NISA」流行りを見ていると「円安」に関しては「楽観」の状態と見ておりまだ勢いを失っていないが「陶酔」の域に入ると危ない。「バブルの崩壊」というものは大抵静かに始まる「シ~ン」とみんなが黙った時が危険サインでもある

 その観点で言うと「日経平均」は「悲観」から「懐疑」に向かう過程で、まだまだ皆「買えていない」「高過ぎる」というメディア記事はその事を暗に告げており、その変化を見極めれば ”需給” は読めそう。何しろ1,000兆円もの「預金」という巨額な予備軍が日本には存在する。「十分買えている」状態に達するには、技術革新等で「人手不足」を解消するのと同様、数年単位の時間を要するだろう

 とりあえず2021年2月に付けた「ドル建日経平均」@281ドル≓42,000円を目指しそうだが、それも通過点になる可能性が高い。米国株を見ても判るように+3%の「インフレ」が定着すれば名目株価は年間+1,000円ぐらい上がる。それで「投資」はやっとトントンだ。何もせずに銀行に「預金」しておけば「物価-金利」の分黙っていても目減りする。よく勉強しているZ世代を中心にそういう「投資の常識」に日本人もやっと目覚めつつある「損切丸」を初めて4年余り、この「変化」は喜ばしい限りでもある

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