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続・「キンリが来る」。ー 米2年国債は@5%、10年は節目の@4%を突破。

 「キンリが来る」。ー ”2度ある事は3度ある” 「金利@3%運動」再び失敗。|損切丸 (note.com) の続編。

 前稿.金利@4~5%の国へ逆戻りする米国。ー かつての「高金利通貨」ポンド復活?|損切丸 (note.com) で金利の水準訂正について書いた途端、米2年国債は@5%、10年は節目の@4%を突破。まあタイミングがいいというか何というか...。20年以上真剣に見ていたので "臭い" はしていた。

 ダメ押しのようにADPの民間雇用者数が予想を超えたので、明日(7/6)発表の雇用統計にも警戒感が高まった。ISM非製造業総合業況指数も強め ↓

 6月ADP米民間雇用者数 +49.7万人 予想 +22.5万人 前月 +26.7万人 ← +27.8万人
 6月米ISM非製造業総合業況指数 53.9 予想 51.2 前月 50.3

 金利がこういう "節目" を突破すると金利のデリバティブであるスワプションでトリガーが発動されるので動きを加速し易い。モーゲージのヘッジのための金利スワップの払い( fixed rate Pay、金利上昇方向の取引)も同様の動きを誘発する。

 これで向こう1年間の「利下げ」は完全に消滅。むしろターミナルレートが@6%に向かう動きを警戒することになる。ちなみにイギリスは@6.5%を織り込んでおり@7%は目の前である。


 「やっと利上げが終わると思ったのに...」

 グローバル投資家の苦悩。ー 2022~2023年の成績表。|損切丸 (note.com) の偽らざる心情だろう。2022年以降何度も何度も繰り返されてきたパターンではあるが、金利上昇の度に「お金」は市場から吸上げられ、株価にはマイナスに作用する。

 頼みのNYダウやナスダックでは直近2年間全く儲からず「インフレ」ヘッジにもなっていない。もう1つの主要市場、米国債もボロボロビットコインなど暗号資産WTI(NY原油先物)などのコモディティ(商品市場)は所詮ニッチ(隙間市場)。「お金持ち」の "食欲" を満たすことはできない。

 興味深いのはドル金利が急上昇する中で売られたドル円介入警戒感や内田副総裁の ”YCC修正” 発言を材料視するメディアもあるが、まあ ”為にする理屈” だろう。当のJGBはほどんど動いていない。

 この動きはもっと本質的な要素を含んでいる可能性がある。

 1つは「ドルの信用」の問題2023年は年初から対ユーロ、ポンドなどを中心に「ドル安」転換が進んでいたが、それが「円」にも波及する可能性。もう1つは 金利@4~5%の国へ逆戻りする米国。ー かつての「高金利通貨」ポンド復活?|損切丸 (note.com) が進む中で、近い将来円金利にも "水準訂正" が起きる事を先読みする動き。いずれも「過剰流動性」からの脱却の動きだ。そうなると "頼みの日経平均" にも微妙に影響を及ぼす。

 気味の悪い動きを示しているのが「ルーブル」と「人民元」

 ルーブルに関しては 「ルーブル」の ”リアル” Ⅳ。ー こんなに高くなった「ルーブル」を引き受けているのは誰?|損切丸 (note.com) であれ程強烈に「ルーブル売り」を禁止しているのにこの動きになるのは異様。よく「円安」と比較して「日本の方が酷い!」としたり顔の人達がいるが、まああれも一種のプロパガンダ。そもそもの条件が違い過ぎる。

 @10%台前半だった10年国債金利も@11.25%まで急騰政策金利@7.5%との乖離が酷くなっている。「ルーブル安」と考え合わせると「お金」が無くなってきているのは明白だ。

 その「ルーブル売り」の一部を引き受けてきた「人民元」も状況は厳しい。再三為替市場に介入して止めようとしているようだが、こちらも「お金」≓「ドル」が足りない

 もう一つ「ルーブル売り」の一部を引き受けてきたインド・ルピーだが、こちらは強かな対応。市場で「ルピー売り」を禁止する事で ”道連れ” を回避している。受け取った方は「ルピー」だけが堆く積まれるだけで使い道がない。所詮インドから買えるものなどたかが知れている。

 「本物の危機」の時、金利は上昇する。|損切丸 (note.com)
 
続・「本物の危機」の時、金利は上昇する。ー 「逃げ惑うお金」の帰結は?|損切丸 (note.com)

 相場は違うステージに移行するリスクが出てきた。「金利」が上昇する時は危うい。この事を肝に銘じつつ、少しガードを上げてマーケットに対峙していく方が賢明だろう。特に危ないのが「円金利」「国債無制限買取オペ」などと市場を制御している気になっていると手痛いしっぺ返しを喰う。それは最近の「ルーブル」を見れば明らか。

 「円、どんどん売ります!」の免罪符。ー 世界的な「真性インフレ」下、「金融緩和」しているのはトルコと日本だけ。|損切丸 (note.com) で喰らったしっぺ返しがその後起った▼10円強の「円売り」。それを「YCC廃止」「利上げ」で粛々と修正するならまだ「円安」分を取り戻せるかも知れないが「金利」が暴力的に上がれば別。何がきっかけになるか判らないが、警戒感を持って注視していく必要がある。そういう局面に差し掛かった。

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