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これだから相場は怖い。 ー  ”嘘から出た誠” ”Never Say Never" 。

 「米ファイザーのコロナワクチン、9割超に効果 近く緊急使用申請」

 ロンドン市場の後場、日本時間の午後9時過ぎにこのビッグニュースが飛び込んできた。それまで@103円台半ばだったドル円は@105円台に、東京~ロンドン時間では+300~400ドルだったNYダウ先物が+1,500ドル近く急騰し@30,000ドル目前にこれだから相場は怖い

 「日経平均が29年ぶりの高値更新」

 景気回復に実感のない日本人としては、米・新大統領の「ご祝儀相場」込みとは言え、@11/9日経平均+500円超の上昇を眉をひそめて見る向きも多かっただろう。だが相場にはこういうことがままある。いわば ”嘘から出た誠”。短期の仕掛けだろうとたかをくくっていたら大相場に化けたりする。確かにこのニュースは「コロナ相場」全てをひっくり返す破壊力を秘める。

 若かりし頃は頑固で決めつけの激しかった「損切丸」だが、よくロンドンのベテラントレーダーに諫められた: ”Never Say Never" 。日本語に訳せば「 ”絶対” とは ”絶対” 言うな!」だろうか。イギリスの相場格言の1つらしいが、要は相場では何でも起きうると言うこと。売り買いに一定のこだわりは必要だが、決めつけすぎるのは危険だ。筆者も随分と痛い目に遭って、30代後半にはこの言葉を噛みしめるようになった。

 だが今回の相場変動を見てふと ”懐かしさ” がこみ上げた。んっ? これはどこかで見たような ... デジャブ? そう、これは「損切丸」が現役中に見た相場のパターンだ。「金利」の動きがそれを象徴している。

 「金利市場」為替の影に隠れて表に出にくいが、実は「お金」の動きを知る上で非常に重要なマーケットだ。今回も株やドル円、金(Gold)等との相関で興味深い動きを見せており、「死んだふり」「機能停止」の「金利市場」は過去の話になりつつある。

 米国債市場を見るとこのニュースを受けて金利が急騰し、10年は@0.96%まで+14BP程上昇。イールドカーブの形状はスティープニングしているものの、先々金利の 5yr - 5yr (5年先の5年金利)@1.47%に達し、@3/18金利急騰時の@1.59%と遜色なくなっている。完全にレンジを抜けてきた

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 面白いのはこの金利の急上昇を受けてNYダウが下げに転じたこと。上げ幅は一時の+1,500ドルから+1,000ドルまで戻している。そしてドル高、米株高を受けて金は▼4.6%、ビットコインは▼3%程急落(11/9NY時間)。

 「過剰流動性」相場は終焉に向かっている。

 今回の動きを見て筆者はますます確信を深めている。本来出回る「お金」は「有限」なので、どこかの市場が上がればどこか他の市場は売られるはずだ。これまでは「お金」が圧倒的に余っていたため市場間の資金移動が見えにくかったが、やっと市場本来の動きに戻りそうだ「金利市場」のボラティリティー復活がその狼煙である。

 当然だが、この動きは他国の国債市場にも波及する。欧州でも米国債に連れて軒並み金利が上昇。ドイツ、フランスなど主要国の10年金利が+11BP程度上昇している。

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 当然この動きはアジアにも波及するのは必至であり、明日(11/10)のJGB(日本国債)の金利動向が注目される。もっとも「量的緩和」の限界が見えて「出口」を模索する日銀にとっては突然舞い降りた「僥倖」かもしれない「信用膨張」の著しい中国の金利動向も要チェックだ。

  「あと1か月早ければ」

 トランプ大統領の恨み言が聞こえてきそうだが、「バイデン新・大統領」発表直後のこのニュース、あまりにタイミングが良すぎるセルフ・パラドックス(Self-Paradox、自己矛盾)にも聞こえてしまうが、まあ米国市場では度々見られる ”よくある偶然” だ。まさかこの数日の ”不自然な株価上昇” はこれを知った上での仕込みでもあるまいが...。まさに ”Never Say Never" 。おっと、もう午前1時(11/10 東京時間)。明日に備えて ”一旦” 寝ることにしよう、切りが無いので(笑)。

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