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常に「逆の目」はあるⅡ。ー 「円安」の ”良い点” とは?

 常に「逆の目」はある。ー @126円超えの「円安」が起こす "変化" 。|損切丸|note の続編。

 日銀の「毎営業日・指し値オペ」の発表を受け、一気に@131円まで突っ走ったドル円。メディアでは「悪い円安」ばかり喧しいので、ここは天邪鬼の「損切丸」らしく(苦笑)「良い円安」について考察してみたい。

 1.「金利差」を用いた運用が手掛けやすい

 これは個人でFXをやっている人は理解しているが、例えば "ドル円ロング" =ドル買い円売りポジションを持つと日々の値洗いでT/N(Tomorrow Next、翌日~翌々日の1営業日)の為替直先を適用される。金利に直すと「ドル金利受取・円金利払い」になるので*ドルー円の金利差が大きい程収入が増える=為替レートが有利になる

 例えばT/N=@▼0.002とすると、@130.85円で買ったドル円は日々▼0.002ずつ値洗いされ、1ヶ月後には持ち値が@130.79に "改善" する。その分「円高」抵抗力が増し「円安」になればダブルで儲かるという訳。

 これはドル債、米国株投資でもそうだが、最大のリスクは「円高」による為替損失日銀総裁が「円安」の ”お墨付き” を与えてくれているので、心理的に大分手掛けやすくなる。ドルに限らず3%を超えてきた豪ドルやいわゆる「高金利通貨」も検討しやすくなるだろう。

 ちなみに ”一番儲かっている” のは財務省・為替市場課が担当している「外貨準備」。シンプルに言うとFXで "ドル円ロング" 100兆円キャリーしている "巨大ファンド" であり、記憶では平均持ち値@110円近辺@135円で「利確」すれば+2,500億円もの巨額利益が得られる。

 2.「安い日本」の利用

 とかく「円安」というと「輸出企業」に焦点が当たるが、「円高不況」以来アメリカや中国の現地生産に切り替えてきたため、現状それ程メリットはない。ただ、これだけ「日本」が安くなると国内生産からの輸出も検討可能。ここでも最大のリスクは「円高」反転なので、個人の外貨投資同様、日銀総裁の ”お墨付き” は効力を発揮する。「経済安全保障」と相まって工場が日本に戻れば「雇用」が増え「お給料」が上がる事になる

 「円安」では日本人の海外旅行が厳しくなる反面、「日本旅行」は魅力的になる。現状1日@10,000人の入国制限を海外並みに緩和すれば、旅行客が日本にどっと押し寄せるのは確実”With Corona" に世界が舵を切る流れに乗れば「インバウンド」復活も十分に有り得る。5~10円程度「円高」方向に押し戻す力にはなるだろう。

 海外からの「日本投資」「インバウンド」と同じ理屈が働く。例えば「東京」の不動産価格は他の国際都市、e.g. NY、ロンドン、上海、シンガポール、etc.、に比べ著しく「安値」に放置されている。東京23区の新築マンションの発売平均価格が@8,000万円を超え「ひぇ~」と嘆きたい気持ちは分るが、NYやロンドンの方が遙かに高い。「東京」の国際的価値を考えると、まだ上があると個人的には考えている。

 「円安」部分を除く純粋な株価を見ると、年初来で英FT(+1.7%!)、NYダウ(▼6.7%)に次いで日経平均(▼6.8%)は結構健闘しており、不動産同様着目している海外投資家も多い中国(e.g. CSI300▼20.6%)の代替としての価値も向上しているはずだ。

 日銀・財務省を含め、政府がここまで戦略策定できているのなら「円安」も悪くない。筆者の希望も込めてそうあって欲しいが、どうも表向き伝わってくるのが「昭和戦略」の継承「円安」=「株高」=「景気回復」の ”幻” である。**何もしなければ、「貧しくなる日本」が継続してしまう

 **貿易収支の赤字がこのまま続けば「円」はじわじわ海外流出していくので、「インバウンド」や「工場の日本誘致」など抜本的対策を取らないと「貧しくなる日本」は止まらない。経済戦略の再構築が重要になる。

 それでもJGB(日本国債)が買われて金利が低下しているうちはまだ大丈夫一番怖いのは1,000兆円もの「巨額預金」が動き出して、国内の「お金」が足りなくなる時。そうなれば日銀がいくら「無制限・指し値オペ」を続けても、買う国債の「お金」を円短期資金市場から再調達しなければいけなくなり、結局金利は上昇する

 逆説的になるが、日本の「お金」不足で円金利が急騰すれば、その時は運用資産を円に戻せば良い+1%+3%かわからないが、それでようやく「インフレ税」の一部が国民に還元されることになる。大袈裟に言えば、これは「霞ヶ関」 vs「 国民」の「お金」をかけた闘い国が動かないなら、「預金引出し」や「外貨投資」で "自己防衛" するしかない

 若い頃から「投資」をみっちり鍛えられている欧米では当たり前の行動だが、日本はこれからだ。買い向かう「日本人」の「円安デモクラシー」。 ー ”Trend is NOT Friend !” |損切丸|note で 「Z世代」が鍵を握る → 「日本社会変革」 ≓ 「金利上昇」。|損切丸|note だろう。

 反省を込めて言えば、筆者も含めとかく日本人は「最悪」を考えがちパンデミックも「侵略戦争」もネガティブなニュースが溢れているが、こういう時こそ「逆張り的発想」が大事。特に相場やマーケットはそう

 ”強気相場は「悲観」の中に生まれ「懐疑」の中で育ち「楽観」と共に成熟し「幸福」のうちに消えて行く”

 この格言の ”強気” を ”弱気” に変えれば逆もまた真なりチャンスとピンチはいつも背中合わせいつでも「逆の目」 = ”抜け道” はある。あとはそれを見つけるだけだ。「損切丸」が少しでも参考になれば良いのだが。

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