常に「逆の目」はあるⅡ。ー 「円安」の ”良い点” とは?
常に「逆の目」はある。ー @126円超えの「円安」が起こす "変化" 。|損切丸|note の続編。
日銀の「毎営業日・指し値オペ」の発表を受け、一気に@131円まで突っ走ったドル円。メディアでは「悪い円安」ばかり喧しいので、ここは天邪鬼の「損切丸」らしく(苦笑)「良い円安」について考察してみたい。
1.「金利差」を用いた運用が手掛けやすい
これは個人でFXをやっている人は理解しているが、例えば "ドル円ロング" =ドル買い円売りポジションを持つと日々の値洗いでT/N(Tomorrow Next、翌日~翌々日の1営業日)の為替直先を適用される。金利に直すと「ドル金利受取・円金利払い」になるので*ドルー円の金利差が大きい程収入が増える=為替レートが有利になる。
これはドル債、米国株投資でもそうだが、最大のリスクは「円高」による為替損失。日銀総裁が「円安」の ”お墨付き” を与えてくれているので、心理的に大分手掛けやすくなる。ドルに限らず3%を超えてきた豪ドルやいわゆる「高金利通貨」も検討しやすくなるだろう。
ちなみに ”一番儲かっている” のは財務省・為替市場課が担当している「外貨準備」。シンプルに言うとFXで "ドル円ロング" 100兆円キャリーしている "巨大ファンド" であり、記憶では平均持ち値@110円近辺。@135円で「利確」すれば+2,500億円もの巨額利益が得られる。
2.「安い日本」の利用
とかく「円安」というと「輸出企業」に焦点が当たるが、「円高不況」以来アメリカや中国の現地生産に切り替えてきたため、現状それ程メリットはない。ただ、これだけ「日本」が安くなると国内生産からの輸出も検討可能。ここでも最大のリスクは「円高」反転なので、個人の外貨投資同様、日銀総裁の ”お墨付き” は効力を発揮する。「経済安全保障」と相まって工場が日本に戻れば「雇用」が増え「お給料」が上がる事になる。
「円安」では日本人の海外旅行が厳しくなる反面、「日本旅行」は魅力的になる。現状1日@10,000人の入国制限を海外並みに緩和すれば、旅行客が日本にどっと押し寄せるのは確実。”With Corona" に世界が舵を切る流れに乗れば「インバウンド」復活も十分に有り得る。5~10円程度「円高」方向に押し戻す力にはなるだろう。
海外からの「日本投資」も「インバウンド」と同じ理屈が働く。例えば「東京」の不動産価格は他の国際都市、e.g. NY、ロンドン、上海、シンガポール、etc.、に比べ著しく「安値」に放置されている。東京23区の新築マンションの発売平均価格が@8,000万円を超え「ひぇ~」と嘆きたい気持ちは分るが、NYやロンドンの方が遙かに高い。「東京」の国際的価値を考えると、まだ上があると個人的には考えている。
「円安」部分を除く純粋な株価を見ると、年初来で英FT(+1.7%!)、NYダウ(▼6.7%)に次いで日経平均(▼6.8%)は結構健闘しており、不動産同様着目している海外投資家も多い。中国(e.g. CSI300▼20.6%)の代替としての価値も向上しているはずだ。
日銀・財務省を含め、政府がここまで戦略策定できているのなら「円安」も悪くない。筆者の希望も込めてそうあって欲しいが、どうも表向き伝わってくるのが「昭和戦略」の継承。「円安」=「株高」=「景気回復」の ”幻” である。**何もしなければ、「貧しくなる日本」が継続してしまう。
それでもJGB(日本国債)が買われて金利が低下しているうちはまだ大丈夫。一番怖いのは1,000兆円もの「巨額預金」が動き出して、国内の「お金」が足りなくなる時。そうなれば日銀がいくら「無制限・指し値オペ」を続けても、買う国債の「お金」を円短期資金市場から再調達しなければいけなくなり、結局金利は上昇する。
逆説的になるが、日本の「お金」不足で円金利が急騰すれば、その時は運用資産を円に戻せば良い。+1%か+3%かわからないが、それでようやく「インフレ税」の一部が国民に還元されることになる。大袈裟に言えば、これは「霞ヶ関」 vs「 国民」の「お金」をかけた闘い。国が動かないなら、「預金引出し」や「外貨投資」で "自己防衛" するしかない。
若い頃から「投資」をみっちり鍛えられている欧米では当たり前の行動だが、日本はこれからだ。買い向かう「日本人」の「円安デモクラシー」。 ー ”Trend is NOT Friend !” |損切丸|note で 「Z世代」が鍵を握る → 「日本社会変革」 ≓ 「金利上昇」。|損切丸|note だろう。
反省を込めて言えば、筆者も含めとかく日本人は「最悪」を考えがち。パンデミックも「侵略戦争」もネガティブなニュースが溢れているが、こういう時こそ「逆張り的発想」が大事。特に相場やマーケットはそう。
”強気相場は「悲観」の中に生まれ「懐疑」の中で育ち「楽観」と共に成熟し「幸福」のうちに消えて行く”
この格言の ”強気” を ”弱気” に変えれば逆もまた真なり。チャンスとピンチはいつも背中合わせ。いつでも「逆の目」 = ”抜け道” はある。あとはそれを見つけるだけだ。「損切丸」が少しでも参考になれば良いのだが。