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株、債券、不動産の3つの商品性を併せ持つ「REIT」(不動産投資信託)。

 昨日(2020年1月21日)、日銀は「超金融緩和政策」の維持を決めた。政策を変えるつもりはさらさらないようで、引き続き「お金いじめ」が続きそうだ。投資を考える方にとっては、資産防衛+形成に努力が必要になる。

 2016年に前職を辞したときから気になっていたのがREIT(Real Estate Investment Trust、不動産投資信託)。日本に限ったものがJ-REITである。ゼロ金利の環境下でも「利回り」が3~4%あり、なおかつ上場しているため株のように小口でも市場で売買が可能という。

 記憶では、利回りに飛びついた地方銀行を中心に2017年に*「投げ売り」があり、「利回り」が一旦5%近くまで上昇。その後、利回りに着目した投資家が2018年から着々と買い始め、2019年は一方方向に買われた(年末は利食い売りから一旦下落)。 

J-REIT3年

 *株式REIT債券もそうだが、価格が下がれば「利回り」は上昇する。簡単な算数だが「利回り」=金利・配当金÷購入元金÷保有年数(購入後の価格変動を加味しない)。安く買えればそれだけ「利回り」は高くなる。

 それではREIT投資の妙味はどこにあるのか?2018年ごろまで流行っていた「アパート投資」と比較しながら探ってみる。

 1.「利回り」

 全資金を投資者が負う「アパート投資」「表面利回り」が表に出やすい。そこから固定資産税、共用部分の電気・ガス・水道代やローンの金利等を差し引いて「実質利回り」がはじき出される。REITの場合はそれら諸経費はREIT法人が負うので、基本的には「実質利回り」表示だ。↓ 投資家は売買損益や配当金以外の税務申告の必要がない。車を買うか、リースにするかの選択(e.g. 自動車税、車検費用等の支払いの有無)に似ている。

J-REIT銘柄

 最もREITの方は、信託報酬以外にも賃料収入などの利益から自らが負っているリスクや手間に当たる収益を確保した上で投資家に配当しているだろうから、投資家は実質不動産収入の100%は享受できない。

2.財務会計

 1番大きな違いは不動産の所有者が「経費」として計上できる「減価償却費」だろう。「アパート投資」の場合は、その他の経費(個人事業主の場合は65万円の基礎控除等)と併せ本人が**節税効果を享受できる。REITは投資法人がこれらの会計処理を行うため、投資家にメリットは還元されない。

 **但し、物件売却時には「減価償却費」は取得原価から差し引かれ「売却益」に算入されるので要注意。5年以内に売却すれば「短期譲渡所得」として39%(所得税30%、住民税9%)の税金がかかる。5年以上なら「長期譲渡所得」20%で済む(所得税15%、住民税5%)

 3.投資金額、換金性

 不動産そのものを保有する「アパート投資」では当然金額が大きくなり、借金があればそれもリスクになる。換金も容易ではない。一方のREITは小口販売をしているため少額からの投資も可能で、銘柄を分ければリスク分散にもなる。ETF(Exchange Traded Fund、上場投資信託) もあるため、売買は比較的容易だ。また、「利回り」の低いREITの方が市場流動性が高い傾向にあり、売買は容易だ。

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 4.入居者募集・管理

 実はこの違いがとても大きいと思う。REITの場合は「プロ」である不動産会社がテナントや入居人の募集・管理を行うため投資家に心配はないが、「アパート投資」では「空室リスク」が最大の難所である。その反面、直接入居人の管理をする「アパート投資」に比べ、REIT投資家の方が物件の実情は把握しにくい

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 当然だがREITアパートも特に立地によって「利回り」が変わってくる。東京3区のように地価も需要も高い場所ではどうしても「利回り」は低くなるが、同時に安心・確実とも言える。REIT「商業地」「リゾート」に特化したファンドは利回りが4%台後半になったりするが、これはリスクが高いことの裏返し。高利回りのアパートの入居者募集が難しいのと同じだ。

 まあしかし、少なくとも何らかの配当があるという意味では「利息・手数料を取られる」いまの現・預金よりはマシかもしれない。REIT価格は金利上昇時に下落傾向になりやすいので注意が必要だが、長期的に持つには適した商品かもしれない。「アパート投資」のように膨大な借金を負う事もない。

 もし筆者がJ-REITを買うとなったら、おそらく投資目論見書を読んだ上で、投資されている物件のいくつかは直接見に行く。全部を把握するのは難しいだろうが、少なくとも顧客、入居人や働いている人々の雰囲気は掴めるだろう。やはり「気に入ったもの」に「お金」は投資したいものだ。

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