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「いいこと探し」にはカメラが効く

もともとが減点主義なので、同じ物事を見てもつい足りないところや不満点ばかり目が行ってしまう。twitterでも気がつくと愚痴がずらずら並んでいる。ネガティブな気持ちで時間を埋めるのは非常に勿体ないので、ネガティブではないことで埋めようと思った。

たぶん、それはポジティブな何かで上書きするしかない。ネガティブはいけないぞ、と言い聞かせている間はネガティブに囚われている。それを避けるには別のポジティブをがんがん上塗りしてネガティブの存在割合を減らしていくしかない。

あっ、カメラがあるじゃん

じゃあ具体的にどうしようか。そこで思い当たったのが最近買ったRollei35だった。写真を撮ろうとするとき、よっぽどジャーナリズムな理由で悲惨なものを求めない限り、多くの人は自分にとって「いいこと」を探す。

・この色がキレイ
・この構図が面白い
・この状況が楽しい
・なんかいい

カメラを持って何か撮るときは、こういう「いいこと」しか考えていない。ということはカメラを使えばいいじゃん。

個人的にはスマホのカメラではないほうがいい。スマホだと「取り出す→電源を入れる→カメラアプリを立ち上げる→構える→撮る」というプロセスが要る。意外と面倒だ。

なるべく「取り出す→撮る」の間が短いカメラを使いたい。そうするとRollei35はまだ儀式が多いカメラかもしれない(それが楽しい部分なのだけど)。

眠っていたHOLGA DIGITALを発掘

「いいこと」をガンガン意識するためにカメラを使おう。でもどれがいいだろう。キョロキョロしていたら家でHOLGA DIGITALを見つけた。そうだ、数年前に買ったけれど巧く使えていない。電池とSDカードを確かめて、使い方を復習する。HOLGA DIGITALはいわゆるトイカメラで機能は超シンプル。

撮り主がコントロールできるのはこれしかない。

電源ON OFF/画像は長方形か正方形か/カラーか白黒か/そこが明るい所か暗い所か

以上。潔い。逆に言えば、これを設定してしておけばシャッターを押すだけで写真が撮れる。電源はダイヤルを回せばONになる。

ということは「取り出す→ONにする→撮る」の3ステップ化が実現!

HOLGA DIGITALの良い点

取り出してパッと撮れる以外にも、いくつか長所がある。まずデジカメでSDカードにデータ保存なので躊躇なくシャッターを切れる。何枚失敗してもいいし、何なら「ブレが味」と言ってもいい。

それに、液晶画面のような確認できる機能が備わっていない=確認しなくて済む。スマホでもコンデジでも、撮った結果が分かるカメラを使うとやっぱり人情として確認したくなる。でもこのカメラはそこを潔く落とした。見直さなくなると、開き直って何でも撮ってやろうと思える。これが大事。

撮るための壁がなくなる

HOLGA DIGITALをしばらく使っていると、シャッターを切るまでの度胸がついてくるというか、今まで撮る前に「どうしようかな」と思っていた時間が激減する。「どうしようかな」の前に「撮っちゃえ」と思う。

で、面白いのが他のカメラに戻ってもその感覚が残っていること。慣性の法則なのか、「撮ってしまえ」と思う状態で他のフィルムカメラやデジカメを扱える。そうすると前とは違った勢いと楽しさが出てくる。

たぶん、これを繰り返していると「シャッターチャンスに対するアンテナ」が磨かれる。見つけたときに躊躇なく撮れる回数も増えるはず。失敗していいデバイスで散々経験しておけば失敗しそうなシチュエーションが分かるし、失敗しない方法も前より見える。

もちろん、もっと頭や技術を使った写真も大切だけれど、余計なフィルターを削いで本当に好きなものに向かい合う訓練機としてHOLGA DIGITALは有効だと思う。

「いいこと」に触れている時間が増える

上で述べたようなことをぐるぐる考えている間は、絶対に愚痴が出てこない。カメラを持ち歩いているときは「何かないかな」と撮りたいものを探すようになる。

色オニで「赤!」と言われたら全力で赤を探すように、カメラに「いいこと!」と言われて全力でいいことを探す感じ。構図でも色でも状況でも、理由がないけれど「なんかいい」でも。

出来上がったデータを見たり並べたりしているときも、ネガティブな気持ちにはなりにくい。「ここで失敗したかー」という反省はあっても、人や物事に不満を持つような嫌な気分とは違う。

日記に「今日良かったこと」を書き出す方法があるけれど、もっと日常的に「いいこと」を増やしていくにはやっぱりカメラが効くと思う。



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