最終回:ディクソンの訪問『THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI(スリー・ビルボード)』徹底解説
映画『スリー・ビルボード』最大の山場である「レストランでのダブルデート」も無事に終わった。
あの「ダブルデート」とは、死んだアンジェラが父と母それぞれと「同時にデートする」という意味だったわけだ。
恐れ入り谷の鬼子母神だね。
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とんでもなく計算し尽くされたシーンやったな。
セリフひとつひとつから視線まで…
さあ、残りもサッサと片付けようぜ。我々もそこまで暇じゃないんだ。
では始めましょう。
まずはバーでのディクソンから。
恫喝男のレイプ自慢話を盗み聞きしたディクソンは、彼の顔を引っ掻いて、皮膚ごとDNAをゲットします。
そして激怒した恫喝男にボコボコにされた…
警察バッジを無くしてなかったら恫喝男もビビったのにね。
「ディクソンが落とした警察バッジ」とは「サウロ(パウロ)が目から落としたウロコ」の喩えなんだよ。
そしてディクソンがボコボコにされたのは、『使徒行伝(使徒言行録)』でサウロが回心後に、権力側の人々から迫害されるなど受難続きだったことの再現なんだね。
あの恫喝男も実は軍人だったし。
なるほど。
家に帰ったディクソンは、恫喝男のDNA鑑定をしてもらうために、皮膚片をサンプルケースに入れる。
そして恫喝男の車のナンバー「H5T371 IDAHO」を書き入れた。
ちなみにお前ら「IDAHO」の意味を知ってるか?
地元インディアン部族の言葉で「注意せよ!山から燃える太陽が降りて来る!」という意味なんだぞ。
ええ!?
それはワイオミング。
まあ趣旨として間違ってはいないが、正確にはこっちだな。
イエスを殺したのは他でもない「父」ですからね。
映画『スリー・ビルボード』では、殺されたアンジェラが「イエス」の役割を担っていました。
そして早くに父を亡くしたディクソンにとって、ウィロビー署長は「父」のような存在だった…
さて、翌日にディクソンはDNAサンプルを警察へ届けたあと、ミルドレッド宅を訪れた。
その時なぜかミルドレッドは、グラスに入った白ワインを眺めながら考えごとをしていた…
レストランでも白ワインを飲んどったな。
たぶん昨日の夜のこと思い出して考えとるんやろ。
「なんか引っ掛かるわ…。でも、なんやろ?」っちゅう感じで…
そうだろうね。
ミルドレッドは前にも同じような「違和感」を感じたことがあった。
ウィロビー署長の吐血事件の翌朝のシーンだ。
前日アンジェラは、いつも以上にメッセージを送った。犯人ウィロビーが自分にした時と同じように母ミルドレッドの顔面に吐血したので、事件の真相を気付かせる最大のチャンスと考えたんだ。
レイプされて殺されたアンジェラの死体が徹底的に焼かれたのは、証拠となる血がついてしまったからだったよね。
いくら水で洗い流しても、皮膚の小さな穴や頭皮に入りこんだものは絶対に取れない。だから燃やすしかなかったんだ。
だからウィロビーは救急車に担ぎ込まれる時に「彼女を家に帰せ!すぐに帰すんだ!」とムキになって何度も命令していたんだな(笑)
イグザクトリー。警察には鑑識官がいるからな。
もしミルドレッドが何かに気付いてウィロビーの血液をDNA鑑定に回していたら、あそこでジ・エンドだった。
あそこで気付かなかったのは本当に残念です…
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