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カルビン、宇宙を渡る~『ライフ』よもやま話1

カルビン?ライフ?

なんだこれ?

これのことやろ。

「カルビン」っちゅうのは火星からお持ち帰りした謎の生命体に付けられた名前や。

その通り。

この映画について、どうしても言っておきたいことがあってね。

また「宇宙人もの」か…

この前『メッセージ』やったばかりじゃん。

あれ、超自信作だったんだけど、例によって反響が全然なくてね…

このままじゃ悔しいんで、まだ誰も気づいてない『LIFE』の秘密を暴いちゃおうと思った次第。

今度こそみんなを僕の才能の前に跪かせてやる。

動機の不純度120%やな…

これまだ2017年の映画じゃん。

例によって究極のネタバレ解説するんだろうけど、いいのかな…?

たぶんこの映画は「うわべのストーリー」だけ追っても、たいして面白くないと思うんだ。

キャストが無駄に豪華なB級SF映画にしか見えないだろうから…

でも本当はすっごく社会風刺が効いた物語なんだよ。

いや「すっごく」どころじゃない。実は超ヘビーなテーマの映画なんだ。

ぼくとしては、そこを踏まえてこの映画を多くの人に観てもらいたい。

確かに究極のネタバレなんだけど、この映画をフルに楽しむためのトリセツだと思ってくれたらいい…

そこまで言うか!よし、話を聞いてやろう!

この物語は、「未知の生命体」を含んだ土壌サンプルを採取した火星探査機が、地球へ戻る前に国際宇宙ステーションに寄るところから始まる。生命体の安全確認のためにね。

で、ここがこの映画の脚本家の天才的なところなんだけど…

この冒頭シーンで既に映画の「究極のネタバレ」がさりげなく提示されているんだ。

ハァ!?

この火星探査機の名前が「PILGRIM7」というんだよね。

「PILGRIM」とは「巡礼始祖」という意味だ。

1620年にメイフラワー号で大西洋を渡ってマサチューセッツに入植した人たちを「ピルグリム・ファーザーズ」と呼ぶことは学校で習ったでしょ?

うん、習った!

でも何で「巡礼始祖」なんだろう?別にアメリカまで巡礼に来たわけじゃないでしょ?

いや、彼らにとっては「聖地巡礼の旅」だったんだよ。正確に言えば「新しい聖地」だけどね。

ピルグリム・ファーザーズと呼ばれた彼らは、清教徒、いわゆるカルヴァン主義を掲げるピューリタンだった。しかもイングランド国教会からの独立を訴える「分離派」と呼ばれる急進的なグループだったんだね。

だからイギリス国内で厳しく弾圧され、ひとまずオランダに逃げた。だけどイギリスとは目と鼻の先なんでイギリスの官憲の手からは逃れられなかった。

そこで彼らは新世界アメリカへ渡ることを決意する。

でも今と違って非常に危険な旅だよね。船なんて簡単に沈没するし、運よく上陸できても先住民のインディアンに皆殺しにされることも珍しくなかった。

だから彼らは自分たちをこう奮い立たせたんだ…

「俺たちは現代のモーセだ!危険な海を渡ったモーセの再来だ!神に見捨てられたエジプトのようなイギリスを捨て、俺たちは約束の地を目指す!海の向こうの新世界アメリカこそ、新しいイスラエルなのだ!」

マジで?

だからアメリカがイギリスと独立戦争を始めた際に「独立を宣言したんだから国印を決めよう」ということになったんだけど、その第一候補が「海を渡ったモーセと、海に飲み込まれるファラオの軍勢」のデザインだったんだよ。

「神は我らが側にあり!イギリスに未来はない!」ってことだよね(笑)

うわあ…

あの大英帝国と戦争になって興奮してたのはわかるけど、その後の外交とか考えたらボツにして正解だったな…

トランプ政権である今のアメリカがこれを使ってたらシャレにならない…

まあそういうわけで、『ライフ』という映画が「ピルグリム・ファーザーズ」の物語をベースにしたものであることがわかってもらえたと思う。

いや、全然わからないし!

「ピルグリム」なんて探査機の名前は「いつか火星に移住できたらいいなあ」くらいのノリで付けられたかもじゃんか!

まったく疑い深いなあ…

僕が言ってるんだから間違いないのに。

その謎の自信も意味不明ですから!

じゃあ順を追って説明していくしかないね。

まずは登場人物から。

火星探査機が到着した国際宇宙ステーション(ISS)には6人のクルーがいた。

各人の名前、演者、職業、国籍も紹介しよう。

デヴィッド・ジョーダン(ジェイク・ギレンホール)医師、USA

ミランダ・ノース(レベッカ・ファーガソン)検疫官、UK

ヒュー・デリー(アリヨン・バカレ)宇宙生物学者、UK

エカテリーナ・”キャット”・ゴロヴキナ(オルガ・ディホヴィチナヤ)司令官、RUSSIA

ローリー・アダムス(ライアン・レイノルズ)航空エンジニア、USA

ショウ・ムラカミ(真田広之)システムエンジニア、JAPAN

いつもはこんなに登場人物を詳しく紹介しないよね…

国籍とか、なんか意味あるの?

あるどころの騒ぎじゃないよ。

名前と国籍で「モデルとなった人物」がわかるようになっているんだ。そこが理解できて初めて「真のストーリー」が見えてくるようになっている。

ええ!?

モデル!?真のストーリー!?

映画作る人が、何も考えずにキャラクターの名前つけたり国籍決めたりすると思う?

脚本家のレット・リースとポール・ワーニック、そして監督のダニエル・エスピノーサを甘く見ないでほしいね。

もちろん、この僕のことも。

あんたのことはどうでもいいから、「モデルになった人物」と「真のストーリー」とやらを解説しろ!

はいはい…

じゃあまずはこの動画を見てもらおうかな…

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