「マーサ=マーサー説を世界で初めて唱えて、世界で初めて検証してみた」~トム・ウェイツ『CLOSING TIME』徹底解説・番外編
さて、お待ちかね、TOM WAITS『CLOSING TIME』徹底解説の番外編だよ。
冗談で言ったのに…
「オチが平凡」とか余計なこと言うからや。
このオッサン、年を重ねて丸くなるどころか、年々大人げなくなっとるさかい…
何か言った?
最近、耳毛のせいで他人の意見がよく聞こえないんだ。
もう、好きにしてください(苦笑)
ありがとう。では思う存分、語らせてもらおうか。
今回のテーマは、ズバリこれだ。
A面6曲目『Martha』の主人公トム・フロストが愛していたマーサとは「マーサー」のことだったのでは?
マーサ―?誰?
シナトラの十八番『One for My Baby (and One More for the Road) 』の作者ジョニー・マーサーのことやろ。
前にもオッサンは「この曲はトム・ウェイツに大きな影響を与えた」って熱弁しとったやんけ。
その通り。
トム・ウェイツとこの僕が、こよなく愛するソングライター、ジョニー・マーサーのことだ。
Johnny Mercer(1909-1976)
トム・ウェイツは、ジョニー・マーサーの「ある歌」をヒントに『Martha』を書いたのでは?と僕は推理する…
『Martha』という曲は、共に家庭を持つ身でありながら、過去を忘れられない男が、かつて愛した女性に長距離電話をかけてしまう…というストーリーだった。
そしてそれは、ジョニー・マーサーの「ある歌」と非常によく似た構造となっているんだよ…
来ました、惜しくも落選した歌動画紹介シリーズ(笑)
『マーサ』はこれで5組目やで。
この曲は人気曲だから多くの人に歌われていて、名カバーもたくさんあるんだ。
だから紹介したい動画もたくさんあってね…
さて、続いては、その『マーサ』の元ネタになったと思われるジョニー・マーサーの歌を聴いてもらおう。
1941年に発表された曲『I REMEMBER YOU』だ。
『マーサ』と全然雰囲気が違うんですけど…
めっちゃウキウキしてるし…
ムチムチしてる(笑)
せやけど、どっかで聞いたことある歌やな…
超ビッグな有名人がカバーしとったような…
これじゃない?
び、び、ビートルズ!
『I REMEMBER YOU』は、下積み時代のビートルズの持ち歌だったんだよね。
ポール・マッカートニーがジョニー・マーサーの大ファンで、この歌をレパートリーにしていたそうだ。
彼らのデビュー曲『LOVE ME DO』など初期の楽曲は、この歌の影響が非常に大きいと思う。
ちなみにポールの夢は、ジョニー・マーサーと一緒に曲を作ることだったらしい。
ビートルズ解散後にオファーしたんだけど、すでにその時マーサ―は病に倒れており、実現しないまま76年に亡くなってしまった。
ジョニー・マーサーって、何気に偉大な人なんだな。
ポールやトム・ウェイツに限らず、あの世代のソングライターの誰もが憧れた存在だと思うよ。
ボブ・ディランやカズオ・イシグロなどのノーベル文学賞受賞者だって、マーサーの影響を大きく受けているのは確実だ。
彼らの作品を見れば、一目瞭然だからね。
たとえば…
ねえねえ、おかえもん。
『I REMEMBER YOU』はホントに『マーサ』とそっくりな内容なの?
ナイス・オブストラクション!
あやうく壮大なウンチクが始まるとこやった。
そっくりどころじゃないよ、同じシチュエーションの歌だから。
『マーサ』の1番では、主人公トム・フロストが長距離電話のオペレーターと会話を交わす。
「40年ぶりに話す相手なんだ」とか「俺が感極まって涙ぐんでしまう前に、彼女は俺の声を思い出してくれるかな?」とか、忘れられない昔の恋人について喋るんだよね…
詳しくは『マーサ』の回をどうぞ。
オペレーターが実は「天使」のことやったっちゅうのは驚いたな。
そのシチュエーションが、そっくりそのまま『I REMEMBER YOU』の借用なんだよ。
『I REMEMBER YOU』も、主人公が天使相手に「忘れられない人」について語るというストーリーなんだ…
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