⑫拗らせ30代へ突入

Cくんと終わり、数ヶ月後に私は30歳になった。

30歳、独身、彼氏無し

見事に残念女の三拍子が揃った。

ちなみに私は、心を許した友人にしかあまり本音は言わなかった。
Cくんのことは親友の杏にしか話していなかった。

杏はもうこの時結婚していて、子供もいた。
旦那さんがいる杏からしたら、人の彼氏と付き合っていた私なんて最低で嫌悪する存在だろうに
杏は、私の事を否定も肯定もしなかった。

ただ話を聞いてくれ、Cくんと終わったときは
「お疲れ様」とだけ言ってくれた。

この子は本当に凄いなと思う。
いつも本当にありがとう。

ということで、表向きは
ここ数年はずっとフリーな私。

私が30歳に突入下ということは、
同級生たちも30歳。

週末の合コンが増え始めた。

そしてその合コンは、これまでの彼氏探しから

【婚活】

にシフトチェンジしていった。

特に大学の同級生、梨乃は凄かった。

周りの友人達に続き、職場の後輩も結婚し始めて焦り出した。
自分より可愛く無い子でも結婚しているのになんで私が出来ないの？！と口にしながら
ありとあらゆる手段で、紹介や合コンを繰り返してた。

梨乃に誘われて合コンにも沢山行った。

周りも結婚し、合コンに誘える未婚女が少なくなったからだ。
いつもお誘いが来た。

梨乃はとても積極的なので、合コンで気に入った男の人がいると、すぐに連絡先を聞き、飲みに誘っていた。

合コンの帰りのお決まりの
誰がよかった？女子トークでも

「私は●くんがいい♡」

と先陣を切って宣言し
他の人が●くんを気に入っていても
手を出させない！という牽制を張った。

それでもそこは、30歳婚活女達。
そんな梨乃にも怯む事はなかった。

何度か気に入った男性が被り、女同士でいざこざになったと聞いたことがあった。
私は面倒だし、特に絶対梨乃と同じ人に手は出したくなかった。

そもそも梨乃は典型的なイケメン好き。

私はチャラチャラした感じが嫌いだったので
幸い、梨乃と男性が被ることはなかった。

莉乃もそれを知っていたのでほぼ毎回
私を合コンに誘ってきた。
私がタイプでも、莉乃のタイプでなければ
協力もしてくれた。
悪い所ばかりではないのだ。

しかし
30歳に突入した当たりから
風向きが変わってきた。

この頃には梨乃が好きな同世代のイケメンは
もう人の物になっていて
合コンで出会えなくなっていた。

そうなると梨乃は、
その場で一番マシ（言い方）な人に
手を出すことにした。

しかし、そうなると他のメンバーが面白くなくなり
合コン開催自体が減っていってしまった。

梨乃は男友達というものが作れなかった

どうしても最後には男としてロックオンして
関係自体を駄目にしていた。

最初は男友達！なんて言いながらも
いい感じの男性がいないと、その人にちょっかいを出し、結果上手くいかずに終わる。

私の友人も何度か梨乃の被害にあっており

「グイグイ感が怖い」

「必死さがすごい」

「私とは連絡とらないのになんで澪とは取るの？とか言ってくるし、悪いけど澪と繋がってるとまた梨乃ちゃんに付きまとわれそうだから」

と、私まで関係を切られたこともあった。
特に3番目のは酷かった。
良い人だったのに、よっぽど莉乃と関わりたく無いという意思を感じた。

合コンで知り合った人から、次の輪を広げる
ということが出来ないので、益々出会いも減っていった。

私ももうその頃には自分の身の回りの人を紹介する気も無くなっていたし、梨乃のテリトリーでは自分の恋愛は出来ないと思っていた。

それに、手に入らなかったものというのは
未練が残る。

以前同様、出会って少し良い感じになっても
Aさん、Cくんと比べてしまい
その人の駄目なところばかりが目につき
自分から男性を好きになれなくなっていた。

梨乃も大概だが
私もだいぶいい感じに拗らせていた。

そんなある日、仕事で新しいプロジェクトが始まり
チームの顔合わせがあった。

その中に彼は居た。

背が高くて顔が小さくて今時の塩顔で。

32歳の冬、これまで付き合ったことがない
年下Dと
私は出会った。

つづく